藍沢と田中 其の二
夕食のあと、藍沢、田中、藤川、緋山、大野、早川はヘリポートにいた。
緋山「ねぇ、田中。どうして藍沢と結婚しようと思ったの?」
田中「えっ…優しいし、的確な指示をくれるし…」
緋山「えっ…それだけ?」
田中「それに、もともと…」
緋山「もともと?」
田中「お父さんに言われてたの。ここの救命センターで頑張るって言った時に」
大野「何を?」
田中「結婚相手も見つけて来いって…」
大野「それで、藍沢先生なの?」
田中「…いや、カッコイイっていうのもあるよ!それに、気遣いも凄いじゃん?」
緋山「まぁ、そうだけど。藍沢は?何で田中なの?」
藍沢「俺がばあちゃんの病室にいる時に田中が点滴を変えに来たんだ。そしたら、ばあちゃんが『耕作。早く結婚相手を連れてきてね』って言って」
田中「私が『藍沢先生、お見合いとか行くの?』って聞いたら」
藍沢「ばあちゃんが『あなた、耕作とお見合いしない?耕作ったら俺は日取りを考えられてもきっと行けないって言うのよ』って言って」
田中「私もそうですよって言ったら」
藍沢「ばあちゃんが『あなたと耕作はお似合いだと思うんだけど』って言って」
田中「私が少し笑ったら」
藍沢「そこに亜依を探してた亜依のお父さんが来て」
田中「私が『あ、お父さん』って言ったら」
藍沢「俺のばあちゃんが『あら、お父様?藍沢耕作の祖母です』って言って」
田中「私のお父さんも『田中亜依の父です。藍沢先生の話は上の先生からよく聞いています。とてもご立派ですね』って」
藍沢「その話に調子にのったばあちゃんが『あら、田中先生のお話も他の医療スタッフの方からよく聞きますよ。素敵な娘さんですね』って言って」
田中「そしたら、お父さんが『藍沢君。この話の続きはお見合いの席で宜しくな』ってなって」
藍沢「お互いに話し合ったんだ。」
緋山「何を!」
田中「お互いがお互いを好きかどうか」
藍沢「お互いにそれなりの感情を持っていてもお互いに向こうはただの同期だと思ってるんじゃないかって思ってたみたいで」
田中「2人で私のお父さんと藍沢先生のおばあさんにお話に行ったの」
藍沢「見合いは要らない。多分結婚するってな」
藍沢が言ったあと、少しの沈黙があった。沈黙を破ったのは緋山だった。
緋山「なるほど…凄いわ、2人とも」
そして、藍沢と田中は病室に戻った。