解明され始めた新型コロナの本当の死因のメカニズム ~ウィルスそのものが人を死に至らせるわけではなかった~ 期待される日本株BCGとは?
世界において一体どれほどの人間が、2020年3月下旬の今を昨年の今頃の段階で予想できた事だろう。
なにやら1982年に連載されていた漫画には劇中WHOによる感染症の広がりが新聞記事にて話題になってたりして、国内では約1名が30年以上前に予言していたという話も無くはないが……
恐らく10人いたらほぼ10人がこの事態を予測できなかったはずだ。
新型コロナ。
人類にとっては18年ぶりのパンデミックによって人に医学の重要性と国の組織体制のありかたを問いかけるほどの状況へと発展するばかりか、未だに収束の目処が立たないウイルス性の感染症。
こいつによって苦しめられているのは何も感染者だけではない。
社会人……かつ社会的弱者の立場にある筆者のような人間も、声には出さないが正直言ってどうにかしろと声高に叫びたくなるほど経済的な喪失は大きい。
病魔の恐怖よりも明日生きていくための経済面の恐怖の方がよほど大きい。
しかし誰しもが皆同じだからこそ、きっとそういう声は一部に留まり、ニュースなどで少し語られる程度なのだろう。
一方で声が少ないのを逆手にとって、一部の者だけの叫びだけを聞き取って救済法を思案する上の連中には"諸外国を見習って10万円単位の支援を考えろ"――とだけはこの場にて言っておこう。
さて、そんな新型コロナウィルスだが、少しずつながらその発症と感染のメカニズムなどが解明されつつあり……
そして何よりも最も重要な"死に至るメカニズム"の解明及び解析が大きく一歩前進しつつあるというのが今日の状況だ。
全くもって医学界や薬学界の専門家の皆様には頭が上がらない状況であるが……
そんな「ウイルスが原因となった死のメカニズム」が解明された結果、あるものがここ数日注目されはじめるようになった。
BCG接種である。
それも、1925年以来、ずっと培養を続けて今日にまで至る日本株によるBCG接種である。
これはまだ「確定された話」ではない。
しかし一方で、これまでに「効果があった」とされる治療薬から逆算すると、「極めて信憑性が高い情報」となっており、つい先日より臨床試験がドイツ、そしてオーストラリアの双方にて行われ始めることとなった。
医学の分野にて日本以上に先行しているとも言われるあのドイツが日本の菌株に注目して臨床試験すら始めたというのは大きい。
それはつまり、極めてその可能性が高いことを意味する。
そしてそのBCG接種を少なくとも70歳未満の国民がほぼ必ず受けている日本では、果たして国が隠しているのではなく本当に死傷者が少ないのかどうかは……これからの試験結果次第。
ただし、最初に最も重要なので触れておくが、「BCG接種は治療法ではなく、重症化を防ぐ最も効率的な手段の1つ」――であり、すでに重症化した場合においての効果は皆無である。
また、「感染」と「発症」の双方も防ぐものではない。
あくまで「重症化」する確率を劇的に下げることを目的とした対症療法そのものであるが、この「重症化」が医療崩壊まで生じさせて国そのものを揺さぶるのが新型コロナの凶悪性の一端であり、世界各国において今現在最優先にて防がなければならぬ事象であることを考えれば、
決してこの臨床試験は無駄ではないし、むしろ医学大国が積極性を見せる最大の理由はそこに尽きると言えるのだ。
単なる風邪と同じ程度の所にまで落とし込むことができれば、都市の閉鎖などといった資本主義において最も選びたくない選択をせずに済む。
それは今後の市民の日常生活にも関わり、経済の行方そのものを左右するのだから決してバカに出来ない。
その上で個人的に興味深いのは、かつてあれほどまでに日本を苦しめた細菌が、実は偶然にもこの国の医療崩壊を辛うじて防いでいる味方かもしれないという点だ。
味方というのは例えがおかしいかもしれない。
どちらかといえば、明らかに敵だけど主人公を鍛えるために終始敵の立場ながら立ち向かってきて最後は敵として倒されていくような、視聴者に強烈な印象を与えて退場していくがそれらの積み重ねが最終的にラスボスを倒す力すらも主人公に与えるような必要悪のような立場といったところかもしれない。
感染症を引き起こす細菌は最大の敵であるが、一方で免疫学においては敵として割り切れない部分がある。
