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妹勇者は魔王よりも兄に会いたい!  作者: 狼猫 ゆ狐
妹勇者はミランの風を感じます
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テンプレ。だがしかし

「嬢ちゃん達、冒険者になりてぇのかァ?」


 冒険者ギルドに入った二人に大男が絡んできた。

 ギルド内の他の冒険者はチラホラとその様子に気付いたようで、観察してきている者もいる。


 大男は恐らく人族で、髪の毛は無く、スキンヘッド。全体的にいかつく、日に焼けた小麦色の筋肉が目につく。顔は強面。服装は海の近くに相応しい薄着。背中にはモリのような槍を背負っている。


「……」


 ルキリヤはどう答えるべきなのか迷っている。

 この強面の男は一体どういうつもりなのだろうか? と思っているのだ。

 そんなおり、


「ん。こっちのルキリヤは、登録に来た」


 クテイがしれっとルキリヤを売る。

 なんの悪気もなさそうだ。


「!?!?」 


 ルキリヤは、裏切られた!? とクテイを見る。

 しかしクテイ、やはり無表情。涼しい顔をしている。


「おぉ、そうか。んじゃあよぉ……」


 大男がルキリヤの目の前に歩みでる。

 大男から、ゴゴゴゴ…! とかの効果音が聞こえてきそうだ。

 それだけの迫力がある。

  

 目の前に居ることで身長さが明らかになった。長身であるルキリヤよりも全然大きい。男は余裕で二メートルを越えているのではないだろうか。筋肉があることで横幅もあるので中々の威圧感になっている。


 大男はジロジロとルキリヤを見る。


「な、なんですか?」


 ルキリヤは種族的優位性からか、震え上がるようなことはないが、少しびくついている。


「ちぃと黙ってろ」


 大男はギロッとルキリヤを睨み、黙らせる。


 ギルド内の冒険者達のほとんどがこの二人に注目している。

 しかし、誰も助けに入ろうとはしない。


 そして、大男は暫くルキリヤを睨み続け、



「あー…………よし! お前さんなら大丈夫だろ。今のところの戦闘力はまだ低いが、才能はずば抜けてやがる」


 ニカッと白い歯を見せて笑った。


「……へ?」


 ルキリヤはその様子の変わりように呆気にとられる。


「ガハハハ! ビビらせて悪かったな嬢ちゃん。試しちまった」


 バシバシとルキリヤの背中を叩いて豪快に笑う大男。


「ちょっ、強い」 


 ルキリヤは背中を叩かれることに抗議する。

 何気に痛いようだ。


「グラムさん、只でさえ顔が恐いんだからもっと優しくしたらどうだ?」


 併設されている食事のテーブルから様子を見ていた冒険者の一人が親しげに大男に話しかける。

 それに他の冒険者達も笑いながらその通りだと言う。


「仕方ねぇだろ! 真面目に面と向かって見るだけで、相手にガン飛ばされてると思われちまうんだよ。どうしようもねぇ。それに、俺にビビっちまってなんも出来ねぇなら、冒険者には向いてねぇよ。魔物は俺よりもこえーし?」


 大男もまた気軽に返す。

 

「…………へ?」


 ルキリヤ、二度目の「……へ?」である。

 状況に全くついていけていないようだ。


「ん。この人、嫌な感じが全然しない。イイ人。むしろイイ人すぐる」


 とはクテイの言葉。

 最初から大男のことを大丈夫だと思っていたらしい。


 すると、ギルドの奥にある受付からスレンダーな体型の美人な女の人が出てくる。


「ゴメンにゃー。グラムさんは見ての通り強面だからにゃ。誤解されがちだけど、スッゴい優しいんにゃよ?」


「強面は諦めてる」


 グラムはその女の人の言葉に悟った目で言う。


「えーっとぉ? つまり、どういうこと?」


 ルキリヤは混乱している。


「ん。このグラムさんは、冒険者志望の人を、登録してから直ぐに死んじゃわないように、見定めてる。根っからのイイ人」


 クテイが教えてくれる。


「なんだよ、分かってたのか? 嬢ちゃん」


「ん。もちのろん。あと、嬢ちゃんじゃない。クテイ」


「あーったよ。クテイ嬢ちゃんだな。俺はグラムだ」


「…………まあ、よしとする」


 クテイとグラムがあっという間に打ち解けている。


「にゃはは。クテイちゃんはスゴいにゃー。グラムさんの本質を直ぐに見極めるにゃんて」


 女の人が感心している。


「ん。当然。それに、かなり強いよね?」


 クテイは女の人に向き直る。


「にゃは!? それも分かるにゃ? そうにゃ。グラムさんはこの町唯一のSランク冒険者にゃ」


 女の人は驚きを隠しもせずにリアクションをとる。


「なるほど」


 クテイは納得したようだ。


「Sランクつっても、Sランクの弱い方だけどな」


 グラムが気恥ずかしげに付け足す。

 

「ああ、それと私はこのギルドの受付嬢をしてるシャルって言うにゃ。気づいてると思うけど、猫の獣人にゃ。よろしくにゃ~」


 シャルは紹介の時に自分の猫の耳と尻尾を動かしてそう言い、手を差し出す。

 クテイとルキリヤとそれぞれ握手する。


「んで、そっちの嬢ちゃんの名前は?」


 グラムはルキリヤに聞く。


「あ、ああ、そうでした。私はエルフと狼の獣人のハーフでルキリヤと言います。よろしくお願いします」


 なんとか状況を飲み込めたらしいルキリヤは自己紹介する。 


「ま、よろしく頼むわ」


「よろしくにゃ~。そうにゃ、登録なら私がしてあげるにゃ。受付行くにゃ~」


 シャルは上機嫌そうに尻尾をフリフリしながら受付に戻っていく。


「おう、ルキリヤ嬢ちゃん、お前さんは無茶しなけりゃそうそう死ぬこたぁねぇだろ。優秀なパートナーもいるみてぇだしな。俺は飯食いに行くが、シャルの奴なら悪いようにはしねぇだろ。ま、頑張れや」


 そう言うとグラムはギルドから出ていった。


「…………人って見た目で判断しちゃ駄目ですね」


 グラムを見送っているルキリヤが呟く。


「私という存在、知りながら」


 と、クテイはもっともなことを言う。

 小さくて可愛らしいクテイが実はメチャクチャ強いのだ。

 この世界では見た目はあまりあてにならない。


「ん。シャルを待たせちゃう。いこ」


「あ、はい」


 二人は受付に向かう。



ということで新キャラ登場。テンプレさんはイイ人でした。ありきたりかな?

それと、海だから猫の獣人。


今回は人がめっちゃ出てきたので違和感なく書けたか不安ですー


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