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その『小さな親切が大きなお世話』なんだ!【中】

 それから数日。

 俺は町の宿でクリエとフィニが来るのを待っていた。

「暇だな~……」

 さすがに暇になり町で情報収集をする。情報を聞くと。ここ最近、強盗が出るとかで困っているとの話だ。

 俺は数日前の事を思い出した。

「あいつらか……まあ、暇を潰すには丁度良いか」

 強盗退治の依頼を暇つぶしに受ける。依頼の内容を見ると、城下町の近くに強盗のアジトがある場所が分かった。

 俺は、アジトを潰すために行く。一人でもあの程度の連中ならば負ける可能性は無い。地獄の特訓の成果を自分で確かめねば。


 情報通りにアジトが見つかる。

「ここか……」

 そのままアジトに乗り込む。アジトと言っても洞窟に住んでいるだけのようだ。中は薄暗いが消えた松明あるので、火を付けるとよく見えるようになった。

「火が消えていると言うことは留守か?」

 いや、いくらなんでもアジトを丸ごと留守にすることは無いだろう。

 そのまま進む。やはり人の気配はない。とうとう奥まで着いてしまった。

「誰もいない……どうなってるんだ?」

 辺りを見渡すと。

「何!?」

 俺は驚いた。魔物の爪跡と思える物が壁に刻まれていた。どうやら魔物が強盗のアジトに乗り込み壊滅させてしまったようだ。

「骨折り損のくたびれもうけか……」

 俺はあの強盗たちの末路に手を合わせる。魔物と仲良くしているのはフィニやクリエだけなのかもしれない。

 俺は町に戻ると強盗のアジトがすでに壊滅していた事を話した。そこで仰天した。

 なんと! 俺が強盗を退治して斡旋所の前に捕まえた強盗たちを簀巻きにして転がしたということになっていたのだ。

 簀巻きにされた強盗たちの首に紙が貼り付けられていて、俺の名前が記載されていたそうだ。そして捕まえた強盗達は口々に俺が捕まえたと呟いているので証明と成ったらしい。

 どうしてこんな事になったのか……なんとなく察しがついた。おそらくファーヴかファエル辺りだろう、フィニやルーシーに俺が何をしているのか聞かれて、一人で強盗退治に行ったから気を使って先に退治、そして強盗共に洗脳辺りでもした。こんな辺りだろう。

 クソ! どうしてあいつらは俺の仕事を邪魔するのか……棚から牡丹餅は嫌いなんだ。どうしてあいつらは分かってくれないのだろう。

 報酬が手に入ったが何か腑に落ちない終わりかたに不満だった。


 さらに数日。

 フィニ達が到着した。

「やっと来れた~ごめんね~」

 フィニは相変わらずだ。いつも一緒のファーヴがいないのが気になった。文句の一つでも言ってやろうと思ったのに。

「ファーヴはねえ~用事があるから来れないんだって~」

「そうか、まあいいだろ。仮にも上司というか総元締めを倒す手伝いをしてくれなんて無理言えないもんな」

 戦力としてとても頼りに出来そうだったがいざとなるとこうして逃げてしまうのか。仕方がない。そもそもアイツは魔物だ。魔王退治に参加させるほうが無理だろう。

 次にクリエだ。

「悪い悪い、こっちもやっと仕事が片付いた」

 ……クリエにもパララが一緒にいない。

「パララも用事があるそうだ」

 俺は頷いた。何と無く心当たりがあるのだ。

「仕方ないさ、無理をさせられないだろ。もしかしたら魔王を倒してしまうと奴等にも何かしら影響があるのかもしれないしな……」

 こうして俺が魔王退治に行くための手順を踏むことが出来たのは彼らのお陰なのだ。これ以上望むのは酷だ。

 それにあの二人がいるといろんな意味でやかましいから丁度良い。

「行くか」

 俺が促すと二人とも頷く。俺も仲間のために勇者になるために頑張ろうと誓った。

 フィニやクリエがファーヴやパララに聞いて作った地図を片手に魔王の居場所、魔王城へと進む。地図で指定された場所で玉を掲げると何も無い場所に突然穴が開き。

 派手な効果音が轟いたかと思うと魔王城への道が開く、なんと虹で出来た橋だ。

 近づく魔王城を見て俺は息を呑む。逆三角形が四つ並んだ幾何学的な屋根、まさしく人が作ったとは思えない。

 ここにいる魔王を倒せば俺も一躍、勇者の仲間入り。自然と元気が出てくる。

「行くぞ!」

「おお~」

「おう!」

 三人で魔王城に乗り込んだ。


 俺は剣を抜き、構えながら歩く。

 どうやらあの目立つ建物の中に入ったのだが、屋上には何もいなかった。

「おや?」

 何一つ生き物の気配がしなかった。

「変だな? 魔物の一匹や二匹、出そうなもんだけど」

「それ以前に家具とかまったく無いんだが……」

 一部屋一部屋、確認しながら進む。不自然に大きいけれど、室内の見晴らしが良いので何もないのが直ぐに分かる。

「魔法か何かで幻覚でも見せられてるのか?」

「そんな気配しないよ~」

 魔法使いであるフィニが言うのだからきっと本当のことなのだろう。

「きっと何かあるはずだ」

 地図を見ると魔王への道は一度、外を大きく迂回する事になっている。秘密結社ブースとはなんだ?

 きっとその先が本当の魔物の巣なのだろう。

 地図の通りに進む。

「罠の一つも無いだなんて不気味だな」

 クリエの言葉に俺も頷く、確かに不気味だ。やがて、迂回路を突き進む。罠があると思ったがやはり拍子抜けするほど何も無かった。

 空を見ると黒い大きな影が見えたような気がしたが直ぐに消えてしまった。

「ん~?」

 フィニが首を傾げる。

「どうした?」

「ううん、なんでもない~」

 何か引っかかるものでもあるのだろうか? 同じようにクリエも首を傾げていた。


 違和感のあるまますんなりと進んでしまう。妙に大きな広間に出た。

「やっぱり変だ」

「そうだね~」

 俺はフィニ達に目を合わせるように。

「いくらなんでも魔物が一匹も出てこないなんて、この前の強盗のアジトじゃあるまいし……」

「へ~そんな仕事請けたんだ~」

 フィニは相変わらずの態度で答えた。そうか、ファーヴはフィニに話していないんだな。

 俺は強盗のアジトで起こった出来事を二人に話した。

「たしかに似ているけどさすがにここは魔王の城なんだろ? いくらなんでも……」

「まさか、ファエルの情報がガセだったなんてことじゃないのか? もしくはここに魔王がいるわけじゃないとかそんな落ちか?」

 その可能性が一番高いがここまで禍々しい建物がガセだとは信じたくない。そもそも王様だってここが魔王城だって言っていたわけだし、

「念のため、この先に行って確認しよう」

 俺達は歩みを進めていると、どこからか声が響き渡った。

「本日のイベントは終了しました~撤収の準備が終わっていない方は手短にお願いします」

「なんだ!?」

 上のほうから響く声に俺たちは警戒態勢を取る。しかし一向に何も起こらない。

 俺たちは足早に魔王城内を探し回った。しかし、魔物の影すら見つからない。

「おいおい、いくらなんでもここまで来てガセなのか?」

 俺ががっくり着ていると。

「ガセじゃ、ありませんよ?」

 声が聞こえた。

「誰だ!」

 声の方向を見る、そこにいたのは、俺は目を疑う。場にそぐわない人物がいたのだ。

「ど、どうして君が」

 そこにはレヴィアさんが立っていた。

「どうしてってここが私の家ですから」

 レヴィアさんは首を傾げながら答える。

「家? 何を―――」

 俺が尋ねる前にレヴィアさんが口に手を当てる。

「はい、私が魔王、レヴィアタンです。ミドルネームでもあるリヴァイアサンでも通りますよ」

 寒気のする殺気を放つ。

「まさか、ファエルが言っていたレヴィアたんってふざけた呼び名は……」

「ええ、私の本当の呼び名でしょうね」

 どす黒いオーラを纏って彼女が答える。

「今の世の中、人間の世界を見て回って分かったのはここまで来られる勇者はジークさんだけですよ」

「そ、そんな! どうして君が!」

「魔王が人の世を歩いてはいけない法律があるのですか?」

 それは俺が迷った時に彼女が使った言葉遣いだった。あくまでも軽く、そして悲しい歌声とも取れる旋律。

「法律って……」

 言うまでも無いだろう……彼女が仮に魔王だとしてもそんな法律があったらある意味凄い。どこまでピンポイントなんだよ。そんな法律作る奴は絶対正体知っているって!

「どうして強盗に囲まれて居たんだ? 不自然じゃないか」

 そう、彼女が魔王でない証明だ。魔王が強盗に囲まれていたなんて変だ。

「それはもちろん、か弱い女の子が敵を瞬殺しては不自然じゃないですか。ジークさんが来なかったら人通りの少ない所まで言ってから退治するに決まっていますよ」

 おいおい! 幾らなんでも不自然だろ。ん? 不自然? ということは?

「ああ、そっくりさんに化けていると思っても結構ですよ。これを聞いてからでも」

 そう言って彼女は俺と話したはじめてのエピソードを呟いていく、冒険者の学校に入った頃、情報の大切さに酒場に入り、酒を飲んでいた。そこで彼女は歌姫として酒場内で歌を歌い始めそこで魅了されたファンたちから離れた所で俺が見ていたところ、興味を持って彼女自身が話しかけてきて、知り合いとなった。

「懐かしい思い出ですね」

「そんな、嘘だ……」

 そう、俺が可愛い彼女との思い出の一ページ目の記憶をそのまま話しやがった。これは本人しか知らないはずなのに……。

「もちろん本人から聞き出したとか、本人に乗り移っているとでも思って結構」

 剣を構える俺に彼女は黒いオーラを巻き起こし、空中に浮いて、存在が霞んでいく。

「じゃ、じゃあレヴィアタンは……俺の事を初めから利用するつもりだったのか!」

 やがて彼女の造詣が崩れ、禍々しい変身が始まった。何段階か変身能力を持つ魔物がいると聞いたことがあるが魔王もその種類なのだ。

「勇者との親しき話し合い。中々楽しませてもらった。果実が実るのを楽しむというのは収穫の時を待つ意味で悦楽というもの」

 そして、俺はとんでもない魔力と力の波動に相手が本当に魔王だということを自覚してしまった。ファーヴの出す力なんてまだ可愛いと思えるくらい恐ろしいものだ。

「裏切り、絶望、激怒。その全てが甘美たる酒宴であろう? さあ、戦いを始めようでは無いか!」

 魔王レヴィアタンはそう言い放った。

 造詣は禍々しい竜、ファーヴよりも残忍そうな顔つき、そして太い翼に巨大な体躯、大地が抉り取れそうな恐ろしき腕、人間が勝てるのかと疑いたくなる。歴代の勇者はこんな化け物を相手に戦ってきたのか!

 俺は彼女が本物か偽者など気にしている事態ではないと悟った。ここを生き延びてから改めて確認するしかない。

 だが、彼女が本当に遊びで俺と親しくしていたのならば絶対に許してはいけない!