そのような話を以前、免疫チェックポイント阻害剤に対する講演で聞いたことがあるが……
実はその中でも触れられていたのが、日本株の結核菌であった。
航空エンジニアのやり直しの第151話:航空技術者は制止する(後編)でも触れている通り、結核という病はその治療法を確立しようとしていた際、偶然にも抗がん剤の発見をすることとなり、今日の化学療法を確立するきっかけを生み出している。
ちなみに発見者は日本人であり、実は抗がん剤はこの国が見つけてその後の研究も一時は他国をリードして発達させていったものだったりする。(1970年代頃)
しかし実はそれだけではない。
最終的にノーベル賞受賞にも至り、その手法を確立させた免疫チェックポイント阻害剤という抗がん剤と併用することでさらにその効力を高めた新たな薬剤の誕生のキッカケともなっているのだ。
そしてその薬剤誕生のキッカケとして発見された因子。
これこそが「新型コロナが人を死に至らせるメカニズム」と密接に関連していることがわかってきたのである。
まずは免疫チェックポイント阻害剤誕生のきっかけについて少し触れよう。
かねてより肺癌など、一部の癌などについては極稀に自然治癒することが判明していた。
ゆえに免疫療法とは、こういった一連の自然治癒を促進させるために様々な方法を用いて免疫力を増強させて治療をさせようという試みから始まっており、その増強方法というのは正直言って当時は「オカルト」の領域を出ないようなものも多数あり、治療と称して詐欺行為が横行するようなことが当たり前であった。
その一方で今現在においても根絶することが出来ない結核ならびに結核菌において、ある特性があることが注目される。
それはBCG接種を受けた人間の体内を調べた際の事。
弱毒化されたBCGは体内に根付いた際、体内においてある因子を発生させることが発見される。
それがPD-L1と呼ばれる受容体だ。
この受容体は何かというと、電子ロック錠に対する認証用の受信機と言えばいいのだろうか。
電子ロックが差し込まれた際にドアを解除するかどうかを決める装置そのものというべきこれは、T細胞……
つまり体の免疫を担う細胞が近寄ってきた際、その細胞が正常か正常でないかを調べる際のスキャニングに用いられる。
T細胞というのは簡単に言えば「対象の細胞を監視し、病魔に冒されていると判断すれば攻撃する自己防衛機能」のようなものだと思ってくれていい。
小学生レベルの保健学にも登場する言葉なので知っている者は多いだろう。
このT細胞が「その細胞は正常かそうでないか」を調べる手段が、PD-1と呼ばれる遺伝子コード型の認証システムだったのである。
T細胞は細胞が正常かどうかを確認する際、このPD-1を対象の細胞に結合させて状況を見る。
正常に機能すればPD-1は結合するが、病魔に冒されていると正常な機能を果たす結合をしない。
するとT細胞は「例えそれが実は本当に正常な細胞であったとしても」攻撃し、破壊する。
この破壊行動を「アポトーシス」と言い、日夜人の体内ではこのような排除行動があって健康を保っている。
一方、散々っぱら人を苦しませるくせに有効な治療法を持たなかった結核などの細菌感染症、そして癌。
これらはなんと信じられない事に「私は正常だ!」「わたしはしょうきにもどった!」――などと偽って免疫細胞の活動を阻害することが判明している。
それが顕著なのが結核菌と癌だったのだ。
研究発表を見てわかるとり、PD-L1の発見と証明は癌だけではなく結核菌を用いても行われている。
すなわち、あれほどまでに日本国民を苦しませてきた結核と、結核の流行時は結核ほどの脅威はなかったが結核への有効な治療法が確立されると共に台頭してきた癌。
この双方は、全く同じ方法でもって我々を死に至らしめていたのだ。
彼らが何故か稀に自らの免疫力だけで完治してしまう例があるのか。
それは体内において病魔が一度巣食うと、次第に学習の果てに免疫細胞の活動も緻密となっていく点にあった。
今日では免疫チェックポイント阻害剤と並んで注目されている「遺伝子治療」
それはなんとこの体内メカニズムを利用し、「特定の因子を体内に流し込み、免疫細胞を癌に対応できるよう変異させてしまう」という手法なのである。
外的要因によって遺伝子そのものを変貌させる。
これが確立され、ドイツなどで認証済みとなって世に登場している遺伝子治療薬の正体。
