「52!」
「それとね、殿下とかルータス様は、本来この学園で出会うはずだったんだって」
「それも、乙女ゲームでは、ですか?」
「ううん、繰り返す世界でもそうだったみたい」
何故、今回は入る前から幼馴染の様に仲が良かったのか
それはサラサ様が、早くにキャラクター達を目で見たかった為に、集められる人材は早めに集めたと言っていた。
しかし、その中にキリト様は居なかったはず。
「キリト様とも、すごく親しかった気がしたんだよねー……殿下」
「キリトは……あ、えーキリト様は……」
「仲間なんだもんね、今は気にしないで話しなよ」
「はい……では……前の時は、キリトはトーマス殿下とは接触する機会なんてありませんでした」
「繰り返してた時?」
「はい、そうです。ですが今回は、お嬢様が5歳の時には既に、キリトとトーマス殿下は会っていたように思います」
「ん???え、エリサが情報屋始めたのって、そんな前なの?」
「………………あーという、話しをですね」
「いやいや、誤魔化せてないけど、まぁ、いいやそれで、それで、私が5歳って5年前だね」
「はい、しかも、内容は、個人的にあの第一皇子を大人しくさせたいと言っていたらしいです」
「ほーん、個人的にね」
「私も情報を提供いたしましたので間違いありません」
「ん???エリサは殿下と会ったことあるの?」
「いいえ、キリトを通じてですよ」
「…………ふーーむ」
「お、お嬢様。私は今、お嬢様に疑われておりますか」
「……ちょっとね、ちょっと」
慌てるエリサを宥めながら思う。
5年前位の殿下は6歳とか7歳だったはず。
その年齢で、兄を大人しくさせたいとか思うのだろうか。
しかも第一皇子だって当時10歳とかだ。
そもそも、女遊びとかする年齢ではないと思う。
怪しい。
何かを知っていたから動いた。と考えても良いのではないか。
では何の為に?
「あと、クリアの指してる意味かな、疑問に思ってるのは」
「……やはりお互いの気持ちが通じ合った時に生じておりますし、それがクリアだと考えるのが妥当かと思いますが……」
「例えばね、ステータスが見える人たち同士じゃ無かった場合はどうだったと思う?」
「どういうことですか?」
「つまり、例えば……マリーと、その、今まで通り結婚する相手だった場合」
「あの没落する予定だった……」
「そうそう、その相手とマリーが両想いになる可能性もあったでしょう?」
「……なるほど」
「その場合はクリアにならなかったのかな?」
「………………つまり、ステータスが見えている人物が誰かと両想いになれた場合がクリアではないかということですね」
「そう!!」
「うーん…………」
「じゃないとね、マストリヒ家を潰す理由があんまりないんだよね」
「……理由ですか」
「うん、万が一、マリーがルータス様と両想いにならなかった時に、マリーがクリアするならその人とになるからさ」
「うーーん、そこまで考えますかね」
「例えば、そのクリアは報酬の内容が、とんでもなく怖いことが起きるのを防ぎます!とかなら、それくらいやらない?」
「火山が噴火しますとか、でしょうか」
「まぁ、例えばなんだけど」
クリアしなければいけない要因がある場合、何が何でもクリアに持ち込みたいと思うだろう。
そして、その物事を解決するためには、この学園が出来るよりもだいぶ前から動く必要があるはずだ。
そして、昔からこの世界の流れを変えてしまうほど動いていたのは、サラサ様と、トーマス殿下のみ。
いよいよ怪しいぞ、殿下。
このまま姉様の婚約者で大丈夫かな。
姉様もっと利用されたりしない?
心配だ……。
「………………姉様に会いに行こうかな」
「アネモア様に?」
「う、うん、明日にお茶したいなって、マフィンの報告もしたいし」
「ふふ、本当に昔からアネモア様が大好きですね」
「ええ!」
「では今日はここまでにしましょうか、もう少しキリトにも話を聞いてみますね」
「……そういえば、私に教えて大丈夫なの?」
「何を言っているのですかお嬢様、私は……独り言がどうしても大きくなってしまうだけなのです……」
「…………」
エリサは私の寝る支度を終えて部屋を出て行った。
ベッドに横になって目を閉じてステータスを思い浮かべてみる。
そう言えば……色々なスチル見てきたけど、殿下のだけ目線がこっち向いていたな……。
このステータスについても知っている可能性もあるけれど。とりあえず、殿下は……ナルシストなのでは……。
そんな事を思いながら夢に落ちていった。
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