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明治「再」起動 ―暴君が塗り替える近代史―  作者: tky
第3章:大陸と資源の収奪

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第44話:親切な解体作業

本日2話目

『――総督。通告より四十八時間が経過しました。紫禁城の城門は、固く閉ざされたままです』


指令室のメインモニターに映し出されたカルマの報告に、私は微かに息を吐いた。


「それは残念です。彼らには、私が差し伸べた救済の手を理解するだけの知性が欠けていたようですね。実に嘆かわしい」


私は手元の紅茶の香りを楽しみながら、モニターの映像を切り替えた。


そこに映し出されているのは、北京の巨大な外城壁。その前に陣取っているのは、ヴォルフ率いるパレスの陸戦部隊だ。


彼らはパレス製の装甲服を身に纏い、一糸乱れぬ隊列を組んで静かに待機している。


装甲は艶消しの漆黒に統一され、圧倒的な死の気配だけがそこにあった。


対する清国軍は、城壁の上にひしめき合い、旧式の火縄銃や青銅製の大砲、果ては弓矢までを引き絞り、必死の形相でこちらを睨みつけている。


『ヴォルフより通信。城壁上の熱源反応、多数。敵は交戦の意志を明確に示しています。「いつでも掃除を始められる」とのことですが、いかがなさいますか』


「掃除、ですか。彼は相変わらず言葉選びが野蛮ですね」


私は苦笑しながら、通信機に口を寄せた。


「ヴォルフ。彼らも国を守ろうと必死なのです。その健気な努力には敬意を払い、最も苦痛の少ない方法で、現実を教えて差し上げなさい」


『……御意。総督の仰せの通り、"丁寧に"扉を開けて差し上げましょう』


彼の声が響くと同時、モニターの中の部隊が動いた。


部隊の後方から、陸戦用に調整されたパレスの装甲戦闘車両が進み出る。その上部に搭載されているのは、北洋艦隊を海の底へ沈めたものと同型の、中型電磁投射砲レールガンだ。


砲身が、北京の強固な城門――何百万という労働者の血の結晶であり、大清帝国の誇りそのものである巨大な扉へと向けられる。


火薬の爆発音も、閃光もなかった。


ただ、空気を切り裂くような甲高い風切り音が響いた次の瞬間。


清の将兵たちが頼みとしていた分厚い城門と、その周辺の強固な石壁が、凄まじい運動エネルギーの直撃を受けて内側へと吹き飛んだのだ。


「あ……あぁっ……!?」


城壁の上にいた兵士たちが、足場を失い、崩落する瓦礫と共に次々と落下していく。しかし、パレスの部隊は彼らに追撃をかけることはしなかった。


土煙が晴れた後には、大軍が悠々と通過できるほどの、巨大な風穴が開いていた。


『……外門の解体、完了しました。目標地点までの障害、ゼロです』


カルマの淡々とした報告が響く。


「ご苦労様でした。これで彼らも、無駄な努力がいかに非効率であるか、身をもって理解してくれたことでしょう」


私は、恐怖に顔を引き攣らせて逃げ惑う清国兵の映像を見下ろしながら、穏やかに微笑んだ。


「さあ、ヴォルフ。紫禁城の玉座で震えている可哀想な少年皇帝と、その取り巻きたちを迎えに行ってあげなさい。パレスという、完璧で永遠の秩序の元へ」


私はティーカップを置き、静かに立ち上がった。


彼らの古い歴史が終わる音が、心地よい音楽のように私の耳を撫でていた。

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