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気付けば異世界で石になっていたのだが  作者: 利苗 誓
第1章 様々な生き方
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第3話 転生の輪

 目が覚めると、俺は蟻になっていた。

 もう詳しい説明はいらないだろう。

 俺は、即座に今の状況を理解した。


(転生してるな……)


 人間、石、バッタと来て、次は蟻か。おかしな話だ。転生を繰り返している。

 今回の自分の体は、酷く大きかった。


(蟻とは思えない大きさだ)


 今いる場所もなんとなく薄暗い。が、蟻の能力なのか、暗視が可能だった。

 それに逞しい顎門あぎとを持っており、体中から毒素が感じられた。背には鉄の棘が生えている。


毒蟻ポイズンアントってとこだな)


 俺は自身の属する種族に勝手に名前を付ける。

 前回は迂闊だった。動けることに興奮し、すぐに死んでしまった。次があるかも分からない。

 俺は油断なく構える。恐らく、今俺がいる場所は洞窟の中のどこかだ。

 それにしても、この世界の生き物はどいつもこいつも強そうな奴ばかりなのにふとした拍子にすぐに死んでしまう。恐ろしい世界だ。

 そして、俺は念のため毒を地面に塗りながら洞窟内を探検する。

 すると、どこからともなくイノシシがやってきて、俺に襲いかかろうと此方に突撃し、毒に触れた。途端、イノシシは即死した。

 とんでもない毒だった。


(これゃあかんやつや……)


 自分の毒の強さに驚きながらも探索する。

 どうやら洞窟はダンジョンであるらしい。

 石の頃に聞いた知識と今の情報がピッタリと当てはまっている。

 道理でさっきから俺を見る目が野蛮で、イノシシに至っては突然突っ込んできたわけだ。

 蟻には蟻の戦い方がある。そう考え、近くの隙間に潜む。

 潜む、はずだった。 

 その隙間には既に五つの顔を持つ蛇が潜んでおり、俺は瞬時に食べられた。

 蛇は俺の毒に苦しみ、俺も消化に苦しむ。が、消化の方が一歩早かった。

 生前、蛇に食われても無傷で出てくる毒蛙なんてものを見たことがあったのに、あんな風にはいかなかったなぁ……。


 そう最後に思い残し、俺は息を引き取った。


 闇の中に意識が放り出され、俺はまた転生の回廊を潜る。




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