港町ミランに到着
今回はちょっと短いですよー
「わ。海ですよ! クテイさん! 見て、海!」
ルキリヤの視線の先にはキラキラと輝く海が見える。
クテイ達は海の見える所まで来ていた。
元々居た町と港町ミランとが割りと近かったからか、はたまた二人の無茶なショートカットなどの強行軍のお陰か、かなり早い。
出発してから数日しか経っていない。
「ん。ルキリヤは海、はじめて?」
クテイも心なしか興奮しているようだ。
声がいつもより少し大きく、喋りが早い。
「はい! 私は山か森ばっかでしたね。
…………結構前から分かっていましたが、これが海の匂いなんですねー」
ルキリヤはスンスンと匂いをかぐ。
海が見える前から磯のかおりはしていたが、あらためて海を見るとまた思うところがあるようだ。
「ん。そうね。私も海ははじめて」
クテイは歩きながら地図を広げる。
「海が見えるってことは。もうすぐ、町が見えるよ」
地図を確認すると、もうすぐ、町に着くようだ。
「えっ、ほんとですか! …………おお! あれが!」
今居るところは丘のような高台にになっているので町の全貌が見れた。
とても綺麗な町だ。
建物の白いレンガが太陽に映えている。
地球の人間ならば、地中海に面した町を思い浮かべるような建物だ。
「素晴らしいですね!」
「ん! 綺麗な、町」
どうやら町は半円の形をしているらしく、直径の部分、円の直線部分が海に面しており、弧の部分が町を守る壁になっている。
「早く行きましょ!」
「ちよ、急ぐと、ころ」
案の定盛大に転ぶルキリヤ。
高台にいたため、ずざざーっ、と見事な滑りを見せて落ちていく。
「あ~れ~」
「…………やっぱり余裕?」
ルキリヤは意外と怪我もないようで、叫びながら滑り落ちていく。それを小走りで追うクテイ。
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「クウーン……酷い目にあいました」
土を払いながら涙目になるルキリヤ。
尻尾は垂れ下がり…………いや、はたきのように体を払っている。
便利な尻尾だ。
「ん。自業自得」
呆れた目を向ける。
「いやでも…………」
言い訳がましいことを言おうとするルキリヤ。
「まあ、はしゃぐ気持ちも分からんでもない。ほら、行こ」
それを遮るようにクテイは異空間から布を出し水魔法で濡らしてから手渡し、歩き出す。
「あっ、ありがとうございます。メチャ気が利きますね」
ルキリヤは頬についた土を拭いながら追従する。
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「よし。通って良いぞ」
「ん。ありがと」
「ありがとうございます」
門番から許可を貰う二人。
たいして並ぶこともなく、通ることができた。
ちなみに身分の証明は、クテイは冒険者ギルドのカードを、ルキリヤはこの世界の旅する者なら持っている身分証明書を門番に確認してもらったのだ。
門番は最初は美少女美女に面食らったが、直ぐに持ち直し対応してくれた。
門番は町に入れるのに必要な書類にさらさらと何かを書くと、
「それじゃあ、ようこそ! 漁業と貿易の町【港町ミラン】へ!」
日焼けした小麦色の顔によく映える真っ白な歯をニカッと見せて笑う。
感想欲しいな




