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ドクターヘリ救急救命  作者: 零
Another story
17/54

No.6 〜another story〜

ドクターヘリ緊急救命No.6

〜another story〜



そして、次の日の朝


藍沢は田中よりも早く目覚めたので、キッチンで朝食を作っていた。

そこに、田中が起きてくる。


田中「おはよう」


藍沢「おはよう」


田中「ご飯作ってくれたの?」


藍沢「あぁ」


田中「ありがとう。食べよっか」


藍沢「そうだな」


そして、ご飯を食べ終えると2人は病院へと向かった。



藍沢は駐車場に車を置きに行ったので田中が先に医局に入ると藤川と大野が朝食を食べていた。


田中「おはよう。藤川先生、大野さん」


藤川「おう。おはよう」


大野「おはようございます」


そこに藍沢が入ってくる。


藍沢「おはよう。大野、藤川」


藤川「おはよう」

大野「おはようございます」


藍沢「当直か?」


藤川「あぁ、2人でな」


藍沢「そうか。お疲れ」


田中「仮眠してくれば?私も藍沢先生も居るし」


藤川「マジで?どうする?」


大野「寝たい」


田中「行ってきなよ」


藍沢「俺たちでやっとく」


藤川「じゃあ、行こう。」


大野「うん」


そして、藤川と大野は仮眠室へと入っていった。



それから1時間後


救命のカンファレンスが始まった。


藍沢・田中・緋山・藤川・橘・黒田・大野・谷口そしてフェローの名取・今井・横峯だ。


橘「それじゃあ、カンファレンスを始める前に伝えておきたいことがある」


橘がそう言うと、後ろのドアから1人入ってくる人物がいた。


三井だ…



三井「色々迷惑をかけました。今日から復帰します。こんなに長く救命の現場を離れたことはないから不手際が生じるかも知れませんが、またお願いします。」


橘「そういう事だ。よろしくな」


藍沢「俺からも」


橘「どうした?」


藍沢「田中と結婚することになりました。挙式の日程は決めていませんが場所は決まりました。」


田中「戸籍上の名前は田中から藍沢へとなりますが職場ではこのまま田中でお願いします」


黒田「日にちが決まったら教えろよ」


藍沢「はい」


橘「じゃあ、カンファレンスにはいろう」


そして、最後の方…



橘「今日のヘリ担はK班が藍沢、横峯、谷口。H班が田中、名取、大野だ」


黒田「質問あるやつ」


全員「ありません」


橘「解散」


スグにみんなが自分の場所に行く。

だが、藍沢は田中に問いかけた。


藍沢「田中、KとHって?」


田中「ヘリポートが2つになったのね、それで梶班と早川班ってことでKとH」


橘「そうか。お前に言ってなかったな。出動優先順位はK班だ」


藍沢「分かりました。ヘリポートの場所は?」


田中「Kは前と同じ。HはKの向かい側」


藍沢「わかった。ありがとう」


田中「うん」



そんな2人の様子を見て橘が言う。


橘「よろしく頼むよ。」


藍沢「はい」

田中「はい」



そのまま3人はスタッフルームへと歩いていった。


座ってデスクワークを始める3人。

そこに、デスクに置いてある院内用の電話が鳴った。

藍沢がスグに電話を取る。


藍沢「はい。救命医局です」


藍沢はそうこたえながら、いつもの癖でスピーカーモードにする。

そこに聞こえてきたのは、西条の声だった。


西条「藍沢か?」


藍沢「はい」


西条「こっちに来れるか?」


藍沢「どうしました?」


西条「新海の患者が急変した」


藍沢「!……」


すると、横にいた田中が呟いた。


