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コズミック・ラビリンス(CHAPTER5:2)

 刻々と変化する回廊を、目眩(めまい)を我慢して探すことしばし……天井近くの壁面に、暗緑色の藻にまみれた石像に混ざって黒光りする石材で作られた、古代エジプト風の顔の無い石像があった。


 今、俺が立っている回廊から延びている階段から行けそうだ。ただ、途中で違う階段や踊り場に何度か飛び移らないと行けないので、ただ攻略法に従えば良いと言うモノでも無い。

 あと、油断すると別の方向に働いてる重力に巻き込まれて、横向きや天井に向かって“転落”したり、落ちこんだら、それっきりで一撃死してしまう次元の狭間が各所に潜んでいるが、これは攻略法に従って行けば簡単に回避出来た。


「ぅゎぁぁあああああぁぁぁぁっ!」


 ビルに例えれば十数階層位はある階段を昇り、ファラオの石像のある回廊まで後少しという時、俺と同じ探検服を着た半透明の男が、悲鳴を上げながら階段の吹き抜けを天井に向けて落下して行き……そのまま見えなくなってしまった。


 ……俺は、チャプター3のラストで今のと同じモノを見た。巨大な触手の攻撃で崩落した迷宮に巻き込まれたアルベルトの幻影を。


 だが、今の幻影の正体も例の攻略法に記してあった。……理由や原理は不明だが、ゲーム内で強い思念を残して死んだ場合、その残留思念……と(おぼ)しき何かがゲーム内に残り、脳力の高い者にはそれが幽霊じみて見えるのだと言う。

 あと、このゲーム内で死にすぎると、精神の弱いものは本当に死んだ後にゲームに取り込まれ、怪物となって復活する……と、海外のアングラ系のオカルトサイトで噂されてたらしい。それが何故、個々にダウンロードされている筈のオフゲーに反映されているのかは、謎だそうだが。


 アルベルト個人としては、何かオカルト的な影響を考えてる……と追記してあった。


 その伝で言えば、チャプター1~2で死んだ俺の思念が、別の誰かに見られてるのかもしれんな。あと、ここまでにサキトの幻影を見なかった理由も説明が付く。アイツは確かチャプター1を触りだけプレイして止めたと言ってた。だから、アイツの幻影が出たとしても、それはチャプター1の序盤だけのハズだ。


 そして、サキトはプレイを中断したせいで、恐らくゲームの外で魔犬なり何なりに殺されて死んでしまった。ゲーム外で死んだので、九玄太ネズミや他の“中身入り”の怪物の仲間入りをせずに済んだ……って所だろう。


 俺の予想が当たってる事を祈るぜ。いくらネット上だけの付き合いだったとは言え、友人の顔をした怪物なんか見たくも無いし、ましてその顔に斧や銃弾を叩き込むなんて冗談じゃないからな。


……


 ……よし。どうにかファラオの彫像の前に来たぞ。それにしてもデカイな。十メートル位は有るか? 比較しようにも、他の柱が不規則な長さで良くわからん。それに、壁面に対して真っ直ぐ建っていると思うんだが、周囲の角度が狂ってるせいかこっちに向けて傾斜してる様にも見える。まるで今にも倒れて来そうな……


 おっと、あんまり見ているとさっきの幻影みたいに落っこちやすくなるんだっけ。なら、手早く行かないとな。俺はバックパックからチャプター3で入手したヒエログリフの石板を取り出して、台座の窪みに嵌め込んだ。すると、台座の隣の壁面に音もなく入り口の通路が現れた。

 迷わずその入り口に入ると、今度はまたチャプター3を思わせるエジプト風の通路が続いていた。誰が灯したのか、壁面に一定の間隔で松明が取り付けてあるので、ここも光源は要らない。とりあえず、さっきみたいに風景がグネグネ動かないので、幾分かは楽に動けるだろう。


 ……問題は、その先の回廊だ。ここは簡単な迷路になっていて、その先に次へ繋がる扉がある。問題は、当然障害となる“番人”がいるワケで……


クスクス……クスクスクス……


 来たな。攻略法に寄れば、ここの番人は前のチャプターにも出てきた星の精だ。問題は、例のクスクス笑いを頼りにヤツから遠ざかって迷路を逃げ進んでも、いつの間にか前面に回り込まれて殺されてしまうらしい。

 更に種明かしをすれば、実際には星の精は二体居た……って仕掛けなので、攻略法であらかじめネタばらしをされていれば、何て事は無い。待ち伏せポイントさえ回避すれば、後は二匹になった星の精を振りきれば良いだけだ。扉を抜ければ追ってこないらしいから、無理して戦う必要もない。


 よし、件の扉を見つけたぞ。青銅製の両開きのタイプで結構重い。だが、チャプター2のよりは小さいので、何とか行けそうだ。

 全身の力を込めて、扉を少しづつ開いていく。くそ、思ったよりも時間がかかる。手こずっている内に背後から二つのクスクス笑いが聞こえてきた。クソ! もう追い付いて来たのか!

 さすがに一度に二体の星の精を相手に勝ち目は無い。背後の存在を一先ず忘れて、扉に集中してどうにか隙間と作ると、素早くその中に身を滑り込ませて、後は全力で扉を閉じた。同時に重いものが扉にブチ当たる音が響いたが、それきり静かになった。


 ……どうにか助かった。攻略法頼りとは言え、結構危なかったな。だがまだ、ここまでは序盤のイベントに過ぎない。さて、次は……

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