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彼女の思い出の話

本日2話投稿しております。お気を付けください。

 

 彼女はマスカットとラフランスを食べていた。

 出ていた熱はもう下がり、体力の回復を待てばもう大丈夫だろう。

 冷たく冷やされた果物は甘く、昔の苦い記憶を思い出すのにはちょうど良い気がする。




 話があると言われていた日に待ち合わせ場所に来なかった彼。

 何の話があるのかは知っていた。

 でも、サプライズが好きな彼のために知らないフリをしていた。



 だから、目の前の事実を頭が理解しようとせず、ずっと彼からの言葉を待つことにしてしまった。


 だって彼が言っていた。

 信じていたらきっと夢は叶うんだって。



 でも、そんな日々を過ごしていたからだろう。

 自分の不注意で電車の線路に落下したような気がしたのは。


 目を覚ますと別人に生まれ変わっていた。



 落ちる前までの現実は、どこかに行ってしまった。

 これは夢なのかもしれない。

 現実を見ない、私の罪の、夢。




 いいえ、違う。私は死んだのだろう。



 ずっと私を心配してくれていた妹を残して、私は世界から消えていなくなった。

 それはこちらに来てから気がついたことだった。

 私は彼女になんて事をしてしまったのだろう。


 だからこそ、この世界の妹の事は大切にしなければ。

 いつも私の事を考えてくれている、かわいい妹を、一番に考えなくては。




「アネモア様、リテーリア様がもし体調が悪くなければこちらに来て欲しいとお手紙が」


「ん?リティちゃんが……?なにかしら」


「体調はどうですか」


「ふふ、リティちゃんと話したからなのか、もう全然平気なのよ、不思議ね」


「それは良かったです」


「ええ」


「……アネモア様、私」


「なぁに?」


「……いいえ、私は、ずっとアネモア様について参ります。アネモア様のお世話を出来るのは私のみなのですよ」


「あら、マリサったら、変わってるわねぇ」



 では、早速大切な妹のために移動をしよう。

 久々に外に出るのだから少しだけおめかしをして。


「マリサ、ちょっと外に出るわ、着替え、手伝ってくれるかしら?」


「かしこまりました、アネモア様」



お読みいただきましてありがとうございます。


マリサの秘密はこの話の番外編「ゲームの中の友人が本能むき出しで怖い。」で出てくる予定です。

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