田中「脳外行ってきて、ヘリは代わりに黒田先生に乗ってもらう」


藍沢「わかった。頼む」


藍沢はそう言ってヘリの無線を田中に渡す。


田中「うん」


藍沢「すぐ行きます」


西条「頼む」




藍沢が医局をフライトスーツのまま飛び出していく。


それを見た橘が田中に問う。


橘「脳外のコンサルか?」


田中「急変らしいです。新海先生の患者さんが」


橘「なるほど」


そこに黒田先生がICUから戻ってくる。


田中「黒田先生!」


黒田「どうした」


田中「藍沢先生が脳外の急患で呼ばれたので、要請があったら」


黒田「俺が乗ればいいか?」


田中「お願いします。Kで」


黒田「わかった」




その頃、脳外科では…

藍沢が急いで言われた病室に走っていくと、そこには高校生ぐらいの男子がいた。


西条が藍沢に気がついた。


西条「藍沢!」


藍沢「どんな感じですか」


西条「恐らく血栓だ。オペ室は?」


西条がナースに問う。だが、瞳孔を確認した藍沢が言う。


藍沢「いや、オペ室までもたない。ここでやります」



そして、藍沢によって血栓除去の緊急オペが行われ、少年は一命を取り留めた。



落ち着いて眠る少年を藍沢と見ながら西条が言う。


西条「ありがとな」


藍沢「いえ。俺は戻りますね。今日はヘリ担なので」


西条「そうか。悪かったな」


藍沢「いえ。新海への連絡は任せていいですか」


西条「あぁ。また、何かあったら頼むな」


藍沢「はい」


そして、藍沢は足早に脳外を出ていった。



藍沢が救命に戻ってきた。


黒田「藍沢」


そう言うと、藍沢にトランシーバーを投げてきた。それを藍沢が片手でキャッチする。


黒田「今日はお前がヘリ担だろ」


藍沢「はい」


黒田「向こうのは上手くいったか?」


藍沢「脳の奥の細い静脈に血栓がありました。無事に取り除きましたし、バイタルも安定してます」


黒田「そうか。お前も無理はするなよ。何かあれば俺が向こうに行ってもいいんだ」


藍沢「はい。ありがとうございます」



そこに、出動要請を伝えるホットラインが鳴り響く。



田中「はい。こちら、翔南救命センター」


消防「マラソン参加者が心停止です」


田中が横を見るとCSがグーサインを送ってきた。

藍沢と目が合うと藍沢が頷く。


田中「わかりました。向かいます」


その声と同時に藍沢、横峯、谷口が走り出す。


そして、CSがアナウンスする。


CS「ドクターヘリ、エンジンスタート。ドクターヘリ、エンジンスタート」


藍沢たちがブルーに塗られている道を走っていく。


ヘリに乗り、3人がヘッドセットをつけると梶が離陸させた。


梶「藍沢先生か」


藍沢「はい」


梶「おかえり。今日からまた頼むな」


藍沢「こちらこそよろしくお願いします。」


梶「あぁ」


藍沢「でも、1年も日本のドクターヘリに乗ってないんで不手際があるかもしれないですね」


梶「そうかもな。ま、藍沢先生ならいつも通りやれるだろ」


藍沢「だといいです。横峯の方が手際がいいかもな」


横峯「えっ!」


藍沢「診断はお前に任せる。今回のフライトドクターはお前だ。俺はお前の指示に従う」


横峯「また、それですか」


藍沢「あぁ。いずれ1人で乗るんだ。やっておいた方がいい。」


横峯「でも…」


藍沢「診断が違ったらその場で俺が言う。まずは自分でやってみろ」


藍沢に言われて横峯は気がついた。フェローなのに私にさせるの?と思っていたが、藍沢の考えは逆だったのだ。フェローの間だからこそ私に診断をさせて間違ってても指導医である自分が指摘する。そして、患者を救う。他の救命の医師は指導よりも患者を救うことが優先だ。だけど藍沢はフェローを育てることを忘れない。今、横峯はそれに気がついた。


