「57!」
いつもよんでいただき嬉しいです。
トーマス殿下の秘密を見つける会は、あの後サラサ様がニコニコとしながら「高林俊哉か……前に色々と調べたな」と呟いたかと思うと、手をパチンとはたき
「では、次回までにトーマスの弱みを何か入手してきてちょうだい!今日は解散いたしましょう」
と言ったことで終わった。
正直、私はこれ以上はトーマス殿下に直接聞かないと詳しく分からない気がする。
今までもそうだったが、考えただけじゃ最終的には分からない事だってあるのだ。
でも、確かに、ここでトーマス殿下に聞きに行ったんでは何となく癪ではある。
もうちょっとまとめてから突きつけたいものだ。
「……………………」
「お嬢様、紅茶飲まれますか」
「のむ」
正直、姉様と話せないことが一番辛い。
姉様とお話ししたい。
最早、姉様とお話しできるのであればもう、殿下の事なんてどうでもいい。
「ねえさまが恋しい……」
「お嬢様、アネモア様に伝えないのですか?婚約者にはならないと」
「……婚約者ではない事を伝えるのはいいのか」
「伝えるべきかと」
「あー違うよー話も出来ないんだよー……」
「いいえ、お嬢様、お手紙という手がございます」
「…………なにそれ、エリサ……あなた天才なの」
「いいえお嬢様、すぐに用紙を用意いたしますね」
「ありがとう!」
エリサは紅茶と共に手紙を用意してくれ、私は何度も何度も考えて手紙を書いた。
『姉様へ
いかがお過ごしでしょうか。
私は、姉様とお話が出来ない辛い日々を過ごしております。
もしかしたら、姉様は勘違いをしているのではないかと思い、お手紙を書きました。
姉様、私はトーマス殿下とは絶対に婚約者にはなりません。
トーマス殿下から言われております。
ですからもし、それが原因でお会いできないのであれば……私はとてもトーマス殿下を恨みます。本気です。
リテーリア』
「うん。よし」
「お嬢様……本当にこちらでよろしいのですか」
「……うん、ちょっと姉様も、ひどいと思ってるし」
「アネモア様も?」
「うん、婚約者のことだったらね。私に聞きもしないで判断して。ひどいなって思ってた」
「なるほど、かしこまりました。ではマリサに渡してきますね」
「……うん、お願いします」
まぁ、姉様と結婚するとしても、トーマス殿下の事は恨むんだけどね。
さて、もし姉様と話ができるようになるなら話は別だ。
トーマス殿下についてもう少しだけ考察しよう。
ひとまず裏ステータスについて考えてみる事にした。
ステータスをオープンする。
トーマス・ウィスタリア
「アネモア・クロスウィリム」8500/15000(1000/10000)
「ユリエスタ・コーエン」300/10000
[勉強]510/1000 [教養]520/1000 [ダンス]630/1000 [剣術 ]520/1000 [気遣い ]660/1000 [料理]480/1000
※皇子のオーラが発動中
※裏好感度発生により、突如好感度ステータスが大幅アップする可能性があります
アネモア・クロスウィリム
[トーマス・ウィスタリア]500(2500)/1000(10000)
[勉強]390/500 [裁縫]410/500 [ダンス]350/500 [美容 ]500/500 [教養 ]420/500 [料理]320/500
※裏好感度発生により、突如好感度ステータスが大幅アップする可能性があります
「……そうか、姉様にも裏好感度があるんだもんね……」
やっぱり裏好感度の裏って、何の裏を指しているのだろうか。
殿下の気持ちと高林俊哉の気持ちを分けて考えるのかと思ったが、それならば1人の人の中に2人の人格がある事になる。
そんな事もあるかもしれないと思っていたが、姉様もそうだという事になると、ちょっと考えにくい気がする。
「あ、逆とかかな。サラサ様みたいに、たまに前の口調とかが出ちゃうみたいな?それで、その人の方が好き?みたいな?」
なるべく頭でまとまるように口に出して言ってみた。
つまり、姉様が殿下を見ていつもの殿下とは違う、高林俊哉バージョンの行動などを見た事で、高林俊哉(裏)の好感度も上がった。という考え方だ。
でもそうなると、姉様にも何か秘密がある事になる。
ただそれは、昔におかしなタイミングで悲しそうな顔をする時があったのは、それが原因だと考えれば不思議では無い。
もし、万が一、私の今の考えが合っているのだとすれば、殿下は姉様を通して違う人を見ている事になるのだろう。
……彼が本当に望むのは誰なのか。
前の世界で好きだった人でも居たというのか。
その人との関係はどうなって、今どんな気持ちなのだろうか。
もんもんと考えていると廊下からバタバタと音がする。バンと音がして扉が開いた。
「ん?」
「お嬢様!」
「エリサ?」
「アネモア様が!」
「え、姉様が……?」
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