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VRMMOをチートで無双する〜それ普通に犯罪だから〜

作者: ken

世界観としてはフルダイブ型VRMMOがかなりのタイトル出ている時代。

でもセキュリティなんかは、現代の延長線上というご都合主義。


「くそぉ!」


目の前の大男が地面に舐めながら無様にも吠える。


「なんなんだよ、テメェはよぉ!」


HPゲージが真っ黒に染まり、文字通り手も足も出ずに、這いつくばる大男に、

「なんなんだと言われても...見ての通りの[一般プレイヤーA]ですが?」

と、このPCの特徴の無い顔を向けて煽りを入れてやれば、


「テメェのような一般プレイヤーがいてたまるかっ!っていうか、[一般プレイヤーA]ってPCの名前じゃねーか!ふざけんな!」


とノリツッコミ風に反応を返してくれる、存外ノリのいいヤツだと思いながら、担いだハルバードごと肩をすくめて見せる。


「ってか、そうじゃねぇよ!何で俺の攻撃が全く効いて無ぇんだよ!おかしいだろ!」


あなたが弱すぎるだけなんじゃないんですかねぇ...と煽りたいのを、グッとこらえる。

何故ならコイツの主張は完全に正しいからである。

出会い頭に放たれた、大男のジョブである【拳士】の基本スキルである【ワン・ツー】からの【インファイト・ブロー】、そして【寸打】へのコンボは見事な繋ぎであったし、特に最後の【寸打】は射程が短かく、威力も低いが、引き換えに相手の防御力を無視したダメージと怯みを与えるスキルである。

それをクリーンヒットで貰っても全く怯まず、HPゲージも減っていない、おかしいと思って当然である。


「それだけじゃねぇ...この“世界”で、しかもポールウェポンのスキルで10割のコンボなんてありえねぇだろ!」


このゲーム、“世界”はVRMMOでも自由度の低い方であり、特に対人戦に置いては『格闘ゲームの様なバランス』が強制されてしまう。故にPK等に先制不意打ちを決められるとなかなか取り返せなくて詰んでしまう事もままあるのだが、


今回は、接近した状態で技後硬直をさらした大男に、ハルバードの石突き側で【ポールスマッシュ】、回転を反転し【リバーススラッシュ】、横方向のなぎ払い技である【サークルエッジ】からの縦方向の上段ふりおろし【鬼兜割り】のコンボを決めて怯みを入れ、そこから各種スキルを繋いで一気にHPを削り切ったのだが、良くなかった、いや(良すぎた)ようだ。

本来であれば、逆袈裟から斬り下ろす【リバーススラッシュ】から、横回転の【サークルエッジ】には繋がるが、そこから縦回転の【鬼兜割り】には繋がらないハズなのである。

そのあとのコンボにも少し無理が有ったかもしれない。それに気付いた大男が非難の声を上げるのも道理というものである。



「うるさいですねぇ、PKを仕掛けてきて置いて、負けて文句を言うのはお門違いでしょうに。」

このまま追求されるとマズイので即座に話題を逸らして、その場を立ち去ろうとするも...


「分かったぞ!テメェ!チートを使ってやがるな!このチート野郎!」

と正解にたどり着いてしまう。


そう、俺は今このPCで自作のチートツールを走らせ、テストしている所である。

自身のPCの属性を『破壊不能オブジェクト』に変更し、当たり判定があるのにダメージ処理、怯み、ノックバック、状態異常判定を行わなくするツールと、スキルとスキルのコンボを強制的に繋げる事が出来るツールを使用している。


モンスター相手に使用し、テストを重ねて不具合を確認していたところに、この大男が不意打ちPKを仕掛けて来たので、思わずツールを使ったまま反撃してしまった、と言うのが真相である。


「....はぁ...ここまでか。」

大男が通報したのだろう、GMがこの[一般プレイヤーA]のPCアカウントを凍結しようと干渉しているのが分かる。


蘇生限界時間を過ぎた大男のPCが消えるのを尻目に、

「サポートAI2号!チートツール136号『イージス』129号『メビウスアーツ』を停止、このPCを破棄する。チートツール30号から34号までを実行、PCへのコマンド入力履歴、通信履歴を削除、各種ツールとハードウェアとの紐付けを切断しろ。」


と、サポートAIに指示を出していく。


「全く、とんだ邪魔が入ったな。まあ『メビウスアーツ』だけじゃなくて『イージス』のテストも出来たし良しとするか。」


このPCに干渉出来ない事に気付いたGMが、このフィールドに転送してくるのを妨害しつつ呟く。


「見てろよ、この“世界”に悪意の限りを振りまいてやる...俺のチートツールを使ってな」


この世界から[一般プレイヤーA]が消失してゆく、通常のプレイヤーがログアウトするのとは違い、存在そのものがサーバーから、端末から、クラウド上から、データが意味を失い、正しくランダムな0と1の羅列へと書き換えられてゆく。


「俺は、認めない。彼女を対価として存続する、この“世界”を。この“世界”に集う者達を食い物にする管理者を」


そして俺の視界は暗転し、体に真新しい血潮が巡るような感覚と共に現実へと帰還してゆく。


「ユウコ...」


彼女は...もう戻らない。

ユウコさんはこのゲームに課金し過ぎて自己破産したそうですよ、イケメン武将でも出てるんですかね?(すっとぼけ)

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