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最後のチャンス  作者: TADA
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自分って

第3章 自分って


 どうしても、優希に会いたくなって、

2022年9月30日金曜日に、優希の店に行くことにした。

 勿論、しっかりと新潟で仕事を終えてから向かった。

 一人で行きたかったので、お客様は誘わなかった。

 優希の店は19時から開店なので、焼き鳥屋で時間を潰して

21時頃に行くことにした。

 前回の来店時には、連絡先を教えてもらわなかったので、予約無しで行くことになった。

 相変わらず寂れた駅前のとあるビルの4階・・・

 看板の電灯が点いていて、ほっとした。

 狭いエレベーターに乗り、ドキドキしながら4階へ

 あっという間に到着して、店のドアを開けた。


 「いらっしゃいませ。」

 聞き覚えのある声が聞こえた。

 今度は、優希の素敵な笑顔が飛び込んで来た。

 「富山から来てくれたんだ。」と、優希の明るい声が心地良かった。

 「仕事で上越に来ていたから・・・ 覚えてくれていたんだ。」

 「覚えていたよ。印象が残ったから!」

 印象が残った?良い印象?悪い印象? 客相手だから聞いても良い印象と答えるだろう。

 「良かった。この上越地区でお客様の接待に使えるスナックを探していたんだ。

 これから、よろしく!」

 「ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。」

 本当に嬉しそうに、優希は笑った。

 俺は改めて『本当に可愛い』と思って、その笑顔を見ていた。

 早速、連絡先を交換したいと思い優希に

 「連絡先を教えて・・・LINEが良いかな?」と告げた。

 「お願いします。」と、あっさりと交換出来た。

 まぁ、スナックなのだから、よっぽど嫌じゃねければ交換できるだろうが、

今の俺は、この普通なことさえもとても嬉しい。

 色々、他愛のない会話で『同伴』の会話になった。

 同伴も出来るらしい・・・ってことは、その間は優希を独占出来ることになる。

 欲望の儘に同伴に誘ってしまった。

 返答は「いいですよー。よろしくお願いします。」だった。

 俺は浮かれた、早速デートが出来ると!

 「ありがとうございました。」優希に見送られて店を出た。


 結局優希の店に2時間滞在して23時出て、10分後に宿泊先ホテルに着いた。

 部屋に入りシャワーを浴びた。

 ふとホテル部屋の鏡に映る自分を見た・・・そこには・・・

 不細工な52歳中年が映り込んでいた。

 啞然とした、こんな俺が近日に同伴するなんて、とても恥ずかしい気持ちになった。

 急に人間の外見は変われないし、変われたとしても、髪型や服装程度だろう。

 折角、自分を磨く計画を立てたのに、52歳になって冷静な判断が出来なかった。

 「なにやってんだ!俺は」ホテル鏡に映る自分問いかけた・・・


******************


 普段の生活に戻ったが、俺の生活にも優希との時間が新しく加わった。

 俺の古い恋愛経験では、『最終的に豆な人間が勝つ』という、方程式があった。

 折角、LINE交換したのだから、同伴日程を決めることを利用して、

LINEで会話を毎日続けた。

 優希は普段からあまり携帯を確認しないらしい。

 だから、なかなか返答も、いや、既読すらならない。

 それでも、優希の対応にイライラしないのは、あの不器用な笑顔が

脳裏に写っているからなのだろう。


 自分でも分かっているのだ、俺の恋愛に未来はないことは、

優希にとって、俺は大勢に中の1人の客に過ぎないのだ。

 しかも、普段は富山に在住しているから、頻繁に店にも行けない。

 優希にとっては、頻繁に来てくれる客を捕まえることが、店にとって優先だと

必然の経営者判断になるだろう。

 それでも、優希も人間だし好きになる感情は制御出来ない筈だと、微かな希望を夢みるのだ。

 そして、俺は「好きだ」告白してしまうだろう。

 『恋人になって欲しい。』と、伝えてしまうのだろう。

 高い確率で失恋するだろう。

 失恋は怖い気もするが、この歳で失恋できるのも悪くないような気もする。

 いずれにしても、自分を磨くことが唯一成就する可能性を上げる方法なのだから・・・



 


 



 

 

 


 





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