クリスマスイベント13!
今回のお話は、魔石の紹介と、ルータスとマリーの過去を少し書きたかったというだけのものでした!
淡々としていてすみません!
「……ータス様、ルータス様!」
「ん?」
呼びかける声に目を開けると、目の前には心配そうなマリーの姿があった。その瞳は涙で潤み、今にも泣き崩れてしまいそうだ。拭き取ってあげるもりで腕を動かそうとすると、その腕が全く上がらない事に気がつく。
「…………?」
声をかけようとすると、自らの声も掠れて上手く上げることはできない。制御のできない体に、何が起きたのだろうかと考えると、先ほどルイを目の前にどこかに落ちた事を思い出した。
それならばここはどこなのか。
「……ルータス様」
「……マ、リ……」
ここはどこなのか、何故そんなに悲しそうな顔をしているのか、聞きたいのに名前を呼ぶ事すら上手くいかない。
ああ、そんな悲しそうな顔をしないで。辛そうな顔をしないで。もう二度と悲しませないと誓ったのに。
誰かとの記憶と混ざり、そんな言葉が頭を回る。
二度と……なんて、いつ、そんな顔を見せられたのか。
でも、そうだ。
彼女は幸せにならなければいけない。
いや、私の手で幸せにさせてあげたい。誰にも譲りたくない。
だから、早く、抱きしめて愛していると伝えなければ。
そう、強く願った瞬間、目の前が急に明るくなるような感覚に目を細めた。
「………………ん?」
「あ、良かったーこのまま昏睡状態になるかと思った」
「ルイ、どういう事だ」
「クリスマスのイベントで使う魔石を、ルータスが触っちゃってさ」
数日前から私は昏睡状態だったらしい。
理由はクリスマスイベントで使う魔石を誤って触ってしまった事により、中に入っていた魔力全部を体が吸い上げてしまったことが原因だったようだ。
その魔力は、国全体に振りまく為に魔力を入れられていた為に、多量の魔力を吸ってしまったらしい。
「………………」
「覚えてないかな?」
「どこからが現実なのか分からない」
「そっか、そっか、まぁ……不良品だったみたいだね」
「大丈夫なのな?この魔石を作るのは苦労していたはずだろう」
「うーん、まぁ大丈夫じゃないかな?」
そんな事を言って彼は笑った。
今回この魔石を使った、幻想の世界へ一瞬行くことができるイベントは、メインのイベントだったように思う。
しかも、自分が思う幸せを確実に見ることができる幻だ。
これを完成させたのはリューなので、失敗作品ではないのだろうが、何かしらの不具合でもあるのだろう。
「驚いていないようだな」
「ん?ああ、俺は心配してなかったからね」
「昏睡状態が終わるって知ってたのか?」
「うん、というか昏睡状態中も研究してた。リューが」
そもそも、誤って触ってしまったということだったが、もしかしてリューが話しかけた時から魔石に触れさせられたのでは無いか。と、そんなことも考えてしまう。
「その研究とは?」
「んー……その人が本当に欲しいものを聞き出す?」
「なんだそれは」
「心の底の好きなものとか、記憶とか、欲しいものとかを聞き出すことができるかもしれない……とか言ってたかな?」
一体いつからの記憶が本当の自分なのか全く思い出すことができない今、そういえばアカネと訪れたあの宝石店にある赤い原石はあるだろうか。と漠然と思った。
あの原石があればマリーに色々と作ることができる
「…………そういえば、数日間寝込んでたから、明日クリスマスだよ」
「…………な!!!」
数日間寝込んでいたのに私の体調の事を全く聞いてこない男がなにやら恐ろしい事を呟いた。
明日がクリスマスというと今日は12/24。
マリーと会うと予定していた日だ。
「時間は!!!」
「もうそろそろ夕方、かな?」
「ちょっと、予定を思い出した、帰る」
「そう、あ、寝てる間、俺仕事全部やってたから、後で色々よろしくね」
「…………分かった」
マリーに浮気の現場を見られてしまったかもしれないという事は既に頭には無かった。
約束を破るつもりは全くない。早く向かわなければ。
それだけを考えて、寝込んでいたにしてはすこぶる良く動く体を急いで動かしながらマリーの家へと向かった。
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