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ドクターヘリ救急救命  作者: 零
基本STORY
4/54

藍沢と田中 其の四

藍沢「おはよう」


田中「おはよう」


藍沢「はい」


そう言って藍沢が田中に渡したのは検温のための体温計だった。


田中「ありがとう」


藍沢「あぁ」


そして、検温が終わると田中が言った。


田中「検温の結果書くのってここでいいんだよね?」


藍沢「あぁ」


田中が検温結果を記入すると藍沢に確認する。


田中「耕作は書いた?」


藍沢「あぁ。それより、そのままベットに横になって」


田中「う、うん」


そして、横になると…


藍沢「服、ちょっと上げて」


田中が藍沢に言われた通りに服を少し上げる。


藍沢「…」


藍沢が医師として心音を確認する。


藍沢「問題ないな。ありがとう」


田中「次は耕作が横になって」


藍沢「あぁ、わかった」


そして、藍沢が横になって服を首まで上げる。

そして、田中が心音を確認する。


田中「ちょっと、乱れてる?」


藍沢「昨日、喘息の発作があったからだ。問題ない」


田中「そういう事ね」


藍沢「ICU行くか」


田中「うん。そうだね」


藍沢と田中は2人で病室を出て、ICUに向かって歩き出した。

検温などの結果を聞きにきた病棟ナースが困らないように、メモを残して。


《お疲れ様です。藍沢・田中はICUの患者のバイタルを確認し、その足で食堂に朝食に行ってきます。検温・血圧の結果は電子カルテに記載しておきました。何か不備がありましたら電話をお願いします。》


田中「いなくて大丈夫かな?」


藍沢「そのためにメモを残してきたんだろ」


田中「まぁね」


そしているうちに救命センターに着いた。そこには当直の緋山・藤川がいる。


田中「おはよう。緋山先生、藤川先生」


緋山「おはよう。田中」


藤川「お、藍沢。よっ!」


藍沢「あぁ、おはよう」


それだけ言うと、藍沢はICUに向かって歩き出した。


田中「私、ICU見に行ってくるね」


緋山「わかった」


藤川「了解」


そして、5分後…

橘が少し早歩きでやって来た。


緋山「橘先生、おはようございます」


藤川「おはようございます」


橘「あぁ、おはよう。ってそうじゃなくて、藍沢と田中を見てないか」


緋山「あぁ、2人なら…一緒に来て、今ICUの患者を診に行きましたよ」


橘「ったく。あいつらは…」


藤川「どうかしたんですか?」


橘「どうもこうも、あいつら2人は今日、検査なんだよ。その2人が病室にいなければこうなるだろ。


《お疲れ様です。藍沢・田中はICUの患者のバイタルを確認し、その足で食堂に朝食に行ってきます。検温・血圧の結果は電子カルテに記載しておきました。何か不備がありましたら電話をお願いします。》


