「26!」
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「隊員というか、アイテム屋の一員というか」
話せば長くなるのだけれど、と言いながら彼らは説明をしてくれた。
学園設立のために隣国との交流を多く行い始めた我が国は、最近『魔石』という魔力が含まれる石を輸入し始めた。
我が国の土地は、元から魔力と相性が悪い国という事もあり自らが魔法を使うということはあまり無い。
ただ、道具に込めることによって使用する事は多々ある。
しかし、その道具に魔力を込めるという行為自体を行う事が難しい為、隣国で入れたものを輸入するという形で使用していた。
しかし、最近魔力と相性が良い人間がいる事が分かった事により『魔石』の輸入が始まったらしい。
その相性が良い人物というのが、トーマス殿下、リュー、サスライド様、などなど。
「ルイは相性が良いと仕事が増えそうだからってしっかりした検査はしてないけどね」
「やだなぁ、販売も楽じゃ無いんだよ。流石にこれ以上働きたく無いし」
一応様々な貴族達に内密に、例えば何かの調査と偽って、相性が良いかの検査をしたようだ。
けれど相性が良かったのはほんの一握り
更にその中でも上手く扱う事が出来るのがこの3人を含む10人くらいの人間だったという。
「では私もやったのでは?」
「妹はやってないよ、アネモア嬢はやってたみたいだけど」
「なんで私やってないの?」
その日私は高熱を出しており、検査どころではなかったらしい。そして、姉様は魔石との適性が出たが父さまがそれ以上の検査をさせる事を避けたらしい。
姉様を連れて行こうとした国の使いは、父さまの、それはそれはとても巧妙な語りによって連れて帰る事は出来なかった。とのこと。
「おそらくリテーリアちゃんに適性が出ても連れて行けないと思ったんじゃないかな?」
「なるほど……」
父さまならやりそうだ。
その時本当に私が高熱を出していたのかも疑問なところ。
「でもなぜ、殿下の作る料理と繋がるのですか?」
「トーマス様は料理へ魔力を移す能力が高いんだ」
「魔力を移す?」
魔石の使い方は、その石に入った魔力を何かの物体に移すのみであり、自ら使う事はできない。この国の人は、魔石から物体へ魔力を移すパイプ役しかできないそうだ。
魔石の魔力を一旦体の中に入れ、その間『魔力を漏らさずに物体まで運ぶこと』を相性と言い、『物体に漏らさずに移せる事』を上手く扱うと言っているらしい。
なるほど。
殿下は料理に込める際、作りながらの方がより多くの魔力を含ませる事が出来るらしく、結果料理自体が趣味になったらしい。
そのため、たくさん触れながらこねられるパンや、クッキーや、パイをより多く作るとのこと。
しかしながら、魔石を輸入始めたとか、移せる人が居るとか。
この内容って国家機密とかじゃないの?
普通に、クッキーとかパイとか作るよって言われれば良かったよね?
「…………いやー皆さんてば凄いことしてるんですね!!何を作るかも聞けたことだし!私は帰ることにしますね!」
では!
と去ろうとすると目の前にちょっと慌てたマリーが居た。
「ひっ」
「私、もうちょっとリテーリアと一緒に居たいな?」
「くっ……」
ずるい、ずるいぞ、こんな早々に弱点を突いてくるなんて。私だってマリーともっと一緒に居たい!
じわじわと後退した私は、諦めて大人しく席に座った。
「……で?何用でしょうか」
「ものすごい踏ん反りようだね」
「まるで令嬢には見えないな」
何か言っている2人は話にならないのでサスライド様の方を見る。
「単刀直入に言うと、魔力との相性の検査をさせて欲しいんだ。もし適性が無くても売り出す際の手助けをして欲しい」
「その対価は?」
「トーマス様とアネモア嬢の恋のアシストだ」
「やりましょう」
それならば何も文句はありません。
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その後すぐ、魔力の検査ができる装置が出てきて測ったところ。
私には全く適性はありませんでした。
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