表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/48

第三章 第二話

「はい、もしもし、祟目です」

「あ、祟目君? 羽生です、お久しぶりです」

 その声は例の一大勢力のリーダー羽生夾介だった。

 あれ以来、特に組む事は無かったが情報交換を時折する位には交流を持っていたが、電話が掛かってくるのは珍しい。

「今大丈夫かな?」

「大丈夫ですよ、どうしたんです?」

「もういい加減敬語止めない? 歳も大して違わないんだし、大学も違ったんだから先輩後輩でも無いんだし」

「まあ、そう言うなら直すけど、で? 何か問題でも?」

「うん、俺に問題は無いんだけど、問題は問題なんだ」

「ん? と言うと?」

「会って話せないかな? もう上りでしょ? 今日は」

「なんで分かったの?」

「だって祟目君が車に乗る所見えたから」

 どうやらすぐ傍に居るらしいと思うと運転席の脇に羽生の美形の顔が有った。


 満面の笑顔で手を振っている。

 その姿に毒気を抜かれて溜息を吐いてウィンドウを開ける。

「そう言う冗談はどうかと思うんだけど?」

「ごめんごめん、手を振っても全然気が付かないから、どの段階で気が付くかな?って」

 そう明るく謝罪を口にして拝み手をする。

「まあ、良いけど、で? 会って話ってのは?」

「まあ、良かったら飯でも食いながら話さないか?」

「OK、乗りなよ」

 助手席を指さして乗る様に促す。

 羽生が乗ったのを確認して車を出す。

 取り敢えず食べたい物が有るかを聞くが特に無いと言う。

 駅にも行き易い場所に有り、血が足りない事も有ってステーキレストランに向かう。

 駐車場に留めて車を降りると夕暮れの寒さが肌に痛い。

 店内に入り、テーブルに案内される。

 席に着いてメニューを開き手早く注文をする。

「それで? 話って?」

 出された水を飲みながら話を促す。


「いや、今出てくるモンスターの対処方法をね、祟目君はどう考えているのかな? ってさ」

「厄介だと思っているよ? 効果的な攻撃が出来ていないと感じているからね」

「やっぱりそう感じているか、俺も色々調べては見たんだけど……」

「モンスターの傾向が世界中で違い過ぎる、って?」

「そう、共通点はゲームに出てくるアンデッドって位だからね」

「日本では幽霊、アメリカでゾンビ、ヨーロッパではスケルトン、中国は良く分からなかったけど、まあそれに類する物だろうね」

「アメリカではそう苦労はしていないらしい、ヨーロッパは数に圧されてるって記事には有ったけど」

「日本は特に苦戦している、と」

「なんで日本だけここまで厄介なモンスターなのか? から考えないと前に進まなそうでさ」

 羽生は羽生で調べているらしい、情報量としては僕と大して違わない程度の様だ。

 つまり、一人で悶々と考えていても二人共浅い所でしか結論が出せないと言う事に成る。

 連想ゲームで各々の論の穴を潰していくのが羽生の今回の話の本質だろう。


「モンスターとは何か? とか迷宮とは何か? は無視してモンスターをどう効率良く駆除出来るか? を模索するって事で良い?」

「流石に話が早い、ソロの祟目君、祟目で良いよね? はどう感じているか、も気に成っていたしね」

「ソロとチームで見えるものがそこまで違うとは思えないけど、有意義だとは僕も思うよ」

「あれが氾濫するなんて考えただけで恐ろしいからな、今は何でもしないといけないと思う」

「同感、じゃあ論点をどこに置く? モンスターのタフさの相違? それとも種類の違いの意味?」

「まずはタフさから行こうか」

「了解、まず幽霊を倒すのに五十回も攻撃しないと倒せない幽霊と動画で見た限り頭部を潰せば倒せるゾンビやスケルトンとの相違か」

「ちょっと待った! 五十回? 俺達、九十回は攻撃しているぞ?」

「ん? 倒す為の攻撃回数が先ず違う?」

「祟目は刀だよな? 俺達は全員が鉈を使ってる」

「武器で効果が違う? それとも人数?」

「それは検証しないと分からないが、確実に祟目の方が効果は有る訳だ」

「そうらしい、その分神経も使うし継続戦闘はかなり厳しい」

「刀と鉈の違いってなんだ?」

「鉄の量じゃないか? 後は僕が小学生の頃から剣術を学んでいる、位か」

「武器その物のサイズもしくは体積、武器の熟練度も関係する可能性か……」

「鉄の量でもし効果が違うならもっと効果的な武器が有る可能性、か……」

「熟練度とは言っても幽霊を倒す為の剣術なんて有るのか?」

「無いよそんな物、剣術は一から十まで人を効率良く斬る為の物だもの」

