「59!」
本日は2話投稿しております。お気をつけください。
ボス戦の前の作戦会議
「あくまで、予想です」
「それは、なんでそう思ったの?」
「殿下は姉様のことが好きなはずなんですよ」
「え、ええ……そうね、好きであることには間違いないと思うけれど」
「でも、好きにならないようにしているのは、自分の中に好きな人がいると思っているからなんですね」
「それが、不思議なのよ。どうしてそうなるの?」
「ではここからは今までの話をまとめて、考えてきた私の妄想だと思って聞いてください」
これは、私の脳が考える予想だ。
まずこの世界は何かしらの理由で、クリアをしなければいけない決まりになっているのだろう。
それらを管理しているのを仮に管理人とする。
管理人はクリアを目指す為にこの世界に詳しいであろう殿下を用意した。
働いてもらうための褒美として、クリア報酬(恐らく婚約者に関すること)を渡す事を約束し、この世界に下ろす。
しかし、殿下だけでは不安だった管理人は、殿下に駒(私)を用意させ、それにどういった指示を出したら良いのか仰いでいたのかもしれない。
つまり、殿下は、このクリア報酬によって自分の婚約者に再会できると仮定し、殿下以外のメンバーがなるべく好感度の最大値を出すように動いた可能性が高い。
ただ、殿下にとっては予想外な事が起きる。
それは管理人が、殿下自身の好感度を上げようとした事だろう。
でもきっと、それは初めから決まっていたはずだ。
だって恐らく、姉様に婚約者を当てはめることで管理人はほぼ全員の好感度を上げることに成功するのだから。
「この世界は全員が意識を持った段階から、クリアに向けて動く必要があったのだと思います」
「…………私には色々と少し理解が追いつかないのだけど、婚約者を当てはめるってそんなことできるのかしら」
「あまりあり得ないことだと思っていますよ。でもそれができる状況だったのであれば、管理人はそうするでしょうね」
「それに、管理人の存在はどうして想定したの」
「まず、前提で、殿下は誰かと報酬の約束をしているのです。報酬を出すのは、殿下の上の人物以外あまり考えられないです」
「じ、じゃあ、私とかリュー様が繰り返す世界の中で意識が出た時から世界がクリアに向かわなかった理由は?」
「……それは、私も分からないけど、この世界がまだ未完成だったんじゃないかと思うの」
「……………妹が、アネモア嬢がその、高林俊哉?の婚約者だと思った理由は」
「裏ステータスなんかがあることと、実は、姉様の侍女に裏付けを取ってきた」
「裏付けってなに?」
「ん?それは姉様の……」
言葉を続けようとした時廊下から誰かが近づいてくる音が聞こえてきた。
皆が視線を扉に向ける。
その人物は扉の前で止まったような気配がした。
「ああ、そういえば呼んだ人がいるのだった」
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