横峯「わかりました」


そう言うと、横峯はヘリから現場に無線を入れた。


横峯「こちら翔南ドクターヘリ…」



こうして、横峯、藍沢、谷口は30代男性の命を救った。




その日の日没後


書類をまとめる横峯に藍沢が声を掛けた。


藍沢「今日の手際はとても良かった。成長したんだな。1年で」


横峯「そうですか?」


藍沢「あぁ」


横峯「藍沢先生はやっぱり凄いですね」


藍沢「何が」


横峯「1年も乗ってないのにいつも通りじゃないですか」


藍沢「…そうだな。でも、向こうでも救命の手伝いはしてたし、1年前に田中に頼まれて脳外から戻ってきた時は7年ぶりだったが問題もなかったからな」


横峯「向こうってトロント大でですか?」


藍沢「あぁ。俺の経歴は向こうに送られてるから、よく呼ばれた」


横峯「そうだったんですね」


藍沢「あぁ」


横峯「やっぱり藍沢先生は凄い…」


藍沢「体が覚えてるだけだ」



そこに田中が入ってきた。



藍沢「終わりか?」


田中「うん。そっちは?」


藍沢「今、終わった」


田中「ホール行く?」


藍沢「そうだな。俺も久しぶりにやっておきたい」


横峯が不思議そうにしていると田中が横峯に声を掛けた。


田中「横峯先生も来る?」


横峯「えっ?でも…」


突然の田中からの誘いに助けを求めようと藍沢の顔を見る。


藍沢「たまには、第3者がいた方がいい」


横峯「えっ…」


すると、藍沢はドアに向かって歩き出した。


藍沢「行くぞ。2人とも」


田中「行こ?横峯先生」


横峯「あ、はい」



そして、ホールに着いた。

そこは横峯の入ったことのある昼間の人が多くいるホールとは違い、静かで広々としており、多くの客席が広がる光景だった。

そして、ライトアップされたステージにはピアノが向かいあわせで2つ置かれていた。



横峯「何をするんですか?」


田中「音楽発表会の練習」


藍沢「俺と田中が弾くことになってんだ」


横峯「なるほど」


藍沢「感想頼むな」


横峯「え、知識無いですよ」


田中「だから良いの。病院でやる発表会だもん。知識が無い人がほとんど。そういう人にどんなふうに伝わるかが重要なの」


藍沢「頼めるか?」


横峯「わかりました」



そして、まずは田中が弾き始めた。

優しい音色は聞いている人に安心を与える。そんな音色だった。


次に藍沢が弾き出す。

こちらは最難関曲を美しく弾きあげる。


横峯「田中先生のは優しくて安心する感じがしました。藍沢先生のは聞いてて弾くのが大変そうだなって思いました。」


藍沢「そうか。ありがとう」


田中「次は2人で弾くのも聞いてもらえる?」


横峯「あ、はい」


2人で弾いたのはパイレーツ・オブ・カリビアンだった。ピアノ1台でも出来る曲だが2台でやることでより良いものになった。



演奏を終え、横峯の感想を聞いた。


藍沢「ありがとう」


田中「助かったわ」


横峯「いえ。すごい演奏をありがとうございました」


藍沢「亜依、帰るか?」


田中「うん」


藍沢「横峯は」


横峯「私も帰ります」


田中「横峯先生、バスだっけ?」


横峯「はい。駅までバスでそこから電車です」


藍沢「今の時間にバスがあるのか?」


横峯「えっ?」


横峯はハッとして時計を見た。

ちょうど行ったあとだ。次は40分後…


横峯「ウソ…40分後」


藍沢「もう支度は出来てるのか」


横峯「はい…」


藍沢「亜依は」


田中「出来てる」


藍沢「なら、横峯。お前も車に乗れ。駅まで送ってく」


横峯「えっ?いいんですか?」


田中「ピアノの練習、付きあせちゃったし」


藍沢「帰るぞ。車回してくるから、玄関で待ってろ」


田中「わかった」

横峯「はい」



そして、藍沢が足早に歩いていく。

それを見て田中に横峯が尋ねた。


横峯「ほんとにいいんですか」


田中「良いの。ごめんね、練習付き合わせて」


横峯「いえ、凄い演奏でビックリしました」


田中「そう?ありがとう」


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