「フィニ! クリエ! 戦闘開始だ!」

「うん~!」

「おう!」

 頼れる仲間たちはこの恐ろしい敵に逃げ腰にならずに俺についてきてくれる。

 魔王は長々しく魔法の詠唱を始めた。辺りには魔法がそこに飛んでいくというマーカーを意味する魔法陣が所狭しに張りついている。

 まず魔法が完成する前に一撃を加えよう。それから即座に安全そうな場所、マーカーが無い場所へ避難だ。

 俺は握っている剣に雷の魔法を掛けて大きく振りかぶる。雷鳴波だ。この技がどれだけピンチを切り開いてくれるか。

 雷鳴波が光を帯びつつ魔王へと飛んでいった。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 土煙を上げて魔王が咆哮を上げる。

 何故か頭に、魔王を倒したとかいうふざけた文章が過ぎる。おいおい、ふざけるもの大概にしろ。一撃で倒れる魔王が何処にいるんだよ?

「さ、さすが勇者ジーク……私がここまで追い詰められるとは」

「ちょっと待てコラ!」

 何やら魔王がそれっぽい台詞を言っているけれど嘘だよな! クソ! 土煙が邪魔で見えない。

「だが! 第二、第三の私がいずれ現れることを忘れるな! そのとき、貴様がこの世にいるとは思えんがな……」

 何ありきたりな台詞吐いてんだ! 絶対嘘だろ!


 その時、後ろから足音が聞こえた。

「しまった! 不意打ちか!」

 俺は横に飛びながら構える。

「誰が不意打ちなんてするか!」

 そこに現れたのは―――。

「ファーヴ! それにパララ!」

 呆れるような表情を浮かべてファーヴとパララが立っていた。

「私も居ますよ」

 白い翼を、派手にはためかせてファエルも一緒に居た。

「お前等? どうしてここに?」

「どうしてって……」

 パララは迷いながら土煙が上がる魔王のいる場所を見る。

「まあ一応、ジークの手伝い?」

「どうして疑問系なんだよ。後、気をつけろ! 魔王がやられた振りをしているから!」

「やられた振りとは失礼な。迫真の演技って言ってくださいよ」

 土煙が晴れると、そこには可愛い女の子の姿をしたレヴィアさんが立っていた。

「さすがです……勇者ジーク、私に傷をつけるとは」

「いやいや、傷つけただけでしょ! つーかどこに傷があるんだ!」

 まさしく異常なしとでも言うくらい彼女には傷らしきものが無い。

「ありますよ~ほら」

 そう言って彼女が右手の人差し指を挙げると薄~く刃物で切ったような微妙な痕あった。というか血が出るほど深くも無い。

「さすがです。勇者ジーク、魔王である私を倒すなんて」

「絶・対・嘘だ!」

 俺の言葉を完璧に無視するレヴィアさん。

「お手伝いありがとうございます」

「そろそろそんな時期なんじゃないかと思ってた所だ。大魔王様」

 ファーヴが会釈して答えた。よくよく考えればレヴィアさんはドラゴンらしいのでファーヴの上司なのだろう。まあ憶測だけど。

「お手伝い~?」

 聞かなくてもいい事をフィニが尋ねる。

「お引越しの手伝いに来てもらったんですよ」

「引越し? 何のことだ」

 嫌な風向きになってきた。何やら不穏な空気が溢れている。一刻も早く逃げ出さねば何時ものパターンな気がする。とはいえ……魔王が? まさかな、前哨戦だろ?

