「43!」
2話投稿してます!お気をつけください!
「リテーリアちゃん、大丈夫?」
「へ!あ、ルイ・アントン様」
庭でぼーっとしていたところに後ろから声をかけられた。
最近、授業を受けることが嫌になってしまったので、たまに抜け出してこうしている。
大丈夫かの質問には答えずに質問をした。
「ルイ・アントン様も、どうしてここへ?」
「ん?俺は授業そんなに取ってないんだよ」
ニコニコと笑いながら当たり前のように隣に座ってきた。
それから2人で話すこともなく空を見上げる。
なんて平和なんだろう。
もう、何も考えたくない。
気がつくと涙が流れてきた。でも拭くのも面倒でそのままにする。
ルイ・アントンがこちらを向く気配がするが気にしないで上を見ていると、彼の手が頬に触れた。
「どうしたの」
「なんだか、わからなくて」
「うん」
「私は、なんでここにいるんだろう」
それを言ったら溢れるように涙がでて来てしまった。
楽しそうだから始めたはずだったのだ。
こんな悲しい気持ちになる為じゃなかった。
そういう気持ちが頭を支配し始める。
自分の存在が不安定に思う。
私は誰なんだろう。
なんで現れたんだろう。
そんな事ばかり考えて1人で辛くなる。
記憶が蘇る事が嫌だから授業も受けたくない。
好きだった歴史の授業が今では1番嫌いだ。
気がつくと抱きしめられていた。
彼の肩にそのまま顔を押し付けて泣く。
そうすると頭をゆっくりと撫でてくれた。
「こないだからだね」
「…………」
「突然、居ない存在だったなんて言われて。怖いよね」
「うん……」
「でも、俺は、リテーリアちゃんが生まれてくれて良かったと思ってるよ」
「…………」
顔を離して彼の顔を覗き込む。その目はとても優しく私を見つめていた。
「ねえ、美味しいもの食べようか」
「……お金、持ってきてませんよ」
「ははは、俺も実はあまり持ってない。だからあんまり高いのは頼んじゃだめだよ?」
そう言って手を差し出してくれた。
手を取ると彼はぎゅっと手を握ってきてふわっと笑った。
彼につられて私も笑う。
泣いたらちょっとだけ復活したみたいだ。
生まれてくれて良かったという言葉は私の気持ちを少し前向きにさせてくれた。
誰かがそう思ってくれているのなら、私はそれをここにいる意味にしよう。
だからこそ、みんなが幸せになるように協力していこう。
その決意を胸に、今は美味しい食べ物の事を頭に溢れされた。
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