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妹勇者は魔王よりも兄に会いたい!  作者: 狼猫 ゆ狐
妹勇者はお供に残念美人を連れています
14/29

クテイはもっと凄かった

「風と水と氷……! それってかなり良いですよね!」


 ルキリヤは興奮を露にする。


「ん! めっちゃ、いい」


 クテイも少しばかり興奮している。


「普通って基本属性が一個あれば良い方ですもんね!

 それを基本属性二つに派生の上位属性まであるとは!」


 そう、ルキリヤの適正が三つあるというのはかなり良い方なのだ。適正なしという人もいるくらいなのだから。


「ちなみにクテイさんの適正って何ですか?」


 ルキリヤは勢いそのままにクテイに尋ねる。


 すると、クテイの動きがピタリと止まる。

 それに少し遅れてルキリヤも立ち止まる。 



「……ん、ん、ん、ん……」


 クテイは小枝を脇に挟み、指折り確認していく。

 左手の指を一本ずつ曲げていく。

 どうやら自分の適正を思いだし、数えているようだ。



「…………クテイさん。片手じゃ足りないってどういうことですか……?」


 クテイの指折りは左手じゃ足りず、右手に突入する。


「ん、ん…………」


 尚もカウントしていくが、遂に右手でも足りなくなってしまった。


「…………ん?」


 クテイの動きが止まる。


 暫くすると、プルプルと震え始めた。


 

「た、たりない……!」


 思わずルキリヤはずっこける。


「ちょっ! クテイさんが凄いのか凄くないのかよく分かんなくなりますよ!?」


 適正が十以上あるとはまさに伝説級なのだが、数えるのに指が足りなくて涙目になるとは、少し微妙である。

 凄いのか、凄くないのか。いや、凄いのだろうが。



「っていうか! クテイさんってめっちゃ頭良いですよね! わざわざ指使わなくても……」


 至極当然の指摘だ。


「……楽だもの」


 指使った方が楽らしい。


「んー……基本属性全部と、派生いくつか。特殊が少し。ゆーしゃだから手に入ったのが、いくつか」


 なるほど。十じゃ足りないわけだ。


 ルキリヤは絶句している。


「ん。でも、よかった。ルキリヤの属性、私持ってるから、教えられる」


 はぁ。と息をつき、安心したように笑う。


 ルキリヤはその笑顔に腰砕けになる。


「破壊力……! 魔法適正十以上よりもクテイさんの笑顔のが威力ありますね……!」


 なんだか変な境地に至っている。


 クテイはそんなルキリヤを知ってか知らずか、話を続ける。



「ルキリヤの三つはとても使い勝手がいい」


 クテイは言うと、小枝を手に持ち、少し集中する。


 すると、小枝の周りを水が覆う。


「おお!」


 更に、その水が固まっていく。

 次第に形がはっきりしていく。

 小枝を芯にした氷の槍になった。


「おお!?」


「ん。いけ」


 クテイは氷の槍を木に向けそっと投げる。


「うぇ!?」


 氷の槍は地面に落ちる…………かと思いきや、クテイの手から離れた途端に強い風が吹き、氷の槍を加速させる。


 そして、槍は勢いよく飛び、木に思いっきり突き刺さった。


「ん。こーいうこととか出来る」


 クテイは自慢げに胸を張る。


「す、凄いですね!」


 ルキリヤは自分の適正の凄さを見て興奮気味だ。


「いきなり氷で出すことも、可。だけど、やりやすいから木の棒を軸にして、水を纏わせてからにした」


「水魔法は、温度変化はあんまり得意じゃない。ましてや、氷や水蒸気に状態変化、そんなの無理」

 

「だから氷魔法や、蒸気魔法が、ある。

 …………まあ、蒸気魔法は、風魔法の熱いバージョン(使い勝手悪い)みたいなもん、だけどね」


「水魔法と氷魔法、風魔法と蒸気魔法とかの組み合わせで適正あると、当たり」


 すらすらと喋っていく。


「…………とてつもなく勉強になります……。本より分かりやすい……」


 ルキリヤはクテイに買ってもらっていた手帳に羽ペンでメモを取っていく。


 

 樹海で突然に始まった魔法講座。

 そんな光景は暫く続いたらしい。



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