1-1
フェンリルが俺に色々教えてくれることになったから色々聞くことにする。
「俺の称号に、神狼 フェンリルの主人って書いてあったんだがどう言うことだ?」
俺がそれを聞くと、フェンリルは『あぁそっか。あのダメ神から説明受けてないから僕が説明しなきゃなのか…』と言い出した。
なんだろう。このフェンリルは俺のことを呼んだ神より立場が上なのか?
そんなことを考えていると、フェンリルが話し出した。
『まず神狼ってのは何か。だね。それは__』
フェンリルの話をまとめるとこうだ。
神狼というのは神という文字があるが、それは人間からしたら神と同じ位置にいる動物だから。ということらしい。
どういうことかというと、正確には神ではないが、神の代わりに森を護ったり水を護ったりしているから、神と同じ扱いを受けるらしい。
そういう護ってくれる動物のことを神獣と呼ぶらしい。
ちなみに守ってるのは神から直々に頼まれているからだそうだ。
「だから神のことを悪く言っても誰も咎めない…と」
『まぁそういうことになるねぇ。僕らがこの世界を護らないと神でもどうにもできないからね。
だから神は僕らには頭が上がらないんじゃないかな』
そう言って笑うフェンリル。これは怒らせたらダメなパターンだな。絶対そうだ。
『まぁ次は僕と君の関係だよね。神が説明するのが一番早いんだけどな』
そう言いつつも詳しく説明してくれるフェンリル。
またまたまとめるとこうだ。
僕が前世仔犬を助けて死んだことから、動物が好きということが伝わり、俺が目を覚ました時に犬をそばに置いておきたい。
でも犬に当てがない。
そうだ、フェンリルを使えばいいんだ。となったらしい。
神獣をペットにするとかどうよ。俺確実にチートになるぞ。
『最初は嫌だったけど君に会ってみて気に入ったから神は噛み付くだけで許してあげる』
「あ、そう」
そう言って鋭い牙を剥き出しにする。神様、ご愁傷様です。
「じゃあ次は獣人について」
『獣人かぁ…そうだな…包み隠さず話しておこうかな』
そう言ってフェンリルは衝撃の事実を話し出す。
元々獣人は、獣人だけの国に住んでいた。王様も獣人で貴族も獣人。
獣人は別の国に入る時に軽蔑された。人間にはない耳と尻尾があったからだ。
獣人の国以外では権力が弱い獣人は、獣人の国から出ると人族の奴隷にされていた。
だから獣人が獣人の国から出ることはなく、ひっそりと暮らしていたのだが、ある時強欲な王様が獣人の国をおそったらしい。
強欲な王は獣人達を、男は仕事奴隷に。女は性奴隷に。子供はロリコン、ショタコンの貴族に売りつけたりしたらしい。
だからこの世界に獣人というと一部を除いて全員奴隷ってことだな。
まぁその一部ってのは俺みたいにその国に住まず、森とかに入って暮している獣人達のことを指す。
『まぁ今は奴隷の売買は法的に固く禁じてる国が多いんだけどね。でもその強欲な王が居る国……まぁ人外を受け入れない国、ウルパウス王国では法的にも奴隷の売買はできるんだけどね』
俺は絶対にウルパウス王国に行くのはやめておこう。行ったら殺される未来しか見えない。
『まぁ次も獣人の話だけど獣人の体質の話をしようかな』
そう言ってフェンリルは爪でケモミミの生命体…多分獣人を描いてるんだろうな。器用すぎないか。
まぁその獣人の周りに何かふよふよしている物体…?らしきもの。
その物体は魔力というものらしい。
獣人は体内にある魔力だけ使う。だから攻撃魔法とかそういうのを発動させることができないらしい。
まぁ簡単に言うと、人間は体内の魔力と外気の魔力を使って魔法を使う。体内の魔力だけで魔法を使うと3、4倍ぐらい負担が掛かるらしい。
だから外気の魔力を使って補って魔法を使う。
でも身体強化魔法は、普通の攻撃魔法に比べて、魔力消費がそんなに激しくなく、一応人間でも体内の魔力だけで強化することはできるらしい。
殆どの場合は外気の魔力を使うが。
それに比べ、獣人は体内の魔力だけで魔法を発動させようとするから、人間に比べて魔力量は倍以上ある。
まぁ人間の魔法士と比べると魔法士の方が多かったりするらしいけどね。
まぁまとめると、獣人は体内の魔力だけ使うから攻撃魔法とかはコスパが悪すぎて使えないから、身体強化特化になっている。という感じかな。
『まぁみんな知らないだけで外気の魔力を取り込んで魔法をぶっ放す獣人もいるんだけどね』
とフェンリルが最後に爆弾を落としていた。
ということは俺も魔法をぶっ放せるかもしれないと。
『多分一番疑問に思ってるのは年齢かな?』
そう言ってフェンリルは相変わらずわかりやすく丁寧に教えてくれた。
まず、俺は元々の年齢が17歳だった。でもさっき見た通り今は5歳だ。
その理由として、俺を獣人にするためにはこの年齢が最適だったらしい。
なんか17歳から~とか言って無理矢理17歳にしたら早死にするとか。障害持ってるとかそんな感じになるんだって。
どういう原理かわかんないけど、俺の獣人の適正年齢は5歳らしい。
まぁ障害とか早死にとかは嫌なんでね。5歳からスタートでいいでしょう。
『こんな感じかなぁ』
「ありがとう。大体わかったよ。多分」
そう伝えるとフェンリルは嬉しそうに俺に擦り寄ってきた。
なにこの可愛い生き物。
あ、この世界のことについては追々教えてくれるらしい。