温度
夏のこと。クラスメートの霞ちゃんが死んだ。下校中に交通事故に遭ったらしい。
「ねえ、冷ちゃんは悲しくないの?何で、何でそんなこと言うの?」
泣きながら、さらに怒りながら隣の席の正田が言ってきた。
「だってさ、悲しんだって霞ちゃん、戻らないでしょ?」
「わかってるよそんなこと!」
正田は、小さな子供のように、泣いてるのか何なのかわからないくらい怒って教室を出て行った。
私は霞ちゃんとの思い出について振り返ってみた。そもそも私には友達っていう存在がいない。どうしてか正田は私にフレンド申請してくる。霞ちゃんとは、体育の時に数回話しただけだと思う。
突然正田が戻ってきた。
「みんなが悲しんで泣くのは、霞ちゃんが生きてきたってことだよ。」
生きてきた…。
「霞ちゃん、昨日は生きてたんだよ……。」正田の声が小さくなっていく。昨日まで動いていた霞ちゃんはもう動かないんだ。そう考えると、ぼんやりと不思議な気持ちになってくる。でも、そういう感じが久しぶりで妙にムズムズとする。
「正田、私、家でゆっくり考えるわ。…。帰る。」
クーラーの効いた快適な校舎から一歩踏み出す。
「あ、暑っ。」
初投稿です。私は、生と死っていうものがよくわかってないです。