って、あいつらはホントに…」



そこに藍沢と田中がICUから戻ってきた。


藍沢「おはようございます。橘先生」


田中「おはようございます」


橘「ったく。メモだけで病室を離れるな。特に朝は」


藍沢「医師としてICUの患者のバイタルチェックという日課を疎かには出来ません。」


橘「まぁ、そうだな。」


藤川「じゃあ、今日は2人ともいないってことか」


橘「不安か?」


藤川「いえ…」


藍沢「心配いらない。人手が足らない時は呼んでもらえればすぐに行きます」


橘「もしやとは思うが…」


緋山「あんた達、その格好で検査、受けに行くつもりじゃないでしょうね」


田中「ん?そのつもりだけど?」


その格好とは、救命のユニフォームであった。


緋山「あのねぇ、あんた!」


橘「藍沢、田中」


2人「はい」


橘「私服にしろ…」


田中「えっ…」

藍沢「……」


橘「…ただし、院内用のiPhone、IDは必ず携帯しろ。それから…」


藍沢「……」

田中「それから?」


橘「必ず2人一緒に行動しろ」


藍沢「えっ…」


橘「その方が、救命に呼ばれても対応が速くなる。」


藍沢「はい」


橘「そうだ、田中」


田中「はい!」


橘「お前はこれを持ってろ」


そう言って田中に橘が手渡したのは喘息患者用の薬だった。


橘「院内なら水はどこにでもある。薬だけあれば十分だろ」


藍沢「橘先生…」


橘「なんかあったら、連絡してこい…」


2人「はい」




そして、2人は救命のスタッフルームを出て、検査に向かった。


時刻は11時を過ぎようとしている頃…



田中「これで全部まわったね」


藍沢「そうだな」


田中「11時か…」


藍沢「先にご飯に行くか?」


田中「それもいいね」


田中がそう答えた次の瞬間、2人の院内用のiPhoneが鳴った。

フライトドクターの2人にとって穏やかな一瞬は1本の電話で一気に修羅場へとなる。



2人の電話の相手はやはり橘だった。

2つのiPhoneをスピーカーモードで両手に持ち、ドクターヘリからの報告を受けた橘が2人に話しかけた。


橘「検査、終わったか?」


それは、2人の体を心配した橘の気遣いだったのだろう。


藍沢「1分ほど前に全て終わりました」


橘「藍沢、田中。人が足らないわけじゃないんだ。だが…こっちに来れるか?」


橘にしては歯切れの悪い、そしてらしくない言葉に藍沢と田中が目を合わせる。そして、藍沢が答えた。


藍沢「わかりました。2人で行きます」


そして、2人が急いで初療室に行くとそこには、5歳くらいの女の子がストレッチヤーの上で絵本を読んでいた。


橘が藍沢と田中に気づき、声をかけてくる。


橘「事故であの子と親が運ばれてきた。親は意識不明。バイタルはなんとか安定したが、まだ予断を許さない。あの子は検査の結果以上も無く、外傷もない。だが、あの子には母親以外肉親がいないようなんだ。あの子は親が退院するまで病院にいることになるだろう。その間、お前達2人を中心にお前達の同期で世話できないか?」


いつもはポーカーフェイスの藍沢も流石に驚いたのか橘の顔を見つめている。


田中「2人でですか?」


橘「あぁ」


藍沢「自分たちがですか?」


橘「そうだ。小さい子を育てるのは簡単ではないが、経験しておくのもいい」


藍沢「……」


田中が藍沢の顔を見る。


藍沢「俺達が彼女の面倒を見なかったら彼女は施設ですか?」


橘「そうだな…」


藍沢「やってみないか?」


田中「私は良いけど…」


藍沢「親の近くに少しでもいたいだろう…」


橘「何かあったら、俺や三井に言ってくれ。出来ることはする」


田中「はい」


そして、藍沢と田中が女の子に近づく


藍沢の顔をチラリと見た田中は少し驚いた。

藍沢が微笑んでいる。



藍沢「痛いところはないか?」


女の子に藍沢が聞く。


女の子「はい」


藍沢「そうか」


藍沢の言葉に続けて田中が聞く。


田中「私は田中亜依。あなたのお名前は?」


女の子「上野未来です」


藍沢「俺は、藍沢耕作。よろしくな」


未来「うん…亜依と耕作。よろしく」


田中「うん。よろしくね、未来ちゃん」


未来「あの、母上は大丈夫ですか?」


藍沢「今はまだ目が覚めてない」


未来「そう…」


藍沢「あぁ。ところで何歳?5歳で合ってるか」


未来「私?」


田中「うん」


未来「私は5歳」


藍沢「そっか。お母さんが目を覚ますまで、病院で未来も過ごすことになった。俺と亜依が未来と過ごす。でも、俺も亜依も医者だからずっとは一緒にいれないかもしれない。でも、朝と夜のご飯は絶対一緒に食べるから」


