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決戦


 『ホムラ・アカネの身柄は私達が拘束しています。彼女を助けたいのならここまで来なさい』


 混駆船艦ノアに送られた一本の映像。仲間にして家族でもあるホムラさんを助ける為、ゾハールは救出作戦を開始した。

 船長ヤマトの指揮の元カレンが操縦を担い、整備士である唯が敵基地のハッキングを行っていた。


「さあさあ出番だよ。シュスド、スルシュ。思いっきり暴れていっけー!」


 開放した船底から二機の機龍が飛翔した。

 白銀に輝くボディをした二足歩行型のシュスドに蛇型のスルシュ。

 唯の趣味と探求心によって誕生した二機は並みの魔武装者が数百人以上と束になっても対処しずらい程に強力的に作り込まれている為、ユイにとっては都合が良い舞台だった。

 ゾハールにとって魔武装者(ウィザード)は貴重すぎる為無駄遣いすることはできず、我が子でもある二機が堂々と戦う機会を今か今かとずっと待ち続けていたからだ。


 秀才である唯の腕はノアにいる者が皆よく知っている。

 変態までに機械をこよなく愛する彼女は最も兼愛するものに絶対に手を抜かず心身尽くすだけでなく、その腕は折り紙付きで世界中が喉から手が出る程の腕前を秘めているからだ。



 シュスドとスルシュは次々に敵をなぎ倒しながら道を切り開いていく。


「よし。我々はこの場で退路を確保したままシュスドとスルシュと共に敵を迎撃する。

 シナ、晴香。予定通り中に潜入してホムラを救出して来い!」

「イクスパント、フラスト!」

「イクスパント、フリューゲル!」



 赤い光に青い光に包まれて合身魔武装(ウィルド)を着用した晴香とシナ。

 シナは肩にしまってある剣を抜くかのように左手でスペルランチャーを着用してすぐに手に取り、ビル(敵本拠地)へ向けて放った。

 ビームを放射し終えてすぐに晴香の手を握って侵入した。


「大丈夫ですか?」

「なにが?」

「さっき撃ったビームの事ですよ。あれ程強力だとかなりの魔力を必要とするし、撃ったときの反動とか」

「ああ…そん事なら大丈夫だ。慣れてるからな。

 あれは溜めた魔力を使っただけで私の魔力は全く消費されてないからな」


 右手に持ったスペルライフルが撃ったその先に敵がいた。

 煙で視界が遮られていて慎重に迫っていた敵にいち早く感知して狙撃したのだ。


「ここは敵の本拠地だ。油断するんじゃねえぞ」

「分かってるよクインさん。でなきゃこんな危険なところに来はしないから」



 刀剣で首元に突き刺そうとした刃を受け止めた直後、突風を起こして敵を遠くへ飛ばした。


「お前、戦場で敵を撃たないことが何を意味するのか分かってんのか?」

「分かってるよ」



 私はただ守りたいものを守るだけ。殺しにきた訳じゃない。

 殺したくない、という気持ちは奥底に見え隠れしているし、綺麗ごとでただの理想論であることを否定はしない。


「お前がどういう神経して何考えてるのか知らねえけど、ここは戦場だ。“やるかやられるか″の二択しかない。

 お前が敵に殺されそうになったり、お前にとって大切な奴が敵に殺されても、お前は敵を殺さないでいられるのか」

「……多分、いられない。追い詰められた人は自分自身を制御できないから」

「お前、言っている事と思っている事が矛盾してるぞ。そんなんでよく戦場に来たな」

「確かに矛盾してるけど、私の思い(信念)は偽善で独り善がりの理想論なのはよく分かってるよ。

 でも(・・)

 自分がやった事とちゃんと向き合い続けながら道を間違えないよう心掛けていくよ。自分に嘘はつけないから」



 しばしの間二人は会話を交えながら戦いつつ先を進んで行った。

 シナが目の前の敵を撃ち倒し、後ろから来る敵を晴香が対処して。

 二人の関係が決して良好ではなくても二人の息は合っていて、向かうところに敵はなかった。


「よくここまで辿り着けましたね」



 ホムラさんを囚えている部屋に入った直後に一人の女性がいた。

 映像で聞いた人と同じ声。

 一目みただけでただ者じゃないとハッキリ分かる雰囲気をしていて、例えるなら泣く子を更にビビらせて黙らせる感じをした人。


「どうして!? あの人はウィルドを身に着けていないのに」



 「お前がホムラさんおぉ!!」と完全に我を忘れたシナさんが即座にスペルライフルで撃っても謎のバリアを前に全て防がれて、 

 最強の一撃であるビームランチャーをもってしても、バリアに傷一つもつけることができなかった。



「スペルバリア。私の身体に取り付けられている護身用です。

 本当はあなた方と戦って性能を試す予定でしたが、おかげでその手間が省けました。

 これで楽に本題に入れます」


 女性が指パッチンをすると私たちの目の前に巨大な機械仕掛けが出現した。

 真紅一色に統一された巨人で、どこもかしこも異質で不気味な雰囲気と印象しか湧いてこない。


「UUEが新たに開発した新型試作兵器、アトラスです」



 アトラスの眼が翡翠色に光った。

識別コード DRA51 機体名:スルシュ


 青野唯が開発した作品の一つで自発型の二足歩行型ドラゴン。

 【ドラゴン】をテーマとして設計してある都合上、動きも特徴の何もかも機械で完全に表現している。

 核エネルギーを動力源として動き、Aiであるスルシュは唯以外の命令は絶対に聞かず、ウイルスにサイバー攻撃対策がこれでもかという程精密に組み込まれている。

 また相当頑丈に装甲が施されている為、簡単に破壊することは難しい。


武装


レーザーランチャー=口の中に装着されている武器でメイン火力。

口から放射された破壊光線ブレス)は目標を焼き貫き破壊する。


スラスター=背中に装着されてある翼そのもの。折り目の所がジェットとなっていおり、そこと両足の裏のジェットで高速移動し、翼で方向を調整する。


クローサーベル=両足と両腕に装着されいる武器。要するに爪。

対艦刀仕様の刃である為、戦艦すらも容易く裂き貫く。






 識別コードX7oRM 機体名:シュスド

 青野唯が開発した作品の一つで二翼を取り付けた蛇型のドラゴン機。

 スルシュ同様に核エネルギーを動力源に活動し、唯以外の言う事を聞かないAiが搭載されている。

 機体自体はそこまで頑丈じゃなく脆いが、その代わりにシュスドの最高速度はスルシュとは比べものにならない。

「ヴルム」という首と尻尾が長い竜をモデルとしている。


武装


レーザーランチャー=説明不要


ウイングカラスダー=スルシュのスラスター同様方向を自在に固定し、つま先部分のジェットで高速移動する。更に翼は対艦刀仕様な為触れたものを真っ二つに切り裂く。





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