「45!」
姉様とのお茶会を終えて1人で学園を歩いていた。
久々の学園の散歩に少しだけ気分が上がる。
そのまま皆んなのステータスについて考え始めた。
そもそも、他のステータスが出てくる人たちは、誰の協力も無しにクリアをしていたり、婚約していたりする。
そういえば、ルータス様とマリーはボーナスにより好感度が大幅アップとか書かれていたような……。
他の人たちの恋人のケースのステータスを見てみたい。
だが、今はどちらも支障があって見ることが出来ていない。1つは元になった世界の名前を答えなければいけないし、もう1つは学園に通っていないキリト様に会わなければいけない。
名前を当てるのは割と難しい。
サラサ様も名前は言いたくなさそうにしていた。
ならば、キリト様を学園に何かしらの理由をつけて呼ぶというのが良い方法だろう。
ユリエスタ様のキリト様の好感度ステータスでは最高値ではなかったので、この後の動きがしっかりと見ることが出来たら姉様の見本になるかもしれない。
姉様には裏の好感度ステータスというのが発生している。
今までの流れでいけば、トーマス殿下の好きな人が姉様か、姉様に似ている人なのかどちらかなのだろうが、今の殿下が姉様に惚れているという事はあまり考えられない。
心配なのはこのままステータスから出されるお題に応えていけば、ちゃんと好感度が達成されてクリア出来るかどうか。
裏ステータスが出て来たのがクッキーを作った後だった。
もしかして、ステータスから出るヒントというのは、裏ステータスに関係しているのだろうか?
しかし、やはり謎なのが、なぜ裏なのかということ。
そのまま姉様のこと好きになっちゃダメなの?
何裏って。
姉様に裏の一面があるというの?
「…………」
やめよう。
裏の一面がクッキー作りで出るはずがないのだ。
まぁ、どんなやばい姉様でも私は受け入れられるけれど。
そんな事を考えていたら前からルータス様が歩いて来た。私に気がついて手を上げてこちらに小走りでやってくる。
「リテーリア嬢、どうした?何か良いことでもあったか?」
「ええ!姉……ックレスが、お気に入りのものでして!」
「そ、そうか、それは良かったな……」
姉様の事を考えていましてと答えようとしたものを強制的に変更する。流石に毎日ずっと姉様のことを考えていることを人に伝えるのは気持ち悪すぎる。
「と、ところでルータス様、何かありましたか?」
「ああ、そうだった。キリトが学園に来てみたいと言っているらしくてな、 彼はお菓子作りがとてもうまい。良かったらアネモア嬢やリテーリア嬢なども一緒にどうかと思ったんだ」
「え、お菓子?マフィンなども作れるのでしょうか?」
「お、彼の得意なお菓子がマフィンだったはずだ、前にも食べさせてもらったよ」
良い。素晴らしい。なんて素敵なタイミングなのか。
しかもキリト様を見ることができれば、ユリエスタ様とキリト様のステータスも見ることができる!
これが見れたらまた姉様のクリアに繋がる情報がゲットできるかもしれない。
「ぜひ……」
「ん?」
「是非!お供させてください!」
「ははは、そんなに力を込めないでくれ。それに、前に協力すると言っただろう」
「へ?」
「アネモア嬢とトーマス様が仲良く国を作っていけるよう、私も協力を惜しまないよ」
ニッコリと笑ったルータス様の背後に白い羽が見えたような気がした。うっかり片膝をついて両手を前に組みそうになる自分を律する。
こんなチャンスを与えてくれ、更に今後も協力してくださるなんてなんて素晴らしいのでしょう。
私もマリーにもっと積極的に触れ合うと良いと助言しておきます。
と、心の中で思った。
「ところで、今日のネックレスがお気に入りなのは、その色の為かな?」
「色?」
「だって、ルイの目の色は緑色だから」
「!!」
またルイ・アントンの話し!
さきほど姉様とのお昼の時、永遠にそのことを聞かれてもうお腹がいっぱいだ。
「えと、ルイ・アントン様とは、ほんとに、何もありません」
「そうなのか?だがこの間庭のベンチで……」
「うわわわ」
両手を前に出して慌てて止めた。それ以上その話を続けられるのは困る。
「今は!姉様と、魔石の事で頭がいっぱいです」
「なるほど、大変そうだからな」
「なので、その話は今は無理です」
「ふむ、なるほどな」
「なので、キリト様の事が決まりましたら、お待ちしております、失礼致します」
そう言って逃げるように退場した。
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