双方は薬の効力から言えば全く異なる効力によって癌を退治する。
けれども双方が誕生する際に着目したのは、ほぼ同じ視点だったわけである。
そしてその発見に至ったのも結核菌が多分に関与しており、いかに結核菌が人類を苦しませて挑戦させる意識を生んだか、そして結核菌を調べつくして根絶しようと努力したことで見つかった諸所のメカニズムが、いかに人類において有益な情報であったかをあらわしている。
その結核菌によって得たメカニズムが、18年ぶりにパンデミックを起こして猛威を振るうウイルス型感染症にも一定の範囲で対抗できるというのが今回の発見。
しかも、その方法においては本体を使うというのだから、敵なのか味方なのか全くわからない。
さて、ではなぜ細菌本体を使うとウイルスに対して効果を発揮するのかということなのだが、実はそこには免疫チェックポイント阻害剤の発見につながる重要な病が関係している。
それは自己免疫疾患である。
自己免疫疾患とは、自己の免疫細胞が様々な要因によって正常な細胞であるにも関わらず自身の体を攻撃し、その結果、臓器の機能などが低下して最悪は死に至る極めて怖い病気である。
しかしこの自己免疫疾患、昔から罹患した者の一部において「癌が自然治癒した」とか「癌にかかりにくい」ということは発見されていた。
また、結核など一部の病にもかかりにくいということは過去の記録から証明も出来ていた。
これこそが「癌は免疫細胞を阻害する何らかの仕組みがある」と考えるに至った要因なのである。
正常な細胞すら問答無用で攻撃する免疫細胞は、抗生物質に対する耐性菌だろうが防御手段を持っている癌であろうが、構わず攻撃するのだから、仮に発症しても治癒する可能性は十分にあった。(絶対ではない)
いわば免疫チェックポイント阻害剤とは、自己免疫疾患に近い状態を薬によって擬似的に作り出すものなのである。
実際は癌においてのみピンポイントで攻撃するよう作られているが、単体で用いた場合に約5%の確率で自己免疫疾患を生じさせてしまう要因は、この薬によってT細胞のリミッターが何らかの要因で外れてしまうからだと言われている。
現時点において癌を直接攻撃する抗がん剤と共に併用されるのは、過剰な投与による自己免疫疾患によって、癌は治癒したのに今度は自己免疫疾患となってしまった……というものを防ぐため。
そして近年開発される自己免疫疾患への有効治療薬は、正常な細胞により攻撃しにくい因子を持たせてT細胞の暴走を抑制するというタイプが増えてきている。
いわば敵の動きを見て時には敵の防御手段を逆手に取るというのが、近年の新世代治療薬というものなのだ。
そしてこの「逆手に取る」という手法は、その治療薬が他の病への転用を可能とする汎用性の高さを獲得させるにつながっている。
まるで別の病気にも効果がある新世代の薬とは、こういった積み重ねた原因の究明によるものなのだ。
――と、ここまで書けばもうお気づきの読者もいらっしゃるかもしれない。
そう、新型コロナが人を死に至らしめる原因。
それは「ウイルス」そのものではない。
「ウイルスによって過剰に活性化してしまうT細胞が正常な細胞ごと全てを破壊し尽くす」ことで体内機能が低下し、肺などを中心に自らの免疫機能が攻撃し続ける結果、サイトカインストームと呼ばれる崩壊現象を発生させて死に至らせるのだ。
ようやく掴んだコロナの正体は、こちらの攻撃力を逆手にとったテクニカルな攻撃手法を持つ敵であった。
・なぜ自己免疫疾患を持つ者ほど異常とも言えるほど致死率が高いのか。
・なぜ、免疫力が落ちたような状態の一部の細菌感染症の患者はコロナの症状が軽いのか。
・なぜアレルギー性鼻炎や喘息の治療薬たるシクレソニドなどがコロナに効果を発揮しうるのか。
・なぜWHOは当初「ウィルスの致死性は低い」と見積もったのか。
・なぜ全くもって終始無自覚なのに大量のウイルスを内包した者が稀に出現するのか。
全てがここに帰結する。
WHOは感染が武漢にて拡大した当初、該当ウィルスの組成状況を見て即座に「感染力は高いが致死率は高くない」と見積もった。
それは他の類似するウィルスとタイプが一緒で、それらが体内に根付いたとしても細胞に致命的なダメージを与えるわけではないと見ていたからだ。
実際にそうなのだ。
コロナウィルスそのものが我々の体内の細胞を破壊し尽くすことは無いのだ。