未来「ホントに!」


田中「うん」


未来「ヤッター!」


その様子を後ろから見ていた橘が近づいてくる。


橘「何ちゃんっていうんだ?」


未来「上野未来、5歳です」


橘「そうか。未来ちゃんか。おじさんは橘だ。よろしくな」


未来「ええ」


橘「未来ちゃんはお昼ご飯食べたか?」


未来「いいえ。食べてない」


田中「じゃあ、食べに行こうか?」


藍沢「そうだな。橘先生はどうなさいますか?」


橘「俺は、優輔と食べてくる」


藍沢「なるほど。じゃあ、行くか?」


そう言って藍沢は未来のことを抱っこした。


田中「あっ、良いな〜未来ちゃん!耕作に抱っこされてる」


未来「いいでしょ〜!ねぇ、亜依、耕作。未来のことはに未来ちゃんじゃなくて未来って呼んで!」


田中「わかった」


そして、3人はエレベーターにのった。相変わらず未来は藍沢に抱っこされたままだ。


藍沢「亜依は何、食べる?」


田中「うーん。サラダパスタかな?」


藍沢「未来は何にする?」


未来「未来は〜」


その時、ドアが開いて緋山が乗ってきた。


緋山「藍沢、田中。その子誰?」


田中「上野さんのお子さん。橘先生に頼まれて私と藍沢先生でお世話をすることになったの」


緋山「なるほど。私は美帆子。あなたは?」


未来「未来」


緋山「よろしくね」


未来はコクリと頷いた。


藍沢「で、未来は何を食べるんだ?野菜は好きか?肉は?魚は?アレルギーは?」


未来「野菜は好き。肉も魚も。アレルギーはない。」


田中「そっか…好き嫌いがないっていい子だね」


未来「そう?ありがとう!私は亜依と、同じものにする」


緋山「あなた、何者?」


未来「えっ…?」


緋山「年相応の言葉使いだったり、お嬢様みたいな言葉使いだったり」


藍沢「そりゃそうさ。お嬢様みたいじゃなくて未来はお嬢様だからな」


緋山「えっ?」


藍沢「上野ホールディングスの社長令嬢だ。シングルマザーの」


緋山「マジ?」


藍沢「未来。ここでは普通の話し方で良い。かたくなる必要はない」


未来「わかった。了解」


そして、食堂に着いた。

時刻は11時30分。まだ、空いている


藍沢「未来もサラダパスタでいいんだよな?」


未来「は、あっ。うん!」


藍沢「買っていく。席についていてくれ」


田中「わかった」


そして、亜依と未来は席に着いた。

そこに、3つのサラダパスタをトレーにのせた藍沢と同じくサラダパスタを買った緋山がきた。


田中「緋山先生もサラダパスタ?」


緋山「うん。まぁね」


藍沢「亜依」


そう言って、トレーから藍沢が田中にサラダパスタを1つ渡し、自分の前に1つ置いて、トレーにサラダパスタが1つのっているのを未来の前に置いた。


未来「ありがとう」


藍沢「あぁ」


緋山「食べよっか?」


未来「Yes.」


田中「いただきます」


藍沢・緋山「いただきます」


未来は、不思議な顔をしながらその言葉を言った。


未来「いただ、きます?」


藍沢「ご飯を食べる前には『いただきます』食べ終わったら『ご馳走様でした』日本の文化だ。今は日本にいるんだから日本の文化を学べ」


未来は頷いてもう1度ハッキリ言った


未来「いただきます」


そして、4人がサラダパスタを食べる。


未来「これ、美味しいね。さっぱりしてるし」


藍沢「口にあったか。良かったな」


田中「そう言えば、後で未来の部屋を橘先生に聞いておかなきゃね」


藍沢「俺らが見るなら俺らと場所は同じなんじゃないか?」


そして、ご飯を食べ終わり、藍沢・田中・緋山・未来は救命のスタッフルームに来ていた。


藍沢「未来、普段は何をしてるんだ?」


未来「勉強とかピアノとか?」


藍沢「勉強は英語で?それとも日本語で?」


