これは、この人の物語?
この世界は同じ時間を繰り返している。
その中で私は、愛しているあなたと、愛している妹の結婚式を見た後、私に興味がない男と結婚し、白黒の日々を送り、死ぬ。
始まるのは私が4歳の時、お母様にハンカチを貰う瞬間。
妹に渡すはずだった色取り取りの刺繍が施されたハンカチを渡されて、目の前で取り換えられる。
こっちだった、そう言いながら。
それもとても手の込んだ刺繍がされているハンカチだが、全てが水色で施されているものだ。
そのたくさんの色が入っているハンカチが欲しいと言うと、お母様はとても悲しそうな顔をすることを私は知っていた。
だから、3回目からは言わないように気をつけた。
これはだめだった、
あれはダメだったと過ごすようになった。
どんどん物分かりのいい娘になった。
この世界の終わらせ方を調べ続けた。
知識だけが異様に高くなった。
いつしか刺繍が嫌いになった。
予習と復習を繰り返す。
でも、結果は変わらない。
結婚する旦那は、いつも私を愛さない。
同じ時、同じセリフ。
「お姉様はあの方をお慕いしていたのでしょうに」
見上げると貴方の顔。
その時にはもう、貴方と対等に話しはできない。
呼ばれなくなる夜会、なら、必要なことはもうしない。
無意味な努力も意味がない。
ただ、ただ、来る毎日をこなす。
こなして、こなして、私はどうなってしまうのだろう。