・さあ、どうしようか?
ーー<戒視点>ーーー
俺たちは、悲鳴の聞こえた地点に着いた。そこで見たものは・・・。
「おいおい・・・まじかよ・・」
「・・・・戒?」
「・・・あぁ、わかったよ。いってこい、蓮。」
「えっ?戒もだよ?」
「・・・・・・(汗)」
「・・・・・・(じぃ~)」
「・・・・・・(大汗)」
「・・・・・・(じぃ~)」
「・・・あぁ、わかりましたよっ!行けばいいんだろっ!」
盗賊らしき奴等に襲われている一台の馬車だった。馬車の周りを鎧を着た連中が
守っているが、それも長くは持たないだろう。俺と蓮は馬車の方に加勢することにした。
鎧を着た連中のほうへ寄ると、大半の者が怪我をしていた。どうしたらそんな状態に
なるのか分からないが、とりあえずご退場願おう。
「おいっ!大丈夫かっ!?」
「・・・はぁはぁ・・あなたたちは・・?」
「加勢する、下がれ。あと、武器を貸せ。」
「・・しかしっ!・・・ぐっ・・・」
「その様子だと、立つのも辛いだろう?退け。」
「っ!・・・わかりました。・・気を付けて下さい。あいつ等の武器は麻痺毒がっ・・・」
「分かった、・・・蓮。きいたか?」
「バッチリ聞いたよ。・・・いこうか。」
・・・久しぶりだな。蓮がキレてるのをみるのは。俺たちは武器を受け取り、盗賊達へ向かった。
---<???>ーーー
くそっ!なんてざまだっ!・・・おれたちは、この国の王女リルチェ様が無事に、友好国
のアスティラに往くことが出来る様、王直々に命を受けた護衛団だというのにっ!
国の狸爺共がきな臭い動きをしているのが分かっていたのに、移動中に刺客を送り込む
なんて分かりきっていたことだろうがっ!
ちっ・・・だんだん押されてきてやがるっ!せめて姫サマだけでもっ!
「馬車を守れっ!王女には指一本も触れさせんじゃねェぞっ!」
「「「オオッ!!!」」」
【ズガーーーンッ!!!】
「なんだッ!敵かッ!」
くそっ、新手かっ!ったく、こっちは疲れてんのにッ・・・相手はお構い無しかよッ!
「A斑ッ!新手の方へ行けッ!」
「しかし団長が・・・」
「団長命令だッ!!」
「っ・・・了解」
あいつらは決して弱くない。・・・せめて援軍があれば・・いや。ここで無いものねだり
してもしょうがないか。今は、この危機を乗り越えるのが先だ。・・・と、
「・・・敵はどれだ?」
「・・・あの黒いのだよ~」
「蓮、説明。」
「はいはい・・・ど~も。援軍で~す。」
「敵ではない」
「いくよッ戒ッ!」
「ん。・・・了解ッ!」
突然現れた二人組みは、簡潔に自分たちは敵では無いと言い残し、刺客のほうへ突っ込んで
行った。・・・・そこからは、圧倒的だった。二人とも鮮やかに敵を次々と倒してゆき、あっ
というまに、全員を倒してしまった・・・。
「・・・すごい・・・」
誰が言ったのか、その圧倒的なレベルの違いに誰もが息を呑んだ。・・・・だが俺は、その二人
の強さにどこか違和感を感じていた。
--<戒視点>ーーー
「・・・・ふぅ・・・」
「お疲れ」
「・・・蓮。・・大丈夫か?」
「・・・異世界だもん。馴れなくちゃ・・・ね・・」
「・・・そうか」
とりあえず、黒い奴等は全員倒した・・・いや、“殺した”。蓮にとって初めての“殺人”だ。
・・・吐かないだけでも奇跡なのに、それをさらに馴れるとは・・・変に毒されてきたか?俺に。
「無理はするなよ。絶対に」
「ははっ・・心配性だね、戒は」
「全自動トラブル収拾機がナニ言ってんだ」
そう、蓮はそこにいるだけでナニかしらのトラブルを拾ってくる。・・・必ず俺を巻き込んで。
蓮が女の子を助ければ、やっかみやトバッチリや嫉妬の嵐が何故か俺に。どうやったらそうなるのか
分からんが、その筋の方とドンパチやった時は、人質になったりもした。無論その組は潰したが。
・・・いくら思い出しても、俺が巻き込まれた記憶しかない事に、少しげんなりしていたら、
鎧さんたちの一人が、話しかけてきた。
「・・・助けてくれたことには礼を言う。すまないがお前たちは・・・?」
「ああ。俺は霧咲戒。戒が名前だ。で、こっちが連れの飯塚蓮。」
「ど~も」
「そうか。おれh「リルチェ様!馬車にお戻り下さい!!!」
鎧さんが話そうとしたら、馬車の方が騒がしくなった。何事かと思い馬車の方を見ると、大勢
の鎧さんに囲まれて、一人の女が馬車から降りたところだった。
女は俺と同じ位の歳だろうか、背は150cm後半の、静かそうな美少女だった。瞳は淡い
ブルーで、綺麗な赤毛の髪を編みこんでいた。
「姫サマッ!なんで出てんだっ!?馬車に戻れ!」
「どうして?私達の事、助けてくれたんでしょ?恩人にも頭を下げないなんて、王家の恥よ」
「・・・はぁ、もういい。・・・すまないな見苦しいところをみせた。」
「私は、リルチェ・レイ・アビネス。ここアビネス王国の第三合王女よ」
「俺はレッド。姫サm・・いや、リルチェ王女の護衛団の団長をしている」
「僕は・・こっちで言うと蓮・飯塚かな?」
「「こっちでいうと?」」
「いやっ!なんでもない!俺は戒・霧咲だ。・・・ところで、ココはどこだ?」
「ここは“夜明けの森”だ。・・・お前ら知らないのか?」
くそっ!やっぱり聞かれたか。どう誤魔化すか・・・もういい出任せだ。なんとでもなれ!
「・・・しかたない。はなすか・・・蓮」
「えっ?!戒っ!話すの?」
「(ボソッ)・・・嘘つくぞ。話合わせろ」
「(ボソッ)・・・わかった。」
「・・・俺達は十歳から今までの間の、六年分記憶がスッポリと抜け落ちている」
「・・・それは・・・」
「最後に覚えているのは・・・・」
「やめてっ!」
「・・・蓮・・・」
「それいじょうは・・戒。いわないでっ!」
蓮、ナイスフォロー!・・・いや、違う。それにしては様子がおかしい。クソっ!事実を交えて
話せばトラウマ嵌まるに決まってるだろうがっ!
確かに俺達には不自然な記憶の抜けがある。それが原因で、色々あったからな~。むしろトラウ
マにならないのが不思議なくらいのヤツが山ほど。俺?・・・俺は図太いからな。色々と。
「・・・すまないが。少し休ませくれ。続きは・・・蓮のいないところで」
こうして事情を話す事はなんとかまぬがれた。さて次は・・・どう動くか・・・。
亀更新ですいません!!!・・・・どうしよう、全然進まない・・・。