プロローグ
一日一話を目標としています!
よろしくお願いします!
「お、終わった……」
コントローラーを両手で握りしめながら、テレビの画面の前で俺はそうつぶやいた。
画面の向こうではさっきまで操作していた重厚な装備に身を固めた戦士のキャラがボスの死骸の前で吠えていたが、俺自身にはそんな元気は一切残っていない。
長時間の集中と緊張で俺の精神は完全にすり減っており、叫ぶ力など残っているはずがなかった。
今の俺にあるのは、ゲームをクリアした達成感でも充実感でもなく、猛烈な眠気とこれでようやく寝れるという安堵感だけである。
時計を見るとちょうど針は午前3時を指している。
連休初日から一睡もしていないので、およそ75時間以上ぶっ続けでゲームをしていた計算になる。通りでさっきから眠いわけだ。
明日、いやもう今日か。
今日から学校がまた始まるので朝7時には起きていなければ間に合わない。
単純計算で4時間弱しか寝れないことになるが・・・・・・果たして俺は明日生き残ることができるのだろうか?
この連休でたまっていた積みゲーを片付けてやるぜとチャレンジしてみたけどここまできついとは思わなかった。やめときゃよかったと後悔している。
ゲームの片付けもせず、残った力を振り絞りベッドの上にダイブ!
片付けないと母さんの機嫌は非常に悪くなるが、それは朝起きた後の俺に任せるとしよう。
久しぶりに感じるベッドの柔らかい感触を感じながら、あったかい布団の中で心地よい眠りに俺はついた。
・・・・・・はずだった。
【あなたの性別を設定してください】
どこからか声が聞こえてきた。
女性の、しかも無機質な機械のような声だ。
最初はテレビかと思ったが、こんな時間にやっている番組などないと思い直す。気のせいか?
【あなたの性別を設定してください】
また聞こえてくる。
やかましい。
俺は2徹でゲームをしていてようやく寝たところなんだ。訳の分からんこといって起こさないでくれ。
【あなたの性別を設定してください】
・・・男だよ。決まってんだろ。わざわざ言わせんな。
ほら、答えてやったぞ。もう寝てもいいよな。
ていうかこの声どっからきこえて・・・。
【次にあなたの職業を以下の中から選択してください】
戦士/剣士/騎士/格闘家/暗殺者/魔術師/召喚師/付与師/僧侶・・・・・・
・・・まだあんのか。もういいから。
ねむいっつってんだよ。勘弁してくれ。
こっちは明日朝早いんだよ。
それに妙にラインナップが充実しているのが逆に腹立つなあ。
【あなたの職業を選択してください】
うるせえっつってんだろうが!!
戦士でいいよ戦士で!
ほら! 選んでやったぞ!!
誰だか知らんが次またなんかいってきたらマジぶっころ・・・
【次にあなたのを種族を選択してください】
せめて最後まで言わせろ……。
あああああああああああああああああああああ!!
もう知るか!
俺は貴様が何を言おうと無視して寝る!
種族だろうがなんだろうが、そっちが勝手に決めてろ! ばーーーーーか!!
【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】
ふん、ようやく静かになったか。これで気兼ねなく寝られるわ。それにしても妙な夢だ。あんな夢をみるなんてやっぱりゲームのやり過ぎだろうか。これから少し減らした方がいいかな? ただでさえやり切れずに部屋の隅に未プレイのゲームソフトが積まれている状態だからなぁ。
あれ? ちょっと待てよ・・・。これが夢ってことは俺はもう寝てるってことだよな? でも寝ているんだったらこのひどい睡魔はなんだろう?
これはゲームのし過ぎが生んだ阿保丸出しの夢だと思っていたが、そうなるとここまで眠いのはおかしいということに気づいたが、
・・・・・・いかん、眠くて眠くて考えがまとまらん。
・・・・・・・・・・・・まあ、・・・・・・そんなこと・・・どうだって・・・・・・いいか・・・・・・・・・・・・明日、朝・・・・・・早いし・・・・・・・・・・・・・・・
あまりの眠気には勝つことができず、思考を放棄し俺はそのまま寝入る。
その時の俺は明日になればきっとこんなこと忘れていつもの生活に戻ることになるだろうと疑ってすらいなかった。
【・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・】
【現在、あなたのステータスをランダム選択しています。しばらくお待ちください】
【現在、あなたのステータスをランダム選択しています。しばらくお待ちください】
【現在、あなたのステータスをランダム選択しています。しばらくお待ちください】
【種族、能力値、特殊スキル、誕生場所がランダムに決定されました】
【・・・・・・ランダム設定ボーナスにより、初期スキルポイントが追加されます】
【それでは、■■■さま、第2の人生をお楽しみくださいませ】
※
端的に、かつ分かりやすく俺の今の状況を説明しよう。
なんか、朝起きたら赤ん坊になっていた。
それもオークの。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで?