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二、二つの世界

「私、やっぱ蒼が好きだ。」


私が毎回こう言うと、

蒼は必ずニコッと笑って、『知ってる。』と答える。


体調悪くなると、無性に蒼の名前を呼んでしまう。

寝る前にも、蒼の名前を呼んでしまう。

悲しくなるとも、蒼の名前を呼んでしまう。


気付いたら、私、いつももらうばかりだった。

蒼に何もしてない気がする。


『え?考えすぎなくてもいいよ。』

私が考えてることもわかったように、蒼はそう言った。


『俺は、お前が辛い時ちゃんと俺に言って欲しいだけで十分だと思う。お前に何も求めないから気にすんな。むしろ、お前のために尽くす。』

「…なんか、私は悪い女みたい。」

『他の男とうまく仲良くして、俺のこと忘れたのは誰でしょう。』

「こんな言い方はおかしい。私は、あの男が蒼の代わりなんて、一回も思ったことない。紹介しようと思った。しかも、蒼は私の弱みやバレないことも全部知ってるから、バラされるか心配するじゃん?」

『秘密をバラす趣味ないし、お前もやましいことしてないでしょう。』


確かやましいことしてないよ。

今までの人生を振り返ってみると、何もない人生だ。

多少嘘ついたりするけど、悪いことしたことない。


世間から見ると、【普通】としか評価されないだろう。

学校では無遅刻無欠席で過ごしてきた。

課題提出も遅れたことなく、サークルもちゃんと入った。

目立った問題一切なかった。

周りの大人から見て、一番手が掛からない子供だと思う。

その後、大学に行って、無事に卒業して、どこかの会社に入った。


こんなどこにもあるルートで生きてる。


危険もなく、激しい変化もなく。

つまらないけど、これは現実だった。

小説すれば10枚も要らないでしょう。

ゲームすれば30分でゲーム終了でしょう。

残念ながら、世の中にこんな人生で過ごす人は多数派だね。


これこそ、私が生きてきた世界だ。


『お前、また変なこと考えてるの?』

「…ついに私の心を読めるの?」

『それはいいね。ほら、超能力を手に入れた少年は世界を救う!というのもは悪くない。』

「何この中二病の発言…」

『残念ながら、俺はお前と長年付き合ったから、超能力がなくてもわかるよ。』

「だよね。ずっとそばで見てきた。」

『俺だけじゃないでしょう。』

「まぁね。」


あなたにとって、世界はどんなものでしょう。


言葉のままで人の生活する環境だったでしょうか?

何かの社会と関連ある空間だったでしょうか?


さて、あなたはこんな疑問を考えたことあるの?


世界はいくつあるでしょうか?


私にとって、世界は二つがある。

一つは、私が生きている世界だ。

一つは、蒼たちが生きている世界だ。


世の中に、彼達の世界を【準宇宙パラコズム】とも呼ばれてる。

独自の言語で、独自の文化がある。

ただ、あそこで食べたオムライスは同じく美味しかった。


同じなように、同じではない。

同じではないように、同じだ。


様々な世界パラコズムで色んな子と出会って、その子たちの物語(人生)を見る。

残念ながら、私はあっちで生きられないんだ。

だから、いつも特定の子の目から、彼女たちの物語(人生)を楽しめる。

私の性格と全然違う子もいるから、普通に面白かった。


しかし、ある日、私は気づいた。


私は彼女たちと喋れない。

触るのもできない。

たとえ、彼女が死にそうと分かっても、何もできなかった。


それを何とかして欲しいと思って、

色んな書類を探して、解決方法を一生懸命に考えてた。

そんな私を見て、蒼からこう聞かれたことある。


『なんで俺たちのこと、そんなに大切にしてるの?』


本当は、あなた達はどんなものでもいい。

あなた達は私の宝物だもん。


「私、もうあなた達と別れたくないからね。」

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