「64!」
「そういえば、トーマス殿下」
ニヤニヤとした顔を普通の顔に戻し、私は疑問に思ってた事の1つを聞いてみる事にした。
「はぁ…なんだ」
「殿下、ステータスって何故つけたんですか?」
「ステータス?もしかして色々な数値のことかな?私には付いていないけれど……」
「えっ?」
殿下はステータス見れないのか……。
え、じゃあなんで私ステータス見れたの?
「何故、私にステータス見れるようにしたんですか」
「え?リテーリアはステータスが見れるの?」
「んん???」
お互いに顔を見合わせる。
私にステータスを設定したのは管理人ということなのか。
「殿下、管理人さんて、誰なんですか?」
「管理人?ああ、聞こえてくる声の事を言っているのか」
「声?あの、なんか《かしこまりました》みたいな女の人みたいな声ですか?」
「いや、男の声だろう」
んんー?なんだか私の認識と殿下の認識が違うようだ。そもそも私の聞こえる女の人の声は多分管理人さんじゃない。
「トーマス殿下、ちょっと……あの、たくさん聞きたいことが出てきました」
「奇遇だね、私もだよ」
「そもそも私はトーマス殿下にどこまで作られたのですか」
「……ふーん、私が作った……ね」
そう言うと殿下は足を組んで私に向き直った。
顔が面白い事を聞いたと言っている。
「…………もしや、殿下……私をお作りではない?」
「そうだね、私はリテーリアを作った覚えはないかな、こんな人物が居たら好ましいとは伝えたが」
なんだって!それでは、私が殿下に抱いていた複雑な気持ちは勝手に私が抱いた物になるではないか。
それはちょっと申し訳ない……です。
「…………えと、では……高林俊哉さ、さま?」
「なんで急にその呼び方?俊哉でいいよ」
「……俊哉……さま」
「 はははっ、さま、つけちゃうか、まぁ、いいよ、なに?」
一応前の世界について聞くなら殿下ではない気がして呼び方を変えたのだが、話し方が少し変わるトーマス殿下にちょっとだけ戸惑いながら話し始めた。
「その、乙女ゲームにしては歴史についてしっかりと構成してあると思ってまして、その知識が私の中に全部入っているのですが……それはなぜでしょう」
「……なんでリテーリアが『乙女ゲームにしては』と使うのか分からないけど、そうだね、作成したのが俺と歴史が大好きな人物2人だったからと言っておこうかな」
殿下が言った言葉に自分自身でもキョトンとしている事が分かる。
なんで自分の口からその疑問が出てきたんだろうか。
「なんで私、乙女ゲームにしてはって思ったんですかね……?」
「それを俺に聞かれてもね、リテーリアも乙女ゲームの存在がある世界に居たんじゃない?」
「それは……とても想定外なのですが」
「そうだね、俺も今驚いてる」
ニヤッと笑った殿下が私を試すような目でこちらを見てくる。
自分でもきっと気になっているだろうに、私を動かして解決させようとしてそうだ。
その手に、私はもう乗っている……。くやしい。
「管理人に教えてもらったよ、この世界が動き出す時に、アネモアの妹としてリテーリアを加えるってね」
「ご自身がトーマスになる事は知っていたのですか?」
「ああ、香織の事以外の……サラサがさくらという人物だとか、この人物が繰り返す世界の記憶があるとか、そういった情報も生まれ変わる時に聞いた」
なるほど、そこで誰がどの人物か聞いていたなら、姉さまが香織様だと思う事がより難しかったという訳か。
一応参考に私の事を聞いておこう。
「……期待通りの人物でしたか?」
「ん?リテーリアが?」
「はい」
「そうだね、とても好奇心旺盛で、姉のことが大好きで、トーマスにも突っかかっていけるような度胸を持った人物だから、だいたい合っているよね?」
「あら、それはもうリテーリアじゃない!」
「サラサ様!マリーにリュー……姉さままで……」
それまで私と殿下以外の4人で話していたのにサラサ様が急に会話に入ってきた。
他の3人も私を見て頷いている。俊哉様の言葉はなんだかちょっとイヤミを含んでいた気がするだけになんだか複雑な気持ちになった。
「意地悪ですよ」
「はははっリテーリアは表情が変わって面白いなぁ。それでさ、なんで俺が、リテーリアを作ったと思ったの?」
「それは……」
それを答えようとした時、扉がノックされる音が聞こえた。
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