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第8羽♡はじめての“JKランチ”♡



 キーンコーンカーンコーーン…。


 4時間目の終わりのチャイムが鳴る。


 「リリィちゃーん!お昼食べよっ!」

 ざわめく教室。

 私のクラス、1-Aのドアの前に立っていたのは…。


 廊下から差し込む光に照らされてキラキラ輝く、ティアラ先輩とサファイア先輩だった。

 「リリィちゃん、中庭に行きましょう?」

 なんか…すごく目立ってます、二人ともっ…!

 周りのクラスメイトたちはぽかんとしていた。

 それも無理もない。だって___。


 ティアラ先輩はどピンクの髪をふわふわに巻きおろして、頭の上にちょこんと二つ、小さなお団子を結んでいる。


 細いリボン付きのニーハイソックスに、毎日形の違うミニティアラ。(一体いくつ持ってるんだろう…)

 そしてピンク色のダボダボのガーデを羽織っている姿は、まさに”姫ギャルの化身”と言ったところだろうか…。


 対してサファイア先輩は、ブリーチしたであろう青の派手髪とは思えないほどに美しいサラサラロングヘア。髪は天使の輪が輝いている。今日は少し凝ったハーフアップをしていて、まるで美人生徒会長ってかんじだ。


 そして耳には、きっちりと着た制服に合うようなさりげないシルバーのピアス。

 黒いハイソックスに合わせて履いているネイビーのパンプスは、5cmくらいの高すぎないヒールのはずだけど、かなりの長身みたいで、超厚底を履いているティアラ先輩と同じくらいの背丈に見えるほどだ。


 私のクラスに、こんなキラキラの先輩たちが迎えに来るなんて…。


 というのも、昨日部室で、『もう友達はできた?』という話になった。

 『実はまだ…。お昼ご飯は一人で食べてて。』

 とぽつりと言ったところ、それ聞いた先輩たちがすかさず、なら一緒に食べよう!と誘ってくれたのだ。


 すごく嬉しい…。でもこんな私が一緒でいいのかなぁという気持ちもある。


 *・゜゜・*:.。..。.:*・。. .。.:*・゜゜・*


 中庭のベンチに並んで座ると、ふわっといい香りがした。


 「えっ、ティアラ先輩ってお弁当自分で作ってるんですか!?」

 「うんっ、見て見て、今日は味違い3つの混ぜ込みおにぎりと、ハート型卵焼き!」

 「うわ〜、めっちゃかわいい!」

 「意外でしょ?ティアラは昔から料理上手なの。」


 ティアラ先輩のお弁当は、まるでキャラ弁の世界。ピンクや黄色、緑の彩りも美しくて、見ているだけで楽しい。

 この長いネイルを見ると、正直料理とかはしないと思っていたから、サファイア先輩が言う通り意外だった。


 一方サファイア先輩のお弁当は、シンプルでスタイリッシュ。

 「私は朝食に和食をしっかり食べる派だから、ランチは軽く、ラップサンドやサンドイッチを作っていくわ。」


 そう言う先輩が手にしてるのが、柔らかいトルティーヤの皮で野菜やチキンをバランス良く包んだラップサンド。

 オシャレカフェなどでしか見たことなかったそれは、中にアボカドなんかも入っているようで、キラキラしていた。


 「先輩たち、おしゃれで可愛いだけじゃなく、自分のことは自分でしてるんだ…。ますます尊敬します!」

 「あはは!リリィちゃんって素直で可愛いね!」


 そしてお弁当を食べ終わると、今度はコスメの話になった。


 「『be make』の新作コスメ見た!?アイシャドウ超可愛いんだけど!」

 「カラバリも豊富だったわね。リリィちゃんはこの中ならどの色が好き?」

 「実は私メイクしたことがなくって、どんな色がいいとかが分からなくて…。」

 「それなら今度教えてあげるよっ!!」


 そんな他愛もない会話。

 でも私にとっては、全部が新鮮で――


 「わたし今、めっちゃJKしてるかも…。」

 幸せだ…。


 そして、そんな会話の流れの中――

 「そうだ。リリィちゃん、これ。」

 サファイア先輩が差し出したプリント、それは【入部届け】だった。


 「すぐに決めなくてもいいし、無理にとは言わないわ。

 ただ一緒に、これからも活動できたらすごく嬉しいわ。」

 「よかったら、うちに入らない?」


 その瞬間、胸の奥があたたかくなった。

 こんなふうに、優しくて、楽しくて、かわいくて、

 “自分でいられる”場所があるなんて――


 「……!もちろんです!」


 こうして私は、正式にきせかえマグネット同好会の一員となった。



 ♡つづく♡


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