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わらべうた 2

作者: 風凪凧

てんてんてまり

てんてまり

とおいむかしの

わらべうた


ちいさなおはながありました

もちづきのよるになきました


ちいさなきれいな しろいつゆ

ころころころりん

ころがって

よるのうみへとおちました

あおいうみへとおちました


それからずっと

かえらない

てんてんてまりの

わらべうた




てんてんてまり

てんてまり


おはなのなみだ しろいつゆ

つきよのばんに うみへおち

それからにどと

かえらない


ちいさなつゆは かなしかろ

ちいさななみだはさみしかろ

とおいとおい

うみのした

なみのおとに ながされて


てんてんてまり

てんてまり

つきのひかりと うみのいろ

つゆはどんどん すいこんで

ちいさななみだは

あおじろい ちいさな珠になりました


てんてんてまり

てんてまり

ちいさな珠がいいました


みんなのねがい

かなえてあげる

もうだれも

ひィろいうみに

くらいよる おちないように

もうだれも

かなしく さみしく

ならないように


けれどそのあと

わるいひと たくさんたくさん

やってきて

みんなで珠をうばいあい


ちいさな珠は ちをあびて

まっかに まっかになりました


てんてんてまり

みんながしんで

ちいさな珠は

かなしさに

つちにもぐってねむりました

ずっとずうっとねむりました


ながい ながい時のすえ

みるゆめつきて

しかたなく

ちいさな珠が


めをさます


しずかなつきのよるでした

珠からめがでて くきがのび

つきにむかって はがしげり

ちいさなつぼみが

つきました


てんてんてまり

てんてまり

ちいさなつぼみが ひらきます

つきよのはなが ひらきます


つきのひかりは やさしくて

さざめくなみおと やさしくて


おはなになった

ちいさな珠は

つきにむかって なきました

ほろり

ちいさな なみだのしずく

よるのうみへと

ころころと


てんてんてまり

てんてまり

おつきさん、おつきさん

あのなみだが

あのつゆが

かなしくないよに

さみしくないよに

しっかり しっかりみていてください

ちいさなおはなは 

いいました


それでももしも あのなみだ

ちいさな珠になるのなら

ただしいひとの

そのなかに

きよいおひとの

そのおてに

わたしてください

たのみます


いっしょうけんめに いいました


てんてんてまり

てんてまり

それから それはどうなった

それはだれにも わからない


けれどもどこかに いるんだろ

いまはどこの地 

どこのうみ

いつかつきよに たちいでて

あおじろなみだを ながすだろ


ちいさなおはなが ありました

とおいむかしの

わらべうた

てんてんてまりの

わらべうた


  



                   

                       <終>






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