鑑定の日
私はいたって真面目に書きます。
ギャグ4割、真面目6割を目指して。
「ちっ、四天王の最後の一人にこんなスキルがあるなんてな」
仲間の一人のガートが声を上げる。
「何か弱点はないのか!」
もう一人の仲間のベッツが叫ぶ。
「耐性なら分かったぞ、魔法全属性だ」
「おい絶望が増したぞどうしてくれるんだ!」
「俺に言うなそんなことっ」
そんなやりとりをしているうちに、四天王の一人がついに声を出す。
「縺翫>菫コ謚懊″縺ォ逶帙j荳翫′繧九↑」
うん、何を言っているかさっぱり分からない。まぁ、種族が違うのだから当たり前だが。
「よし、とりあえず撤退d」
そう言い切る前に俺の首が飛んだ。
「おーい朝だぞ!起きろーー」
お母さんの声が聞こえてくる。俺は目をこすりながら起きる。
そうしてリビングに行くと、すでに朝食がならべられている。
「やっと起きたね。今日はスキル鑑定の日なんだからしっかりしなさい!」
そうお母さんが言う。そうだった、今日はスキr……
「ほら、また寝ない!」
バシンッ!
その時放たれたビンタは、さながらとある惑星に住むウィ〇・スミスの様だったと被害者は語る。
「はい!起きました!」
そう言わないともう一発来そうだったので声を出す。
「ならよし、本当に今日を逃すと大変だからね。さ、早く食べな」
そうお母さんが言う。
その通りだ。今日を逃すと本当に大変なことになる。まぁ、そんな前例は無いらしいが。
「いただきます」
その発言から26秒で完食した。あれ、もしかして俺のスキル、フードファイターかな?
それから身支度を整え、「いってきます」と言って家を出る。
友達との待ち合わせに間に合うかギリギリだったので、走って向かう。
その道中、ふと今日の夢を思い出す。
今思えば変な話だ。俺の友達のガートとベッツと共に魔王討伐なんて。
だが、もし本当にそうなったとしたら、勇者は男らしい顔つきのガートだろう。
中性的な顔だちのベッツには魔法使いが似合ってる。
そして、普通の顔だちの俺は……何も思いつかない。
そんなことを考えていると、待ち合わせ場所に着いた。
すでにガートとベッツは着いていた。
「おう、ユスト。やっと来たか」
そうガートが待ちくたびれた様に言う。
「いえ、集合時間はこの時間だったので、私たちが早かっただけです」
そうベッツが俺に悪さは無いことを証明する様に言う。
「俺が朝弱いってこと知ってるだろ?」
「そうだな、ただ待ちきれなかったんだ」
「私も同じです。だから、こうして早く来たんです」
なるほど、その気持ちはたしかにわかる。俺を置いていかないでくれた二人に感謝だ。
「じゃあ、早速行くか!」
そう言って、俺たちはスキル鑑定の場所、教会へと向かった。
「それでは、今から鑑定の儀を行います」
そう司祭が言うと、とうとうスキル鑑定が始まる。
次々と同年代の子がスキルを言い渡されていく。剣術や、農業などと良くも悪くも普通だ。
そして、ついに俺の番だ。
「君は……勇者です」
「……んっ? すみません、もう一度お願いします」
「君は勇者です」
言葉が出ない。なんで自分なんだ。
そう思っているとガートのスキルも言い渡されていく。
「君は……障壁です」
「よっしゃあ! ユストについていけるぜ!」
……んっ、あれっ? 何かもう次の展開が読めた気がするぞ。
「君は……全属性魔法だね」
「よし、私もついていけます。頑張りましょうね」
まぁ、そうだろうな。いや、そうでなければ悲しい。
……ところで、何で彼らは俺についてくる気満々なんだろうか。まぁ、他の人よりはいいか。