7-3
私は彼女の「守ってあげたくなる」発言等を疑わしく思う。特に自分の容姿に関しては、他の人に何を言われようとも信じる気にはなれない。
「アイリスちゃんは、私をからかって遊んでいるんですね? 私は悪口を言われ、攻撃されるような女の子です。守ってあげたくなるなんて、そんなのありえません」
「ありえないなんてことがありえないのよ。だって、あなたの容姿は醜く見えるようにされているのだから。これがアディクがばれたくないことの一つと言えるわ。私は力が強くて本質を見抜く目を持っているのよ。だから、あなたの本来の姿が目に映っている。息子はレノンちゃんに呪いをかけたのよ。他の人に奪われないようにね」
私はアディクに呪われていたようだ。それがあいつのばれたくないことだったみたい。
嫌いな人間を呪うならまだしも、他人に奪われたくない一心で私を呪った。私の人生は彼によって無茶苦茶にされていると感じ、とても不愉快に思った。
私自身まで私のことが醜く見える呪いなんて相当やばいもの。あいつが何を考えているのか、早速読めない。奪われたくないにしても、やりすぎだ。嫌がらせかと思う。ここまで徹底的にやるか、普通。
「レノンちゃん、諦めないといけないことも世の中にはあるわ。アディクは普通じゃないのよ。あなたを手に入れるためだったら、なんでもするでしょうね。もし、あなたが醜く見える呪いが失敗していたら、きっと顔に傷つけて人前に出れないようにしていたと思うわ。自分でつけた傷に喜ぶ可能性もあるわね」
なにそれ、怖い。寒気と震えに襲われた。
「えーと、えーっっっと! なんでアディクはそんなことするんですか? 私を奪われたくないからにしてはやりすぎだし、呪いをかけるなんて意味がわかりません。呪いをかけた意味ってなんですか?」
「レノンちゃんって現実逃避してるの? それとも、ただの鈍い子?」
「鈍いって何がですか?」
パッチリと目を開けている彼女。「嘘でしょ!?」という小さな声が聞こえてきた。
私はアイリスちゃんに憐憫を帯びた目で見られている。そんな哀れまれないといけないほどの何かをしてしまったのだろうか。浮かぶのはハテナばかりだ。
「息子も不憫な子なのね。息子よ、もうちょっと頑張らないとダメみたい。行動は立派のようだけど、言葉を費やさないと通じなさそうよ」
「???」
アイリスちゃんは遠くにいるアディクによくわからないことを言っていた。本人に会って直接言ってあげた方がいいのではないかと思う。
触らぬ神に祟りなし。私は何も聞いていない。ティーカップを口に運ぶ。そして、思いっきりそれを傾け、一気飲みした。
Copyright(C)2019-莱兎




