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地下を設けておいた。僕の研究とレノンのために作った空間だ。それが、あの女に使うことになるとは……。
レノンが僕から逃げたら、閉じ込めよう。そう考えて、地下の部屋を作った。僕とレノンの秘密の部屋にしようと思っていたのに、あの女を連れてくることになってしまった。
まだ、レノンは粗相を犯していないので、この部屋を明かさなかった。研究も地下とは違う部屋が存在している。だから、レノンは地下の部屋のことを知らないだろう。「初めて」はレノンのもので、「初めて」という特別はレノンにあげたかった。彼女より前にあの女を部屋に入れることになって、非常に残念に思う。
僕は地下へ続く扉を開けた。階段を一段ずつ降りていく。コツコツと音が響いた。
地下に明かりはない。持ってきたランプが唯一の明かりだ。暗い中、歩いていく。その足取りに迷いはなかった。それは、地下を管理する中で、物の配置等を覚えていったからだろう。
ただ、いつ来ても寒い地下は冷えるとぼんやりと思っていた。耐えられない寒さではないが、薄着であれば身体に反応が現れるだろう。例えば、身を縮める、足や腕が震えるなどの反応が出てくると思われる。
「レノンが使うことになったら、この寒さもなんとかしようと考えていた。だけど、あの女に使う場所だ。ひんやりとした冷たい部屋のままでも問題ない」
薬に漬けられる人間を気遣う必要もないだろう。保存のことを考えると、冷たい部屋のままがそれに適している環境といえる。しばらく、置いておくことになるだろうから、もっと部屋を冷気で満たしておくべきか?
やろうと思えばいつでもできるし、さきに薬の準備しよう。人間を入れる大きな容器は見つからなかったため、棺で代用する。それは、レノン用に買ったものだが、サイズが大きすぎた。あの女に使うのは癪だ。しかし、他に人を入れられるようなものはない。嫌々ながら、その棺を使うしかないのだ。幸いに、少々埃被っているものの、壊れたところは見られない。薬と人間一人を入れるのに支障はないだろう。
「レノンのために買ったのに、ジュリーに使うことになってしまった。はあ、レノンへのプレゼントがあれに……」
使い所がなかったが、取っておいたのは、レノンへの気持ちがこもっているから。処分するのにも迷ってどうにもできなかったから。他の代用品はないし、棺を使うしかないが、できるなら使いたくはなかった。
入れ物を探すのに時間をかけるよりも、早く終わらせてレノンを探したい気持ちの方が大きい。
僕は黒い棺のフタを開けた。大きなガラス瓶に入っている緑色の薬を投入する。ガラス瓶にチューブをセットし、そのもう片方の穴を棺に入れた。みるみるうちに、ガラス瓶の液が棺に移っていく。あっという間に、棺に緑色の液体が溜まっていく。
「あはははははははっっっ!! よくできたものだ。これでジュリーを漬ける準備が整った。ジュリーもあの匂いが効いて動けなくなってる頃だろう。早く運んで、漬けてやろう。僕のしようとしていることの途中で起きたら、真実を教えてどんな表情をするのか楽しもうかな」
愉快な気持ちでいっぱいだった。たまらなく、こみ上げてくるものに耐えられそうもない。僕は、今ものすごく楽しくて仕方がないよ。
***
男が去っていった部屋にて。
キラキラとガラス瓶が輝いている。それに入っている緑色の液体は不思議なことに減っていなかった。それには摩訶不思議な模様刻まれており、淡い光を放っていた。この模様にはなんらかの意味があるのだと思われる。これは、きっと男や魔女と呼ばれる者たちしかわからないことだろう。そして、そのことを知る者たちがその模様について語る機会はないと思われる。
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