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転校生

「クイン・オウルです。よろしく」



 内のクラスに転校生がやって来た。

 青い瞳にポニーテールに整った蒼い髪をしたクールな人。

 鋭い顔つきをしているから一見怖そうなイメージがつきやすいけど、顔が可愛くてスタイルも良い。


 クインさんが教室に入って来たときにクラスのみんながシナさんに注目した。

 クインさんについて色々感想や意見を述べていて、話題はしばしの間収まりそうない。

 先生に「静かに!」と注意されて治まったけど、クインさんに向ける注目が鎮まらなかった。


 私の左にある席がシナさんのに決まった。何故か分からないけど私に強い視線を向けていて、少し怖かった。



『昼休み屋上に一人で来い お前と話すことがある』


 私の机に置かれていた手紙にはそう書かれていて、差出人はクインさんだった。


「晴香! 食堂に行こう」

「ごめん。今日は朝ごはんを少し食べ過ぎてお腹があまり減ってないの」

「そうか、晴香が作る料理はいつもおいしすぎるからね。食べ過ぎには気を付けるんだぞ~!」

「うん、頭に入れておくよ」



 何とか友達たちを誤魔化したけど、ちょっとだけ罪悪感が湧いちゃうな。

 昼となったらみんなで食堂に行って、今日は何食べようかといつも盛り上がっていたから。



「待ってたぜ」



 扉を開けるとクインさんが目の前にいた。



「…おにぎり?」



 目が合ってから少しして、クインさんがいきなり投げたから少しビックリした。

 見たところコンビニやスーパーなどでよく売られているおにぎりだった。


 その後水がいっぱい入ったペットボトルも投げてきて、これも掴んだ。



「安心しろ、毒や催眠薬はもってない。 食べながらでいいから、話をしよう」



 座って昼食をしながら私たちは話し始めた。

 屋上の一帯に少し細工が施されているそうで、私とクインさんを直視することができないし、声や気配を聞き取ることはできないらしい。


「なんでお前がフリューゲルを、ホムラさんの合身魔装(ウィルド)を持って身に着けられる」

「ホムラさんって、あの赤い髪の人のこと?」

「そうだ。ホムラさんが四日前の戦いで死んだことは私も聞いているし、何とか受け止めようとしている」

「……だが!

 お前がホムラさんの形見であるフリューゲルを扱ったことがどうしても気に食わない!

 あれはホムラさん専用のもので、ホムラさんにとって相棒的なものだったんだ!

 さあ話せ! 事と次第によっては、私はお前を!」


 クインさんが私の胸元辺りの服を掴み、ものすごい顔でにらんで大声で言った。

 さっきまでおとなしかったのに急に気が立ったことに驚いて腰を抜かした。


「落ち着いてシナ。貴方の気持ちは私もよく分かるから」

「ちょっ!? やめてよカレンねえ! 今大事なところなんだから!」

「大事だからこそ落ち着くべきじゃない」


 金髪に青い眼をしたお姉さんが突如現れては、クインさんを優しくなでた。

 少しの間クインさんはお姉さんに撫で続けられたことで眠ってしまった。



「ごめんね。シナはホムラさんの事となるとつい我を忘れてしまうから」

「えーっと、助けてくれてありがとうございます。貴方は誰ですか? それにシナって、」

「私はカレン・シァル。この子の本当の名前はシナ・ルーディスで、クイン・オウルはシナが外部(そと)で活動するときによく使っている偽名だよ。

 今回は君がどういう人でどうしてフリューゲルを操れたのかを調べる為に転校してきたんだ」



 あまりの情報量に頭の処理が追い付かなくて、カレンさんが言ったことをまとめるとこう。


1:クインさんとカレンさんは「ゾハール」という組織(中立)の人で、裏で学校と手続きして私に近づいた


2:カレンさんはシナのことが心配で隠れて来たらしくて、転校したのはシナさんだけ


3:カレンさんたちの目的は私の人となりと何故フリューゲルを仕えたのかを解明したのちにフリューゲルの奪還


4:シナさんにとってホムラさんは大きな存在である為、フリューゲルを持つ私がどうしても認めれないらしい。

 ホムラさんたちは多くの人達を救ってきたらしくて、シナさんもその一人であるから。



「じゃあ渡辺ちゃんは、ホムラさんからフリューゲルを受け継いだんだね」

「はい。『ならこれを使え。この力でお前が守りたいものを守れ!』そう言われて、私はフリューゲルを受け取りました」



 四日前、学校も巻き込んだ大規模の事件が起きた。

 その時にホムラさんが私たちを助けてくれて、ホムラさんは最後にフリューゲルを託してくれた。

 


「……やっぱりデータが上書きされている。流石はホムラさんね。最後まで他人思いなんだから」



 ウィルド・ユニット・デバイス。略してウィトス。

 スマホくらいの大きさをした小型の機械で、合身魔武装(ウィルド)が変形したもの。

 分かりやすく言えば特撮ヒーローが持つ変身アイテムと同じ原理で。発動したとき使用者に装着されて、それ以外の時はデバイス状でいるらしい。


 ウィトスには使用者の生体データが登録されているから他のウィッチに奪われたとしても使われることはなくて、登録データを更新できるのはその使用者だけらしい。


 つまり、本当にホムラさんが私にフリューゲルを託したと証明されたというわけだ。


 

 



 

 

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