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妹勇者は魔王よりも兄に会いたい!  作者: 狼猫 ゆ狐
妹勇者はミランの風を感じます
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ルキリヤ、初冒険者ギルドへ

「わー! すっごい綺麗な町ですね! あっ! 見てくださいよあれ! カモメとかいう鳥じゃないですか? いや、ウミネコ……?」


 ルキリヤは目の前の美しい町並みを見てはしゃぐ。

 そのあと、飛んでいる白い鳥を見つけるも、種類に自信が持てないようだ。


「ん。あれはウミイヌ」


 クテイがルキリヤの間違いをただす。


「え!?」


「ほら、耳を澄ませて?」


 


 ワオンワオン


「ほんとだ! 鳴き声が犬っぽい!」


 ルキリヤは新たな発見をする。どうやらあの白黒の鳥はウミイヌと呼ぶらしい。本を読み漁ったルキリヤでも知らなかった鳥。未知を知れて少し嬉しくなるルキリヤ。

 しかし、


「わおん」


「…………」


 鳴き声が、横から聞こえる……?


「わお」

「クテイさんですよね!? そのワオンって絶対クテイさんですよね!? ウミイヌって嘘でしょ!」


 口に手を当て、隠し、目をそらしていたクテイにルキリヤかツッコミをいれる。


「む。ばれた」


 口から手を離し、今度はちゃんと口を動かすところを見せてワオンと言う。


「バレますよ! 真横ですもん! というか、無駄にモノマネが上手いですね」


 呆れた様子のルキリヤ。


「ふふ。無駄じゃない。意外と、使える」


「どんなときです?」


「ルキリヤ、からかうときとか」


「…………」


 とまあ、町を歩きながらそんな風にじゃれあっている二人。



「ところで、クテイさんて冒険者登録なんてしてたんですね」


「ん。何かと便利だから」


 クテイは異空間からカードを取りだし、ルキリヤに差し出す。


「あ、どうも…………あれ? ランクがDなんですか? てっきりSくらいはいってるものかと」


 冒険者にはランクがある。駆け出しのEランク。初心者のDランク。一人前のCランク。上級者のBランク。その上にAランク、Sランク、SSランク、Xランクとあるのだ。

 SSランクは伝説級。Xランクは、それこそ神である。


ルキリヤはクテイの実力なら簡単にSランクくらいはなっているものかと思っていたのだが、


「ん。めんどいから今まで断ってた、の。それに、有名になるとおにぃちゃんに探してることがバレて対策、とられる。…………まあ、もおバレてるみたいだから、ランク、上げてもいいんだけど、ね」


 クテイは返してもらったカードをしまう。


 ランクを上げるのには依頼をこなすか、冒険者登録後に魔物を狩り、カードに記載された討伐欄を提示することが一般的だ。

 なにかしらの功績をあげるなりしたら特例で上がることもあるのだが。


 恐らく、クテイの討伐欄はえげつないことになっているのではないだろうか。


「魔物の素材を売るのが、収入源。ルキリヤのご飯のもと」


「いつもお世話になってますッ!」


 クテイが小金持ちな理由が分かったのだった。



「それで、何処にいきます? ご飯屋さんで魚食べます?」


 ルキリヤはクテイに予定を聞く。


「んー、そう、ね。先ずはご飯」


 クテイが頷く。



***************




「いやあ、美味しかったですねー! お魚がとても新鮮でした」


「ん。至極の一品」


 幸せそうな顔の二人。

 二人は食堂を見つけてそこでご飯を食べたのだが、その食堂が当たりだったようだ。満足げな顔をしている。



「それじゃお腹も膨れたし、ルキリヤの冒険登録、やりに行く、よ」


「えっ? 私が冒険者登録するんですか?」


「ん。そのほおが何かと便利だ、よ?」


 ルキリヤを見上げるクテイ。

 小柄なクテイと長身なルキリヤでは自然とクテイが見上げる形になる。


 …………自然と上目使いになる。キラキラとした蒼い目がルキリヤをうつす。


「は、はい、そうですね、しましょう、登録」

(いやいや、なんですか? この破壊力は!)


 ルキリヤの内心は悶え狂っていた。

 ひょんなことからダメージを負うルキリヤであった。



「ん。ここが、そうみたい」


 ある建物の前でクテイは立ち止まる。


「あっ、ここがですか? 私、冒険者ギルドって初めてなんですよねー」


 建物を見上げるルキリヤ。

 その建物は三階建てで入り口には剣と杖と盾のデザインの看板があげられていた。


「はー、ドキドキしますね! 冒険者って、英雄のような人からチンピラに毛が生えたようなのまで幅広いと聞いています! だ、大丈夫でしょうか? 私、門前払いされたり……」


 ルキリヤは身嗜みを整え始める。


 ちなみに、冒険者ギルドに入るのに身嗜みを気にする人なんてそんなにいない。


「変なの。ギルドだよ? むしろ多少は汚れてたほおが受け入れられやすいと思う、けどな」


 首を傾げるクテイ。


「あっ、そ、それもそうですね。緊張して空回りしました」


 ルキリヤはてへっ、と微笑むと、ウエスタンな扉を押してギルドに入る。


 

「おお……!」


 中では冒険者達が依頼を探し、受付に並び、交流等のためと設置されているテーブルで会議をしたり武器の手入れをしたりと、それぞれがいきいきとしていた。


 それは、ルキリヤの思い浮かべていたギルド像と同じだった。


「んー、海があるからか、皆おおらか? 嫌な感じは、そんなしない」


 ルキリヤの初ギルドは良い思いでになるだろう…………




「アァ? 嬢ちゃん達、冒険者になりてぇのかァ?」


 大柄な男が絡んできた。

 どうやら平穏無事には終わらないようだ。



初期の構想では、ギルドに入った途端にルキリヤの顔面にワカメが飛んでくるという展開にしようと思ってました(笑)



 顔にワカメを纏わせてルキリヤは硬直する。

 少しするとワカメがズルズルと落ちていく。

 露になった顔にはギルドに入った時そのままの微笑みが。

 ただ、少しひくついているが、


「…………よ、よかった、ね? 早速、汚れられた、よ……?」


 後から入ってきたクテイが目をそらしながら言葉を探す。



 みたいな?

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