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プロローグ

傷口はミシンで縫えばいい。

 眼球を抜き見開く双眼はホッチキス。

 血を抜くには逆さ吊り。

 あぁ、どうすれば長く長くこいつをいたぶり続ける事ができるだろう。

少しずつ少しずつ皮膚から肉にかけてゆっくりゆっくり爪切りで切り取ろう。

 何十回も、何百回もこの行為ができるように慎重に、丹念に、熟慮の上で永遠に苦しみ続けさせよう。


 この俺、華月ルキの姉さんは、今でこそ申し分ない存在だ。端正な顔立ち、頭脳明晰、体のラインも美しく、なにより所属している部内ではみんなに慕われる性格の良さ。時折俺の予想外な事をやらかしてよく脅かされるが、それも愛嬌の一つだ。

 目が合えば引き込まれ。

 手が触れ合えば心が落ち着く。

俺はもう姉さんから離れない。

 この人がいないを俺は壊れてしまう。

だから繋いだ手は離さず、繋ぎ止める。


俺は姉さんの唇を貪る。

 お互いキスは初めて、俺はただ欲望のままに強く唇を押しつける。余裕なんてない。

「こ、こら、ル・・・・・・君。誰か・・・・・・来る・・・・・・あっ、ぅふ・・・・・・」

「大丈夫で・・・・・・見せつ・・・・・・。あぁ、姉さん・・・・・・ね・・・・・・さん」

 夢中で口を重ねる。柔らかな体を強引に引き寄せながら。

 いままで何度か機会はあったけど、ようやく一つになれた。

 いつもなら俺は姉さんの下僕のような存在だが、今の主導権は俺にあった。

 濡れた舌が堅く閉ざされた唇をこじ開ける。

「ん・・・・・・あ・・・・・・」

 漏れる吐息。蠢き、絡み合う互いの舌。

「好きだよ、姉さん・・・・・・」

「わ、私も、ル・・・・・・君の事が好き・・・・・・ぞ」

俺達は時間という概念を忘れ、愛を確かめ合っていた。

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