プロローグ
ふぁんたじ~です。
俺は、生まれつき体が弱かった。
それでも小学校の頃は友達と外で運動とか色々遊べていたし、病気が理由で学校を休むこともほとんどなかったと思う。
中学に上がってからは、徐々に学校を休むようになり、一応地元では進学校として有名な高校にも進学は出来たけど、ほとんど登校できなくなって、自宅で時間を過ごすことが多くなった。
そんな時に出会ったのが、「ソーサリア・オンライン」というファンタジー系のVRMMORPGだった。
フルダイブ型のMMORPGで、自宅にいて世界中の人と繋がれる楽しみは格別のものがあったし、なにより、中学生時代から徐々に体の筋肉が衰えだして、満足に歩くことも出来なくなっていた俺には、自分の手足で広大な世界を旅することが何よりも嬉しかった。
やっぱりファンタジーは魔法でしょっ!
てことで、最初は魔術師系の職業でやってたけど、自分は意外に剣が好きだってことに気付いてからは、戦士職も作ったりして、それこそ起きてる間はずっと「ソーサリア・オンライン」の世界にいるみたいな感じで、少し廃人化してたかもしれない・・・。
ただ、リアルでは両親意外とあまりコミュニケーションをとる機会が少なかったせいか、ゲームの中でも他のプレイヤーと話すのが苦手で、パーティとか組めなくてミッションやらクエストをほとんどソロでこなすことの方が多かった。
そんな中で誕生したのが、「エンチャンター(付術魔術師)」という職業だった。
剣も使えて魔法もこなせるという職業で、覚えるスキルも自身のみに付与できるスキルがほとんどで、パーティ向けじゃないソロ職としての認識が強かった。
さらに、他ユーザーからは器用貧乏な職業という、あまりに低評価の職業だったけど、コミュ障の自分としては、ソロでミッションボスとかも戦える職業としては、これしかない!ってくらいにドハマりだった。
それからは、ずっとエンチャンターのみを育成して、色々なアイテムとか魔法を組み合わせて、いかにソロで戦っていけるかを研究し続けた。
そんな感じで、他のユーザーからは不人気職のエンチャ(略称)を使い続けていたら、「ソロでなにやら凄いヤツがいる」と徐々に有名になり、そこからは「エンチャらしい」とか、「エンチャって実はすごく使える職業なんじゃ?」とゲーム内でも話題になりだして、いつの頃からか「紫の悪魔」と呼ばれるようになってた。
なぜ「紫」かというと、いつも着る防具に、紫色をワンポイント入れて装飾してたから、それが由来になったらしい。
とまぁ、ゲームの中では、それなりに充実していたけど、実際は、ベッドの上で寝返りも自分では出来ないくらいに筋力が弱くなっていて、呼吸でさえも人工呼吸器を装着してないと自発的には困難になっていた。
きっと、もうすぐ自分は死ぬんだと思う。
その覚悟はずっとしていたので、今になって死ぬことに対する恐怖はあまり感じてなかった。
今はただ、「ソーサリア・オンライン」をもう一度やりたいなって思うくらいかな
◇
痛っ・・・
ガジガジ・・・
痛たた・・・
ガジガジ・・・ グリッ!
なに、この痛さ!
足に違和感を感じて目を開けると、俺の左足の靴をネズミ?らしき動物がガジガジグリグリ齧ってた。
えぇーー!何してんのこいつ!
ただのネズミ?らしき動物にしては、大きさが俺の知ってるそれとは違くて、小型犬くらいの大きさだ。
なにこの生き物・・・
怖さと痛みで、足をバタつかせる。
離れろやー!
バタつかせると、ネズミ?は威嚇したまま少し後ずさる。
ただめっちゃ怖い顔のままキシャーって睨んでるんですけど・・・
ボロボロじゃん、靴が・・・
いやいや、そんな事よりなんなのこれ?
どんな状況よ、これ!?
夢?
夢にしてはめっちゃリアルなんだけど・・・
足も痛いし・・・
いやいや、この状況で、今しなくていい思考はきっと許されないよね。
だって今のにもこのネズミ?、飛び掛かってきそうだし。
どうしたら・・・
ん?
なぜ俺は剣を握ってるの?
これ剣だよね?
これは一体何に使うものかしら?
そー言えば、「ソーサリア・オンライン」でも剣が好きで、片手用、両手用とか色々試したなぁ。
ハッ!いかんいかん、そんな事を考えてる場合じゃなかった。
とりあえずこの状況を打破しないと。
とりあえずこっちも威嚇してみよう!
「や、やんのかコラーッ!」
えっと、それから
「がぉぉーー!」
意味不明になっちゃった。てへ。
とりあえず大声出したらなんとなく少し落ち着いた。
よし!とりあえずこのネズ公をぶちのめそう。
こっちには剣もあるし、よく見るとこいつ「ソーサリア・オンライン」のスタート地点にわんさか湧いてた「キラーマウス」に似てる気がする。
フルダイブ型だったから、敵とのバトルも実際に身体を動かして、それこそ何万回って繰り返したし、こんな序盤のザコモブにやられるはずがない。
ネトゲ廃人なめんなよ!
キシャーッ!
飛び掛かってきた。
んなろーっ!
剣を一閃。見事ネズ公にヒット!
渾身の一撃に、ネズ公は吹っ飛び、後ろの木にぶち当たる。
やった!やってやったぞ!
ははは、やれば出来る子だよ俺は!
ボンっ!
音とともに木にぶちあたったネズ公は、突然消失する。
えっ?なに?
消えましたけど?
あ、なんか落とした。
この紫色の水晶みたいのは何かしら?
《レベルが上がりました》
《レベルが2になりました》
突然、頭の中に声が響いてきた。
え?なに?
キョロキョロ周りを見回してみるけど、木ばっかりで人の気配はしない。
レベル?レベルが上がったって言ったよね?
レベルって、やっぱりゲーム的なアレでアレするあれですよね?
てことは!
てことは、ここは・・・
どこ?
はじめまして、皆様。
更新がんばりますので、宜しくお願いします!