クリスマスイベント3!
このイベントのタイミングは、ルイとリテーリアが婚約して半年後位と想定してます。
と、書き忘れてました。
「ルータス!」
「ルイ?」
「はぁ……はぁ……リテーリアちゃん見なかった?」
「リテーリアなら、さっきあっちに向かったが……」
「そっか、はぁ……よかった」
ものすごく息を切らして走ってきたルイは、疲れ果てたのか私の隣に座り込んだ。少しセットされていた髪をがしゃがしゃとかき回し、顔を伏せながらため息をついている。
「何故走ってたんだ?」
「ああ……リテーリアちゃんの持ってる箱、あれ星が入ってるんだよね」
「星……?まさか、木の上に飾るあの星か!?」
「うん、で、見られたらクリスマスってバレちゃうのはサラサ様とアネモア様だからさ」
「それは……前の世界のイベントだからか」
「そうそう、なんでリテーリアちゃんがあの箱持ってるのか分からなかったけど……とりあえずこっち側研究室しかないからアネモア様は来ないし、サラサ様は会議でお城行ってるし、とりあえず安心したら急に疲れちゃった」
「お疲れ様、しかし、リテーリアに普通に話しかければ走らなくて済んだのではないか」
「……………………」
急に黙り込んだ彼を見ると、なんだかいつもより衰弱しているように見えた。俯いたまま顔を上げようとしない。
割といつも笑っている印象なだけに少し心配になる。
「どうした?」
「リテーリアちゃんを、その……とっても怒らせちゃってさ」
「とっても?」
「あの子……怒ると口聞いてくれなくなるんだよね」
「そうなのか?そもそもルイがリテーリアを怒らせた事が私は驚きだが」
「…………うん」
ルイはしゃがみ込んだまま本当にうごかなくなった。
ここまで落ち込んだルイの姿は見たことがないため、どう声をかけたら良いのか分からない。
そもそもこの2人が喧嘩をしている事が本当に想像がつかなかった。ルイもそうだがリテーリアもトーマス様以外に怒っているところを見たことがないからだ。
そんな事を思い浮かべているとルイがポツリと話し始めた。
「……急に、『この1年間何を隠していたのですか』って聞かれてさ」
「……それは」
「答えなかったらすごく笑顔になって『そうですか、ルイ様ってば本当に面白いですね』って言われて……」
それから口を聞いてくれなくなったらしい。
いくら謝ってもニコニコと笑いながら手を差し出されて終わるようだ。話してみろ、ということなのだろう。
「トーマス様には話したのか?」
「いや、話さないよ。あんなに楽しそうにしてるトーマスにこの話はできないでしょ」
「……そうだな」
私も今回のデートの件はトーマス様に話すことはしたくない。なるべくあの人に迷惑をかけないまま事を終えたいと考えているからだ。
そして、このルイという人物は、私以上にトーマス様の幸せを望んでいる節がある。だからこそ、必ず今回のイベントは成功させたいのだろう。
「はぁ……とりあえず研究室に向かうことにするよ」
「リテーリアが居るんじゃないか?」
「仕方ないよ、とりあえず箱回収しなきゃね」
乱れた髪をそのままにし、心も体もボロボロの状態のルイはそのまま建物の中に消えていった。
「そういえば……リテーリアはルイを許すとか言っていたか」
今更になって思い出したその情報も、今から付け足しで話したところで信憑性に欠けるというものだ。
研究室で仲直りをする事を祈りつつ、今のルイの姿が未来の自分の姿になりそうだという恐怖に私は体を震わせた。
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