「ハッピーハロウィーン!」
ちょっと早いですがハッピーハロウィーン!
恋愛要素薄めの本編をおまけで補充していくシステムです。
本編終了後のお話となっております。
そういうのが嫌な方はご注意ください。
「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃイタズラするわよ?」
「ん?とりっくおあとりーと?なんですか、それは」
そろそろ風が冷たくなって来た日、黒いマントを羽織ったサラサ様が急に私にそんな言葉をかけて来た。
「前の世界のお祭りみたいなものよ、子供がお化けの格好して色んな家を歩き回るの。それで『トリックオアトリート!(お菓子をくれなきゃイタズラするぞ!)』って言って、大人にお菓子を貰うイベントなのよ」
「へぇ、面白いですね」
「あ」
そんなイベントを行ったら街が賑やかになりそうで面白そうだ。
そんな事を考えているとサラサ様がニヤッと笑いながら人差し指を私に向けて来た。
「ん?」
「そうそう、大人が大人に聞くのは意味が違ってくる時があるのよ、どういう意味か分かる?」
「んんー??……分かりませんね」
「ふふ、ルイに聞いたらすぐ分かるわよ」
「ええ……本当ですか?」
その時は釈然としないまま、私はルイ・アントンに質問したのだった。
________数年後。
「それで、あの時はまだ早いって教えてくれませんでしたよね」
「ん??ああ、ハロウィンのこと?」
ソファに座ったルイがこちらを振り返りながら答えて来た。私は本を片すために片手に本を持ちながら本棚の前をうろうろしている。
「そうです、あれは結局なんだったんです?」
私がルイの方を向かずに聞いていると、不意に本棚に影がかかった。
振り返ると、すぐ近くにルイの姿がある。
その顔はとてもニコニコしていて、なんだか嫌な予感がした。
「ル……」
「『トリックオアトリート、お菓子をくれなきゃイタズラするよ?』」
「え、な、なんですか?急に、」
片手を私に差し出して小首を傾げているルイに対し、私は少し距離を取った。
変な事を企んでいるに違いない。
「ねぇ、お菓子、くれないの?」
「え、用意すれば……」
「だめ、今すぐ」
ルイは、ニコニコとした顔のまま私にずいずいと寄ってくる。
私は手で彼の体を押すものの、片手に本を持っているため彼を追いやることもできず、そのま背中が本棚についてしまった。
「な、ない……ですが……」
「じゃあイタズラしないといけないね?」
「イタズラ?」
「そう、イタズラ」
気がつくと彼の顔が近くに来ていて、そのまま口を塞がれた。
空いている手は彼の手で本棚に固定されて逃げることはできない。そもそも、私は驚いて固まっている。
一瞬で離れたものの急にされたそれに、私の耳に自分の心臓の音が聞こえてきた。
「んー、これじゃあイタズラにはならないかなー?」
ぎりぎり触れない距離しか顔を離さない彼をちょっと睨んでみるが、その睨みは全く効かない様子。
「び、びっくりしたので、十分かと……」
「えー?そうかな?じゃあリティからキスしてくれる?」
「い、意味がわかりません!」
「ふぅん?」
ちょっと不満そうな顔をしたルイが怖くなって、ぎゅっと目を瞑っていると、本を持ってきた手が急に軽くなった。
あれ?と思ってそちらを見ている間に体が中に浮かび、さらに進む方向が寝室だと気がついて我に帰る。
「ちょ、ちょっと、ルイ!そっちは!」
「んーー、なんだろうね?」
顔を真っ赤にさせた私はバタバタと逃げる努力をしたが、今の彼には私を開放するという選択肢がないらしい。
いつのまにか私の背中には柔らかいベッドの感触があった。
急展開すぎて頭が上手く回らない。
「………………」
「ねぇ、リティ、子供と大人の違い、分かった?」
「わ、分かんないです」
私がそう答えると、ルイがニヤッと笑って“そうかぁ”と呟きながら私の髪をなでた。
「んーそうだなぁ…具体的に言えば…………」
「具体的に言えば?」
「今俺には目の前には、お菓子があるように見えるってことかな?」
「はい?」
「ふふ、美味しそうだよね?」
「…………全然美味しそうじゃない!」
「はははっ大丈夫、だってほら……」
___お菓子をくれなきゃイタズラするだけだからさ。
おわり。
このために一応R15を付けました。付けなくても大丈夫だったのかしら。
番外編を書き始めました。この物語が始まる前に繰り返していた世界の話です。
不定期の更新だとは思いますが、よろしければ見てくださいませ。
「ゲームの中の友人が本能むき出しで怖い。」
主人公はルイ・アンドウです。




