表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/43

9-3

 ビクビク怯えている女。ずっとそのまま静かにいてくれればいいのに。

 聞きたいことはしっかり聞いてくる。また、頼みごともしてくる。自分の現状を理解しているのだろうか。


「あはははははははっ、ドロドロしていて気持ち悪いだろうけど、そろそろ君を薬の中に入れるよ?」

「えっ!? まって!! 次に会うのはいつになるの?」

「さぁ? そんなには待たないと思うよ?」

「でも、会えない日が続くのでしょう? わたくし、あなたの顔を見ておきたいわ。だから、目隠しをとってちょうだい」

「それは無理だよ。ああ、もう時間だ」


 なんだか面倒臭くなってきた。彼女で遊ぶのもここで終わりだ。僕は、彼女の要望を拒否して、彼女を棺まで運んだ。そして、棺の中に入れる。目覚めた彼女は誰のものになっているのだろうか。それは、僕にもわからない。彼女の主人にどのような性格が選ばれているのかは、その時の僕の気分次第だ。


「ぁ、ぁ、ぁでぃ、く」

「なあに?」

「わた、くし、あなた……ために……きれいに、なる……わ。だから、アイシテ……」


 優しく問いかけてあげた。僕のせめてもの温情だ。これで君と話すのは最後になるだろうからね。

 君なんてどうでもいいし、僕が君を愛する未来なんてものは一切ない。これから先、一生君を愛することなんてないよ。それに、君が僕のために綺麗になることを僕は望んでいない。君は他の誰かのために綺麗になることが僕の願いだ。

 君の想いは僕にとって必要のないもの。君が僕の役に立ってくれれば、それで十分だ。


「聞こえてるだろうか? はははははっ、君はバカだな。僕はジュリーがいつまでも綺麗であれるように、薬に漬けることにした。やっと、邪魔な君がいなくなると思うとせいせいするよ。よかったね。君は目覚めたら、幸せになっているだろう。……君を愛している者の手によって――ね」


 僕は地下室を後にした。

 しばらく地下は封鎖しておかないと、ね。僕の家で他の者が悪さすることはないだろうし、地下を見つけることもないだろう。だが、一応誰も入らないように対策して、用心しておこうと思う。


 ちょうどいいタイミングだ。レノンを探すために出かけるから、戸締りも必要になってくる。手間はかかるが、地下室への道を見えないようにして、誰の目にもつかないようにしよう。また、愛する彼女を連れ戻したときにバレてしまったら、弱ってしまう。僕は彼女へ上手く誤魔化せる自信はない。念には念を入れて隠さねば……。


 僕は今とても気分がいい。この先、一人の煩わしい女を相手にすることがなくなったのだから。

 さてさて、今度こそレノンが逃げ出さないようにしておかないと……。彼女をどうやって囲い込もうか。どこまで行ってしまったのかわからないが、必ず見つけ出す。


「レノン、僕のことを待ってて」


 捕らえた彼女を想像して、僕はほくそ笑んだ。

Copyright(C)2019-莱兎

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