未来「英語で」


藍沢「じゃあ、これ読むか?」


藍沢が未来に渡したのは英語で書かれた日本についての本であった。


未来「これは?」


藍沢「日本の名所が書かれてる。わからない事があれば俺が説明するから俺を呼べ」


未来「ありがとう。読んでみる。」


そして、藍沢・田中・緋山は仕事を未来は読書を始めた。


そして、藍沢が仕事に一区切りがついた時、未来が藍沢に言った。


未来「凄く面白い。これ、借りてていい?」


藍沢「やるよ。俺の本だったが、俺はだいぶ読んだから」


未来「ありがとう」


田中「これ」


未来「えっ?」


田中「日本語版」


未来「同じの…」


田中「日本語もこれなら一緒に勉強出来るでしょ?一緒にもらって」


未来「ありがとう…」


藍沢「行くぞ、未来。亜依」


田中「どこに?」


藍沢「ピアノ」


そして、藍沢はこの病院のっているのを最上階のホールにやって来た。


そこには、ピアノが3台置いてある


藍沢「ピアノの練習。俺らも付き合う」


未来「亜依は弾けそうだけど、耕作は弾けるの?」


藍沢「馬鹿にするな」


そう言うと、藍沢は1台のピアノの鍵盤に手を触れて、弾きだした。

『エリーゼのために』だ。

しかも、難易度を高くするために編曲までされている。


未来と亜依は思わず聴き入った。

藍沢は思いのほか、ピアノが上手い。

恐らくプロでもおかしくない腕前だ。


そして、藍沢が最後まで挽き終えた。


未来「凄い…予想外」


藍沢「次は亜依かな?」


そして、亜依が引き始めた。

『カノン』だ。


亜依も素晴らしい腕前だった。


未来「凄いね。2人とも」


田中「次は未来の番よ」


そして、未来が弾き出す。

『アメージング・グレイス』だ。


藍沢・田中と同様、まるで歌うように…


そして弾き終えた。


田中「流石、上手だね」


藍沢「あぁ」


未来「ありがとう…」


藍沢「でも、」


そう言って藍沢はアメージング・グレイスを弾きだした。


藍沢「歌うときにブレスをする場所はもう少し間を開けた方がいい」


未来「わかった。次はそうしてみる」


藍沢「そろそろ戻ろう。明日も来ればいい」


田中「そうだね」


未来「うん」


そして、藍沢達はスタッフルームに戻った。


橘「おお、未来ちゃん。2人と仲良くしてる?」


未来「うん。さっき、3人でピアノを弾いてきた」


橘「藍沢・田中、ピアノ弾けるのか?」


藍沢「はい」


田中「弾けます」


橘「未来ちゃん、今日はどこで寝たい?」


未来「えっ…」


橘「お母さんの横?それとも、藍沢とか田中の近く?それとも、別に個室を用意しようか?」


未来「……」


橘「どうしたい?」


未来「……2人を選んだら…」


橘「ん?」


未来「一緒に寝てくれるの?」


橘「あぁ」


未来「…私は、誰かと寝たことがないの。お母様はいつもお仕事だし…」


田中「そっか。いつも通りがいい?」


未来「うん…」


橘「なら、藍沢と田中が昨日泊まった部屋の横が空いてる。未来ちゃんはそこにしよう」


藍沢「わかりました」


橘「なんかあったら、藍沢達の部屋に行けるだろ?」


未来「はい」


そして、夜ご飯のあと…

時計は夜9時をさそうといている。

田中とお風呂に入った未来はもうそろそろ睡魔の限界だった。


田中「寝よっか?」


未来「うん…。耕作は?待ってなくて良いの?亜依は」


田中「えっ…部屋で待つことにした。今日はきっと遅いから」


未来「未来もいていい?」


田中「良いよ。でも、寝たくなったら、私たちの部屋でいいから寝るんだよ?」


未来「うん」


そして、未来は田中と藍沢の部屋にきた。そして、藍沢のことを待っていた。だが、田中は知っていた。藍沢は橘先生の急患の緊急オペにフォローとして入っていた。


