RPGという退屈と仲間
「そ、そう、別に異論はないよ」
リクトはひきつりながら、名刺とウラメンの顔を交互に見ながら答える。ウラメンは満足そうにうなずいた。
「おーい、リクト!なんか騒ぎになってるぞ」
「リクトさんっ、大丈夫ですか!」
「うるさいんだけど」
体格のいい髪を短く刈り込んだ青年と、長い髪をゆったりと束ねた女性が二人のもとに走ってきた。そのあとを、たらたらと小柄な女性がついてくる。
「あぁ、みんな来てくれたんだ」
「ふむ、主人公の親友リフェンテと、幼馴染みのメルティーナ(爆乳)と、その親友マキア(減乳)ですね」
「みんな、こういうわけだからすぐ家に帰って、しっかり施錠するんだ」
じわり、とウラメンから3人が距離をとる。気にした様子もなくウラメンはひらめいたと手をうつ。
「名前が面倒なので便宜上、親友、天然爆乳、ツンデレ減乳とお呼びしてもよろしいですか」
「その質問に、諾と答えると思っているのかしら」
「許可など必要ありませんが、一応質問しました、ツンデレ減乳さん」
どこからだしたのか杖をかまえるマキアの肩を、リフェンテがおさえる。
「落ち着け、マキア」
「そうですよ、昔からツンデレ減乳さんのことが好きで、主人公の脅威にはならない程度の顔面偏差値の親友さんがそう言っているのですから、落ち着きましょう」
「落ち着け、リフ!その角材から手をはなせ!」
武器をかまえるリフェンテとマキアをリクトとメルティーナがそれぞれ必死におさえる。
「この人なんなんですかぁ、なんでこんなにひどいことばっかりいうんですかぁ」
メルティーナが涙声で叫んだ。
周囲の人々はざわざわとしながら、リクトたちから距離をとって見物している。
「みなさん、みてないで家に帰りましょう。そしてしっかり施錠をして今日は休んでくださいね」
リクトはリフェンテをおさえながら人々に呼び掛ける。そして、思い付いたように微笑む。
「大丈夫ですから、安心してください」
その言葉は確かに人々に届いたようで、少しずつだが見物人たちは減っていく。
物語を動かすことのできるリクトは紛れもなく『主人公』であった。