「となると武器って話に成るか、幽霊を倒す武器?」

「幽霊を殺す武器……、聞いた事も無いと言うかオカルトだな」

「オカルトと切り捨てる前にモンスターや迷宮が既にオカルトだと思うぞ?」

「確かに、なら幽霊に効果的な武器で検索でもしてみる?」

「まあ、ヒントは欲しいな」

 鼻背デバイスで幽霊 刀で検索してみるといくつかヒットした事に驚く。

「にっかり青江かな? 幽霊を切った刀が有るのか」

「しかも物語の刀じゃなく、現存してる? ちょっと流石にこれは……」

「コメントし辛いがヒントはヒントか」

「でも僕の刀とこのにっかり青江では共通点は刀ってだけだよ? 第一この小太刀は現代刀で十年以内に鍛えられた物だし」

「つまり、刀としての歴史では無いって事か?」

「刀だから効果が有るって言っても毎回五十回斬り付けるなんて間引きに成らないよ」

「何か見落としが有るって事じゃないか?」

「見落とし? 鉈で九十回、刀で五十回、幽霊を斬った刀、幽霊を殺せる刀……」

「幽霊を殺す武器、幽霊を倒す武器」

「幽霊を消す武器、幽霊を祓える武器」

「幽霊に効果的?」

「幽霊と言えば?」

「幽霊とお祓い?」

「坊主か神主?」

「「……いやいやいやいや」」

 流石に連想ゲームとしてもどうかと思う展開だ。

 まさか迷宮で除霊だか浄霊だかをしろと?


「まさか数珠とか、霊が嫌う物を武器にする、か」

 流石に自分達の言葉がおかしな方向に言っている自覚は有る。

「そうだよな……」

「何? 何か長い棒に数珠でも括り付けて殴ってみる?」

「数珠以外に何か有るか?」

「塩とか水晶とかそう言う話?」

「やっぱそうなるよな」

「何だろう、ナニカが引っ掛かってる感じがする」

「何かって何が?」

 眉を顰めてその違和感がナニカを考えていると注文した料理が運ばれてきた。

 鉄板の上で焼かれた香ばしい薫りを漂わせる料理にフル回転している頭が止まる。

 小さく溜息を吐いて「取り敢えず食べようか」と羽生を促して食事にする。

 血が足りないから肉、と言うのは聊か短慮が過ぎる気もするが血が滴るレアのステーキは何となく血肉に成る事をイメージし易い。

 血肉と言う単語が狼を連想させた、狼と言う単語とモンスターが繋がって以前不思議に思っていた事が言葉として口を吐いた。


「狼の頃もモンスターって違ったよね?」

 疑問点を口にすると羽生からも疑問が返ってくる。

「ん? どう言う事だ?」

「いや、なんで兎は万国共通だったのに、世界中でタイリクオオカミが出現したのに日本ではニホンオオカミだったのかな? って」

「分布の違いだろ? 現に幽霊とスケルトンって差が出てるんだし」

「でも、ニホンオオカミは絶滅してるけどタイリクオオカミは別に絶滅して無いし、スケルトンとか実在したの? って話にもなるし」

「モンスターの出所の話?」

「と言うかモンスターの地域性?」

「すまん、良く分からない」

「何と言うのか、モンスターの傾向がその土地々々に沿い過ぎてる気がするんだ」

「まあ、確かに」

「迷宮ってその土地のナニかに影響されてる気がしてきてね」

「言われてみればそうだな」

「そのナニかがヒントになる気がするんだよね」

「ナニかってなんだ?」

 そう問われた所で眩暈がしてくる。


 食事を平らげた所で胃袋が消化の為に血を集めて貧血が悪化したらしい。

「ごめん、ちょっと貧血が酷くなってきた……」

「そうか、祟目怪我してるんだった、すまん」

「いや、良いよ、結局何か食べたらこう成るんだし……」

 背中が痛む為に背凭れに身体を預けられないのがきつい。

 皿を除けてテーブルに突っ伏してしまう。

「帰りは運転代わる、悪かった無理に誘って」

「いや、家で食べても外で食べても同じなんで……」

 それから暫く食休みをして貧血が有る程度落ち着いた所で店を出た。

 運転を羽生に変わって貰って結局家までナビしながら送って貰う醜態を晒してしまった。

 部屋の前まで肩を借りて帰ってきた所で回らない頭で考えていた事を言葉にする。

「迷宮はその土地に影響される、ナニかを吸い上げている。もしかしたらそれが一番重要なのかも知れない」

「来週、数珠やら集めて検証してみるか」

「遠回りだけど、やらないと前に進まない気がする……」

 そんな話をして意見交換を終わらせて僕は転がり込む様にして部屋に上がる。

「じゃあ、また来週連絡する」

 羽生の言葉に手を振って答えてドアを閉めベッドに直行してそのまま意識を無くす様に眠りに落ちた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