未来が眠たそうだ。


田中「ほら、寝よ。明日も耕作には会えるから。耕作には私から未来も頑張って起きてたんだよって伝えとくから」


未来「うん」


そう言って、未来は田中と藍沢のダブルベットの真ん中に横になった。


田中「おやすみ。未来」


未来「おやすみなさい」


そして、未来は寝た。

田中はその後、デスクワークをしていた。


『ガラッ』ドアの開く音で手を止めた


そこには藍沢がいた。

もう、11時だ。オペは相当大変だったのだろう…。



田中「お疲れ様」


藍沢「お前もな」


藍沢がベットを見て田中に聞いた。


藍沢「こっちで寝てるのか?未来」


田中「私と一緒に耕作を待つって聞かなくて、眠くなったら無理せずベットで寝ることを条件に連れてきた」


藍沢「そっか。ありがとな、未来。おやすみ」


藍沢が未来の頭を撫でた。

そして、藍沢がデスクに座りパソコンを打つ田中の横にきた。


藍沢「待っててくれてありがとう…亜依」


そして、藍沢は田中にキスした。


田中「ううん。今日のうちに帰ってきてくれてありがとう。」


そして今度は亜依から耕作にキスをした。


藍沢「もう終わるか?」


田中「うん」


そして、2人でベットの横にきた…が


ベットのド真ん中で眠る未来…


田中「どうする?」


藍沢「どう…しようか…」


2人は考えた。だが、2人で未来をはさむようにして寝ることになった。


2人がベットに横になる。


藍沢「亜依」


藍沢が田中の方を向いて未来のお腹の上に手をのせる。

田中も藍沢の手のすぐ上に手を置くと、その手に藍沢が手を重ねてきた。


田中「未来のお母さん…目覚めてほしいね。はやく…」


藍沢「そうだな。親がいないと不安だよな。きっと…」


田中「ちょっとでも不安を消せてると良いんだけど…」


藍沢「あぁ、そうだな。でも、亜依はきっと未来の不安を和らげてる」


田中「耕作もでしょ?」


藍沢「だと…良いけどな…」


田中「フフフ。おやすみ」


藍沢「おやすみ」



2人は未来のお腹の上で手を繋いだまま眠ったのでした。





そして、朝…


一番最初に起きたのは藍沢だった。


そして、未来と亜依が同じくらいに目を覚ます。


藍沢「おはよう」


亜依「おはよう」


未来「おはようございます」


藍沢と田中はいまだに手を繋いでいる。


未来「2人って結婚してるの?」


藍沢「婚約はした」


未来「なるほど…。おめでとう」


田中「ありがとう」


未来「ずっと一緒にいれるといいね」


藍沢「あぁ、そうだな」


田中「そうだね」


藍沢「さあ、2人とも着替えてこいよ。朝ごはん行くぞ」


田中「うん」

未来「はい!」



そして、2人が着替えにカーテンの奥へ行った。

藍沢も着替える。

3人は私服に着替えた。



そして、食堂に食べに行く。


すると、当直だった橘がいた。


藍沢「おはようございます」


田中「おはようございます」


橘「おぉ、おはよう」


未来「おはようございます」


橘「未来ちゃん、おはよう」



そして、4人は朝食セットを頼んで、8人がけのテーブルに4人で座った。


そのメニューは…

ご飯、ドリンクバー、サラダ、鳥の胸肉焼き、かき玉汁


橘が言った。

橘「いただきます」


3人「いただきます」


そして、ご飯を食べる。



橘「藍沢、今日はお前がヘリだったよな」


藍沢「はい」


橘「藤川が未来ちゃんと一緒に今日はいるから」


田中「藤川先生が?」


橘「あぁ。」


藍沢「わかりました。未来、今日は俺と亜依と同じ時期にこの病院で働きだした医師がお前と一緒にいるそうだ。俺と亜依はどうしても抜けられない。夜ご飯は一緒に食べような」


