RPGという退屈の境界
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「どうされました、感激して言葉もでないですか?」
「あ、いや、思ったよりまとも?な気がしているのよ」
「で、でもこれバッドエンドじゃないですか?」
「い、いちおう未来を想像する余地はあるポン」
「えぇ、解釈は各々に任せてあります」
それに、ストーリーとキャラクターの大幅カットにより、諸経費も減らしていますよ。とウラメンが付け加える。
「えぇー、でも、これ君が言ったように本当に面白くなっているかは、ぼくぁ、疑問だなぁぁ」
若い頃の主人公の姿として一瞬登場した元主人公がウラメンをねめつける。
「なんかぁ、斬新でぇ、金の払う価値のある物語にするとかぁ、大口叩いていたよねぇ」
卑屈にへっへ、と笑う元主人公にかつての快活さはかけらも残っていなかった。
「えぇ、『そうするため』に私はここにいます。ですが、それを判じるのはあなたでも、私でもありません」
「あれあれぇ?面白いって万人が面白いと思わないと面白いってことにならないんじゃないのぉぉ?ねぇ、みんなぁ!」
げれげれと、元主人公は空に笑う。
「私っ、もぅ、みていられません」
「私もよ、何が彼を変えてしまったのかしら」
「醜いポン」
かつての仲間たちは目を覆い彼の姿を嘆くが、ウラメンはなんとも思わないのか、変わらぬ様子でうなずいている。
「では、もぅ、終わりですし、ウラメンをみせましょうか」
そういうと、ウラメンは後ろ手に手を伸ばし虚空を掴む。
カーテンを掴むように何かを掴んでいるのだか、その手にはなにも見えない。
「さぁさ、これがこの世界のウラメンですとも」
ウラメンは恭しくお辞儀をしながら、一気に手を引き抜く。
舞台の背景が剥がれるように世界が剥がれた。