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2-1

 アディクと会ったのは、食事処だった。ふらふらと歩きながら、馴染みの店に行った私。いつもりんごが入ってるサラダを頼んでおり、その時もそれを注文した。サラダは、日替わりで入っている食材が変わっていた。主食材は変わらないため、りんごはどの日にも入っている。

 お昼を過ぎた時間帯で、食事処は空いていた。私は椅子に座って、ぼーっとしながら、注文の品が来るのを待っていた。カウンター席で。隣には誰もいなくて、ゆったりできると思っていた。


「隣いいですか?」

「どうぞ」


 チラッと相手を見て、返事した。好きに座ればいい。誰かの席って決まってないから。そもそも、許可を取る必要がないと思う。そこに、待ちに待ったサラダがやってきた。時間はそんなにかかってない。楽しみにしてたから、待っている時間を長く感じただけ。

フォークを手にし、サラダを食べることにした。


「それ、何ですか?」


 またもや、隣から声が聞こえた。いやいやながら、答える。食べようとしてたところを邪魔されて、なんだか楽しみが奪われた気分になった。


「りんごのサラダ」

「そうですか。邪魔してすみません」


 この時の会話はそれで終わったが、隣にいるので、声は聞こえてくる。隣の人が頼んでいたものはりんごサラダではなかった。気になってたから聞いたのではなかったのか。頼む気ないなら、聞いてこないでほしい。少しムッとした。

 ファークでザクリッと野菜を刺して、食べる。ザクッ、ザクッと音がしていた。全て食べ終わると、またもや隣の人が話しかけてくる。


「随分と豪快に食べるんですね」

「……、何か文句でもあるの?」

「いえ、嬉しいなと思っています。僕が混入したものに気づかずに、あなたは食べてくださったのですから」


 混入したもの。そんなものあっただろうか。それより、人の食べ物に勝手に何かを入れるなよ。


「いつ、入れたの?」

「視線が僕に向いた時ですよ」

「そんなに向いてなかった」

「混入するのには、十分な時間です」


 満面の笑みを浮かべる人間。腹立たしい。人の好きなものに手を出すなんて、最低だ。睨みつけたら、得意げな顔をされた。


「何を入れたの?」


 心なしか、声が低くなる。


「えー、眠れないとぼやいているあなたが眠れる代物ですよ」

「そんなわけ――」


 くらっとした。視界が歪む。突然のことに、戸惑いが隠せない。机に手をついて、必死に抗う。


「なに、これ……」

「どうやら、眠れない姫でも効果はあったようですね。これから先、あなたには私の実験に付き合ってもらいます」


 どういうことだ。ふざけるな。疑問を聞いたり、罵倒したりしたかった。だが、抵抗むなしく、落ちていった。


Copyright(C)2019-莱兎

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