田中「ごめんね」


未来「大丈夫。仕事頑張ってね」


田中「うん」


橘「2人とも、カンファレンスの後で俺のデスクに来てくれ」


2人「はい」


そして、ご飯の続きを食べた。



最後だった未来がご飯を食べ終えた。


未来「ご馳走様でした」


橘「よし、藤川を呼び出すか」


藍沢「そうですね」


橘が藤川に電話をかける。

その横で藍沢と田中に未来が訊ねる。


未来「藤川先生ってどんな人?」


藍沢「ムードメーカーだ」


未来「見た目は?耕作みたいにカッコイイ?」


田中「えっ…」


すると、電話をしていた橘が電話を終えたのか未来にこたえる。


橘「期待はしない方がいい。まぁ、悪いやつじゃないが自己主張が強い」


未来「わかった」


橘「好きなように病院中を振り回していいぞ」


未来「わかった」



そして、藤川がきた。



藤川「おはようございます」


橘「おはよう」


藤川「あの、シフト替えって」


橘「あぁ、今日のお前のシフトは1日中未来ちゃんと過ごすことだ。夜ご飯の前まで」


藤川「えっ…」


未来「橘先生、この方が藤川先生?」


橘「そうだ」


未来「仰ってたとおりの方ね」


橘「そうだろ?」


藤川「藤川です。よろしくお願いします」


未来「上野未来です。よろしくお願いします」


橘「じゃあ、藤川。頼んだぞ。未来ちゃん、いっぱいワガママきいてもらいな」


未来「はい」



そして、藍沢・田中・橘はカンファレンスに出るために食堂を出ていった。



藤川「さて、何がしたい?」


未来「耕作と亜依に貰った本を読んでる途中なの。だから、本を読みに行くために部屋に戻る」


藤川「じゃあ、行こうか」



その頃…

カンファレンスが終わった救命。


藍沢と田中は橘に呼ばれて外来にある橘の診察室にいた。


橘「藍沢の喘息は大きく問題は無い。恐らく、子供の時のものと同じだろう。発作が起きたら薬で対処しよう」


藍沢「はい…」


橘「田中の方はどうだ?」


藍沢「検査の結果に異常はありません。大丈夫だと思われます」


橘「そうか。未来ちゃんのお母さんはバイタルは安定してるんだがあいかわらず目が覚めん」


田中「そうですか…」


橘「今日のシフト頼むな」


藍沢・田中「はい」


そこで橘の電話がなった。


橘「はい」


そして、電話が終わったようだ。


橘「未来ちゃんのお母さん、目が覚めたらしい」


藍沢「行きましょうか」


橘「そうだな」


そして、ICUの上野さんの場所にいく



橘「お名前教えてもらえますか」


未来母「上野です。上野梨紗」


橘「お子さんの名前は」


上野「未来です」


橘「問題ないな。麻痺も見当意識障害もみられない」


藍沢「良かった」


田中「ホントに」


上野「あなた達…」


田中「えっ…」


上野「あなたは、田中先生の娘さん?」


田中「あぁ、父のことですか?そうですよ」


上野「ええ。そちらは…」


藍沢「……」


上野「えっ…藍沢、耕作?」


藍沢「……」


上野「あの藍沢先生?〇〇にいなかった?」


藍沢「いましたよ。元気になられて退院なさったってあの後聞いていたのですが、また運ばれてきてビックリしました」


上野「未来は今、どなたが?」


藍沢「昨日は自分と田中が一緒にいました。今日は自分たちがヘリ番なので自分と田中の同期が一緒にいます」


上野「そう…ありがとう。退院までお願いしていい?」


藍沢「ええ。基本は自分と田中が引き受けます」


田中「任せてください」


上野「ありがとう」



そして、その直後ICUに未来がきた。


親子で5分くらい話すと未来がICUから出てきた。


藍沢「もう良いのか?」


未来「大丈夫。あとは、母上が退院してから話す」


田中「それがいいね」


藍沢「あぁ」


すると、未来が微笑んだ。


田中「どうかした?」


未来「2人って仲良しだね」


藍沢「そうか?」


未来「うん」


すると、廊下の向こうから藤川が歩いてくるのがわかった。


未来「うわ、きた」


藍沢「あいつの性格はやっぱり苦手か?」


未来「得意ではないね」


田中「多分、オネダリに弱いよ」


と田中が未来に呟く…


藤川「あっ!未来ちゃん、ここにいたの?」


未来「そうよ。これからピアノを練習しに行こうと思って」


藤川「ピ、ピアノ!?」


未来「練習に付き合ってね。もちろん、弾いてくれるのね」


藤川「えぇぇ!!藍沢、どうしよう!」


藍沢「別に驚くことはないだろう。一緒に弾いてやればいい」


藤川「弾いてやればって他人事だな!お前、弾けるのかよ!」


藍沢「弾ける」


藤川「えっ…」


田中「頑張れ、藤川先生」


藤川「田中は?弾けるの?」


田中「弾けるよ。昨日は3人でホールの3台のピアノ使って弾いたのよ。ねぇ、未来」


未来「そう。本当は3人で来ようねって言ってたけど2人は忙しそうだし、耕作と亜依の代わりなら一緒に弾いてくれるでしょ?」


藤川「えっ…」


そこに緋山登場…


緋山「藤川、あんた何してんの?」


藤川「俺、ピアノ弾けないのにピアノの練習、一緒に弾けって」


緋山「ピアノの練習なら私が付き合う。その間にあんたは電子カルテにバイタル記入しといて」


藤川「えっ…ありがとう」


緋山「じゃあ、未来ちゃん行こうか?」


未来「うん」


そして、みんな自分の持ち場に散った




そして、1週間後。


上野「お世話になりました」


橘「お大事に」


未来「今までありがとう」


田中「うん。元気でね」


藍沢「自分の体調に気をつけろ。それから、日本文化もちょっとは勉強しておけ」


未来「うん。次にもし会ったら、きっと私の方がピアノが上手いと思うから」


藍沢「そうかもな。俺も練習しとく」


未来「発表会のときは連絡するね」


藍沢「あぁ」


未来「もちろん、メールで」


田中「気をつけて」


未来「ありがとう」


そして、梨紗の秘書の迎えで2人は病院を去っていった。

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