第23章: 胸のうちを吐き出したいなら、叫ぶ、話す、殴る
「あなたは黙っているだけでしょう...だとしたら、私の言ったことに反論する術がないからです」。
「黙れ、さもないと容赦しないぞ」。
アルトンが息を呑んだ。花子が強引に黙らせたとしても、それは何の代償にもならないからだ。
「落ち着け花子、泣くのは悪いことじゃない」。
「何を知ってる?」。
「どんな困難な状況でも、一番泣くのは自分」。
アルトンがハルキだった頃、誰にも相手にされず、いつも周りから取り残されてよく泣いていたそうです。死んで新世界に来る前にも、父親と喧嘩して泣いたことがある。
「どうしてわかるの?...自分が誰かも覚えていないくせに」。
花子はまだ背中を向けたまま、冷たい口調で話しかけた。アルトンがそう言ったのは間違いだったかもしれないが、もう後戻りはできない。
「それはそうなんだけど、あなたの言葉でこんな風になっちゃって、あなたの話し方で泣きそうになっちゃうの」。
「はっ、今度は感情があることが判明?」。
花子はますます敵意をむき出しにしていた。
「みんな持ってる花子さん、持ってないって言うんですか?」。
「持ってないし、必要ない 」。
花子が地面を踏みつけると、地面が割れた。アルトンは近づきたくなかったが、近づかなければ花子の心臓に届くことはない。アルトンは数歩前に出て、花子との距離を縮めた。
「もちろんあるさ、今は怒りや悲しみを感じているが、それを認めたくないんだろう」。
「口を閉じろ」。
花子が再び地面を踏みつけると、地面から瓦礫が飛んできた。それでもアルトンは花子に向かって歩き出した。
「あなたは愛を感じる、あなたはネッサを命がけで守るから愛を感じる...そうでなければ、私たちがネッサを助けに行ったとき、あなたの道を横切った人をみんな殺していただろう...そして...あなたはリュークに愛を感じた 」。
アルトンがそう言ったとき、花子の拳はまっすぐ彼の顔に向かっていき、フルインパクトで2、3メートル飛んでいった。
「アアアアア!!」。
アルトンは地面に倒れ、痛みに耐えながら鼻を触った。花子はようやく彼の顔を見たが、アルトンが言ったように、泣いているから目が光っているのだ。
「二度と彼の名前を口にするなお前にその権利はない」。
「ああ、鼻が折れたみたい」。
花子はもう一度アルトンを殴るつもりで手を握りしめていた。アルトンは鼻血と同時に自分の血がついた手を見ていた。
「利口なあなたにふさわしい」。
「花子はなんて残酷なんだ、もっと優しくしてくれてもいいじゃないか...そう思わないか?」。
「そんなこと言ってないで、思い出せってば」。
花子さんのおさげ髪が息を吹き返し、長くなってきた。
「また失敗したみたいだ」。
花子のおさげ髪がトップスピードでアルトンに近づき、アルトンの体に絡みついてしまう。
「リュークはともかく、ネッサ様を故意に口にすべきじゃなかったな」。
花子の髪が、アルトンの体を締め付け始めた。
「間違いだった、あんな表現をしてごめんなさい...ただ、あなたのことが気になって...」。
「あなたは誰も気にしない 記憶を失う前は殺人者だった」。
「もちろん気にしてるよ理由があるんだ」。
花子の髪を掴む力が弱まり、アルトンが息をすることができた。
「ネッサ様と仲が良いふりをしているようですが...私と仲良くする理由はありませんね」。
「仲が悪いふりをしないでくださいヒロシと戦っているときに、あなたがジャクマの魔法を使って私を治したことを、私はヒロシからよく聞いています」。
「チッ」。
花子は舌打ちすると、おさげ髪がアルトンを乱暴に落としたまま放した。
「痛い、痛い」。
花子は視線をそらし、アルトンは
「花子が泣くのは構わないが、男としては心配で仕方がない、私のような人間には笑顔の花子がいい」。
「何を言っているんだ、どうしようもない馬鹿だ 」。
花子は腕組みをして顔を赤らめた。
「へっへっへっへ、バカにしてごめんね、でも、あなたがかわいいというのは本当よ、もっと笑ったらもっとかわいいわよ」。
「どう答えていいかわからない」。
「笑顔で私に打ち明けるだけでいいんです」。
アルトンは、ハグを期待するかのように両手を広げた。
「どういう意味だ?」。
「悩みを空に向かって叫んでもいいし、悩みを話してもいいし、なんなら疲れるまで殴ってもいい」。
「何?」。
自分が良くなるのであれば、打撃を受けても構わないというアルトンの言葉に、花子は戸惑った。
「どうだ、どっちを選んでもいいんだろう」。
花子とアルトンは黙っていた。これではアルトンは花子に殴られるのではないかと思ってしまった。
「したい と思っている」。
花子は視線を落としたままアルトンに向かって走り、アルトンは目を閉じて花子の一撃を受け止める準備をした。
「花子、やってみなはれ」。
何かがアルトンの胸に当たった。しかし、それは打撃ではなく、やわらかい衝撃だった。
「嗚咽する」。
「え?」。
アルトンが目を開けたとき、感じた柔らかい感触は、実は自分を抱きしめてくれた花子だった。そのため、すぐに反応しないアルトンは戸惑い、花子の抱擁にも反応が鈍かった。
「天皇との間に起こったことを...本当のことを誰かに伝えたい」。
花子はアルトンの胸で泣き、アルトン自身も花子を強く抱きしめた。
「どうぞ花子さん 事情を話してくださいずっと聞いてあげますよ」。
「すべては天皇が暗殺された日に始まった 」。
章末。
拙作をお読みいただき、ありがとうございました。
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