しかしこのウィルスに感染した際に細胞が生じさせる受容体は、T細胞を活性化し、大暴れさせてしまうことがつい先日発見されるに至ったのである。
奴らはアレルギー症状のアナフィラキシーショックのごとく、自己免疫力を過剰に煽ることで我々を苦しませていた。
これが全ての死の原因。
熱症状と炎症は、活性化したT細胞などの自己免疫などによって生じており、コロナ本体は人を発熱させることすら出来ない弱小ウイルスに過ぎない。
だから体が適切に処理する場合においては発熱症状すら無いのだ。
つまり、過剰に活性化するT細胞の活動を抑制できれば……重症化を防ぐことが出来る。
そこで白羽の矢が立ったのが結核菌だったのである。
弱毒化させた結核菌。
これをワクチン化させたものをBCGと呼ぶ。
こいつが体内に一度居座ると、数年以上の間、T細胞はこの弱毒化された細菌と戦い続ける事となる。
一方で、こいつらは癌細胞と同じく各種受容体を発現。
それによってT細胞の機能は低下。
抗原たるPD-1を失うとT細胞は水のかかったアンパンマンと同じ状態となり、本来の力を発揮しない。
この「本来の力を発揮しない」ことこそが、コロナから死を遠ざけ……重症化を抑制する複数のメカニズムのうちの1つなのだ。
BCGによる因子によって肺炎に強くなるメカニズムは、2017年~2018年頃から解明されていた。
1つは、結核菌が居座ることで血管内にて生成されるIL-1βと呼ばれる細胞内にて炎症を引き起こす要因となる物質の精製量が抑制されること。
もう1つが、この過剰活性を抑制する結核菌自体の特性。
双方が合わさる事により、最も避けるべき「重症化」を回避することが出来る。
それがここ数日注目されている「日本株によるBCG接種」なわけである。
しかしこのように言うとこう考える者もいるだろう「なぜ日本株?」――と。
この理由は世界各国にて細菌株は培養されているが、日本の株がソ連のものと並んでオリジナルの結核菌に最も近く、毒性が強い事。
他方、IL-1β精製に関わる学習においてはソ連株よりも日本株の方が効率的で上回っている事である。
毒性が弱いとT細胞の活性化は止められない。
これが日本株が注目される理由の1つ。
もう1つは炎症を発生させるIL-1βの過剰精製を阻む効果が強いのはなぜか「日本株」であるという事。
何しろこの「一連の症状緩和」に関するレポートは2年前。(正確には1年と9ヶ月)
最新も最新の試験データ。
更なる解明は、今まさにリアルタイムで進んでいる状況にある。
それでも藁をも掴む思いで臨床試験が始まるのは、メカニズムと合わせて密接関連性が疑われるからだ。
もし臨床試験において一定以上の効果を発揮するならば、日本での重症者が少ないという事実は嘘ではなかったという事になるし、状況を危惧すべきは70歳以上の年配の方となる。
とくに女性の方である。
航空エンジニアのやり直しにて書いたが、日本で最もBCG接種が優先されたのは男性。
少年兵などになった男児はほぼ高確率で接種している。
彼らよりも優先度が低く、当時の接種データすらまともに残っていない女性。
そして宗教観なのか何なのか知らないが、義務化されているのにも関わらず接種をしなかった極少数の者達。
これが最も危険。
それと同時にもう1つ危険なのは、仮にそれが事実で症状が軽い者が多いという事は、非常に大量のウイルスに感染した者が無自覚な感染源のまま感染を広めるリスクである。
例えば、近年の結核発症者は実は外国人が圧倒的に多い。
これは彼らがBCG接種をしていないのが主な理由だが、我々が知らず知らずのうちに媒介して移している可能性がWHOなどでも指摘されている。
日本は元々結核菌にとって住みやすい環境であり、根絶は不可能といわれ、だからこそ毒性の強いBCGの接種が義務付けられているが、外国人の感染、発症がリスク増加の一端を担っている可能性は指摘されてきた。
症状が軽いから、自分は大丈夫という事は決してない。
慎むべきと指示がある場合は、やはり健康体でも慎むべきなのだろう。
もう本当に生活も含めていろんな意味で苦しいが、筆者は今あるデータを信じたい人間だ。
ゆえに日本人が重症化しにくいという事実が本当で、それがBCGだというのが事実だというなら……
かつて結核と真正面から対峙し続けた者達をあらためて称えたい。
彼らの偉業は、努力の積み重ねが決して無駄ではないことを証明している。
この言葉を結核治療の第一人者である故:梅澤濱夫氏に捧ぐ。