「この辺りでのイベントが終わったので撤退するための引越しですよ。城にいる魔物達だけじゃ終わらなくって手伝ってもらっていたんです」

 レヴィアさんは笑いながら答える。頼むから次の戦いを―――

「だから魔物さん達がどこにも居ないんですね~」

「魔物達にこの地域からの撤退を命じたから、ここも平和になりますよ」

 なんとなく俺にとって絶望的な状況になってきた。

 どこから現れたのか魔物が何やら隅にあるゴミっぽいものを片付け始めた。

「ジーク様が私を助けてくれた時は本当にドキドキしましたよ。とってもかっこよかったです。偽りの名声なんて嘘だって思えます」

 レヴィアさんが頬を赤らませて答える。場所が場所なら照れてしまうけれど、ここは魔王の住む城のはずなのだ。緊張感が……。

「私がジークさんを素敵だと思うのは、魔王退治をしようとしない冒険者達の中で唯一人、ずっと夢見ている所ですよ。どんどん魅力的に見えてきて」

 妙に熱い目線でレヴィアさんは俺を見ている。正体が魔王だと知らなければ心が躍りそうなくらいの出来事なのに、脱力してしまい。今は放心してしまいそうだ。

「ほ~魔王を落とすとはやるな~ジーク」

 ファーヴが俺に茶々を入れる。そんなこと知るか!

 その時、俺は強盗のアジトの出来事が頭に過ぎった。

「強盗のアジトを潰したのはレヴィアさんなのか?」

「はい、私が直々に潰しました。私にあんなことをしようとしてたのもありますが、ジークさんに闇討ちを画策していたのが理由ですね。もちろん名声はジーク様のものですよ」

「そんな……」

 俺が戦慄をしていると更なる追い討ちが襲ってくる。

「二度と強盗なんてしないと誓っていただきました。もちろん死人は出していませんよ。魔法でジーク様にやられたと洗脳しましたし」

 いや、そこは問題じゃない……。

「……ジーク様、これが魔物と人間が歩み寄るために必要な儀式だと思ってください」

 彼女がフッと俺に囁いた。その言葉はフィニ達が捕まっていた晩に俺を諭してくれたときと同じ口調だ。

「戦うことだけが全てでは無いのです……ジーク様、いずれ貴方は―――」

 彼女は魔王を倒せと言った時に俺の悩みに対して答えた。そう、こんな八百長でも……。

「皆さんの大事なアイドルになるのですよ!」

 ……アイドル?

「そうだね~ジークって顔は良いほうだし~勇者でアイドルなら売れるかも~」

「実力と名声、更にある程度のルックス。まあ人間との友好を築くには良い傀儡ですね」

 すっげ~気になる言葉をファエルが呟いている。要するにあれか? こうして俺は飼いならされていくのか?

 嫌だ……嫌過ぎる! こんな完結、俺は認めたくない!

「そんなんじゃないですよ。ジーク様は歴史に名を残す、いえ世界の全てはジーク様のためにあるのですから」

 だけど、どうする?

 敵意の無い友人達を敵に回して、戦えるか? 否! 勇者がそんな行動はしない!

 でも、このままじゃ。

「どうしました、ジーク様?」

 レヴィアさんが、悩んでいる俺に気遣う。頼むから前哨戦だと言ってくれ! でないと俺が変になってしまう。

 前哨戦だったのならばここでの暢気なムードを払拭―――

「何か精神的ショックを受けているようです。誰かジーク様を治療してください」

 魔王に気遣われる俺、さらにがっくり来る。こんな少女の魔王に俺は剣を振るえない。

「いや~何時もの病気みたいなものだから頬って置けば直るよ~」

 悲しい言葉をフィニが掛けてくる。頼む、お前たちでも良いから事態に飲まれず戦いの意思を見せてくれ。

「そうなんですか? ジーク様も大変ですね」

 放心状態になってしまう元凶が俺を気遣う。正直……泣きたい。

「それじゃあジークさん。行きましょうか」

「どこへ?」

 レヴィアさんは俺の腕を抱きしめながら魔王城の外へ連れ出す。かなり広い建物をまた歩かされるが……ぼんやりしていて気がついたら外だった。

「さ、城へ報告に行きましょう。目の前にある魔王城が崩れていくのですから証明はバッチリでしょう」

 言われて後ろを振り返ると魔王城が崩れ落ちていく姿が見えた……多分さっきの出来事は本当の事なのだろう。俺の夢が嫌な形でまた、崩れ去る。

 ああ……夢よ、さらば……。

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