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クリスマスイベント12!

 知らない部屋だった。

 ただ、今まで寝ていた部屋とはまるで違う。

 真っ白な天井、真っ白な壁、真っ白なベット。

 そこに自分が寝ていた。

 自分がマリーの事で悩んでいたことを一瞬忘れ去れるほどに、そこの空間は驚くほど白い世界だった。

 こんな場所を自分は知らない。


 とりあえず起きてみよう、そう考えて体をベットから降ろそうとして足をベットの横に出した時に違和感に気がつく。

 こんな細い足をしていただろうか。そもそも、こんなに足が短いはずが無い。


 そこまで考えて気がつく。

 ここは、遥か昔に()()()()()()()()()()

 今の自分の記憶を辿っても思い出すことはできないが、なぜか、昔にこんな場所に自分はずっと寝るようになってしまった事があったはずだ。


 それがいつだったのかは明確に思い出せないが、それは確かに感情として残っている。

 確か、その時から、悔しい気持ちを抱いていたんだ。

 こんな体ではあの子を守ることが出来ない。もっと強くなりたい。次生まれ変わるなら、絶対に強い体に、あの子を守りきれるほどの強さを持つ人物になるんだと、強く願った気持ち。

 例え、あの子が自分を好きにならなくても、それでも守りたいという感情。

 それが今流れるように頭に入ってきた。



 その時から思っていたのに、何故忘れてしまっていたのだろうか。

 あの子が幸せであるならば、私は何でもしようと誓ったではないか。


「…………ふ」


 目をつぶり、その気持ちを思い出すと私は今悩んでいた事柄が頭から消えていくのが分かった。

 頭がスッキリとした感覚に陥り、目を開くといつもの休憩室にもどっている。


 今のは一体なんだったのだろう。

 何故、あの場所に、あの姿で自分はいたのか。それは分からない。


「でも、助かった……」


 その言葉を発した時、ある事に気がつく。

 ここは、休憩室ではないのではないか。という事だ。


 全く同じ作りをしているし、本棚に置いてある本の内容まで被せてある。

 しかし、この空間には全く外気は入ってくることは無いはずなのに、足元に風が吹いているような感覚がある。だが、私を休憩室からこの場所まで全く気づかれずに運べる人間などいないだろう。


 その時、人が扉に近づく気配を感じた。

 私は一応身構えて迎えうつ。



 ___ガチャ。



「あ、やべ」


「ルイ?」


「起きちゃったね」


「いや、今起きたところで」


 そこから顔を出したのはいつもと変わらないルイの姿だった。扉を開けて起こしてしまった事を詫びてくる姿は本当に申し訳なさそうにしている。

 一応警戒を解いて仕事に戻ろうとベットから起き上がるとルイがいる扉の方に歩き出した。

 その時ルイが不意にしゃがみこんだ。なんだろうと感じるより早くら彼は立ち上がり早くおいでよというように手招きしてくる。


「ルイ、どうし……」


 扉を潜り抜けようとした瞬間、足元の床が抜けたような感覚が体をめぐり、本当に落ち始めた体を支えようと手を伸ばす。

 ルイと目が合う。


「ごめん、ルータス」


 彼の声が聞こえた時、既に彼の姿は見えなくなっていた。

お読みいただきありがとうございます!

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