閑話1
ここに二人の女がいる。
女の子同士の話といえば、恋バナ。憧れてたのよ。だから、今回はレノンちゃんと恋の話をしていきたいと思う。
椅子に座っている彼女は机を挟み、私と対面している。私はお菓子や紅茶を用意して、話の場を整えた。さてさて、聞いていこう。人の恋に口を出すのはおせっかいだが、聞きたくてたまらないのだ。レノンちゃんはアディクに惚れているだろうか。
「レノンちゃん、息子とはどうなの?」
「どうとは?」
「えー、だって、息子と同棲しているわけでしょう?」
「その言い方、やです。アディクは私の薬を作ってくれている同居人ですよ。私は彼の家に住まうただの居候です」
いやいや、レノンちゃん。私が聞きたいのは、そういう話ではないのよ。もうちょっと、具体的な話が欲しいのよ。
「息子とキスはした?」
「キス? 口と口を合わせるあれですか? 好きな人同士がやる?」
「そうよ。接吻や口付け、ちゅうなどともいわれてるわね」
「ちゅう……? アイリスちゃん、私はアディクとそんなことしませんよ。恋人関係ではありません。それに、恋愛感情での好きは抱いていません」
つまらない答え。やっぱり義娘にするには、息子に頑張ってもらわないとだめね。養子にするのもいいけど、息子の怒りを買う行為はしたくない。息子は怒ると怖いもの。しかも、執着したものにかける情が深い。
息子は何よりもレノンちゃんを大事にしている。その彼女を私は一人が義娘にしようと動けば、息子が阻止してくるに違いない。だから、私は息子に協力しようと思うのだが、息子はヘタレだったのか。私の息子ながら、なさけない。
確実に息子はレノンちゃんに恋愛感情を抱いている。とても深い愛情を、とても恐ろしい愛情を彼女に向ける。彼女を雁字搦めにして、自分自身の存在に縛りつけようとしている。その一つともいえる行いが、レノンちゃん自身に呪いをかけたことだ。
そこまで行動することができた息子。なぜレノンちゃんを押し倒して、強引にことを運ばないのか。強引にしたら嫌われるだろうから、強引さも持ち合わせながら、優しく愛せばいいのよ。そうすれば、顔もいい息子になびくはず。それがキスさえもしてないなんて息子はヘタレよ。
「ねぇ、レノンちゃんはアディクに手を出されてはいないの?」
「手を……出す!? や、やめてください! そ、そ、そ、そ、そそそそそんなことあるわけないですよ。ハグされることはありますが、それがアディクのスキンシップです。アディクは平然と人にそういうことをできる人です」
「あははは〜、レノンちゃん。慌てすぎよ。それに、顔真っ赤。可愛いわね」
「きっとアイリスちゃんと血が繋がっているから、そういうところが似たんですよ」
レノンちゃんがぼかしたことに「そういうところって?」と聞いたみた。しかし、そっぽを向いた彼女は返事をくれなかった。
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