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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第3章エルフの森
99/317

再開(微妙)

???


部屋で一人考える。人を殺す覚悟を、殺される覚悟を。


「怖い・・・」


そんなもんすぐにできるわけがないだろうが。今まで殺人とは無縁の人生を歩んできたっていうのに。ドラマっていうか刑事物のドラマとかサスペンスを見るとよく犯人とかって普通に生活することができているな。あれ精神状態どうなっているんだろう。まあ、結構動機があって殺している人が多いからその覚悟はすでに済ませているんだろうか。


「これからどうしよう・・・」


学校に戻ってきたはいいけど、どうすればいいんだろうか。罪を償えばいいのか?でもどうやって?地球なら自主とか警察にお世話になって懲役すればまあなんとか心の整理がつくのだろうけど・・・あれ?僕のって正当防衛に入るのだろうか?いやそもそも相手を殺しちゃっているし過剰防衛くらいになるのかな。


この世界では犯罪者ってどうするんだっけ?そういうの教えてもらえてない・・・いや、全部僕がなんやかんやで休んでいるせいで自ら教わる機会を逃している感じかな。はあ、辛い。


「生きるべきかなぁ」


もしかしたらまた誰かを殺すことになるのかもしれない。つまりまた命を奪ってしまうということ。そうなる前に自分の命を絶つことで救われる命があるのではないだろうか。


だめだ。少しばかり悪い方向に考えが傾き過ぎている。もう少しポジティブに考えなければ・・・。そう!あのままだと僕とクレアは殺されていた。つまりすでに命を救ったことになる。


「そうだ!」


でも、開き直るわけにもいかない。この事実はきちんと受け止めて次に生かさなければならない。どうする?どうしようか?


「気分転換に外歩こうかな?」


勉強とか行き詰まったときによく外に出てふらふらって歩き回っていたな。ぼんやりしながらでもふらふらしていれば考えがまとまることがあるし、それにずっと座っていても苦しいだけだしね


そう思って外に出ることにした。まあ先輩たちの想いを汲むならば外に出ないほうがいいのかもしれないのだけどね。


のんびりと歩きながら考えていく。


「誰かに話を聞いてもらいたかったのかな?」


大分落ち着いてきたからね。誰かに秘密を打ち明けて少しでも気分が楽になりたい。先輩たちでもいいんだけど今は外に出てしまっていたからな。多分経験したことあるから一人にさせてくれたんだろうけど・・・もう少し考えて、いや、考えてくれたからこその行動だろうな


「むしろすぐにこうして動き回るほうがおかしいのかな」


それから実はまだ考えがまとまっていないのかもしれない。人間の本能?的なやつで納得したふりをしているのかもしれないし・・それこそそんなことないか


「あ、紅」

「山胡桃さん・・・」

「ちっ」


山胡桃さんと出くわした。あー嫌われているみたいだからあまり話したくないんだよな。


「なに辛気臭い顔してるのよ」

「別に」


こいつにだけは言いたくないな。クラスメートにあっというまに拡散されるだろうし。この世界の人と比べてそういう耐性がなさそうだからまた色々な噂とか流されそうだしな。そしてからかいまじりに「おい紅お前人殺したんだってな」って言ってくるんだろそうに違いない。


「あんた生きてたんだ。一ノ瀬くんとの戦い以降全く見ていないから死んだのかと思っていた」

「生きてるよ」

「ふーん?」


なんか僕の心の内を覗こうとしているようななにか含みがあるような言い方だな。あ、そうだ。今ここで山胡桃さんに出会えたのは運がいいのかもな


「そういえば一ノ瀬との戦いはどうなった?もしかして・・・」

「はあ?あんたなに言ってんの?」


いやそこまで軽蔑した視線を向けてこなくても。そんなにおかしなことを言ったかな?あ、なんとなく読めたぞ。確かに侮蔑の視線を向けられても納得だな


「逃げたあんたがなに言ってるのよ!もう試合は終わったわよ」

「だよな〜」

「は?あんた逃げたんじゃないの?そんな分際でなに言っているのよ」

「ですね」


これ拉致られたことは黙っておこう。絶対に面倒なことになりそうだし。やっぱり不戦敗になっていたか。きちんと再戦できていれば勝っていただろうけど・・・いや、これは後の祭りだ。違うな、えっとこういうときに何て言うんだっけ?とにかく、負けたものの言い訳に過ぎない。僕は負けたんだ。敗者にはなにも言う権利なんてない。


「はあ、もしかして本当になにも知らないの?」

「何かあったのか?」

「はあ・・・」


だからため息やめてくれ


「ま、あんたには関係ないから言わないでおくわ。じゃ、私はこれで、もう関わらないでね」

「わかったよ」


山胡桃さんと別れる。当然といえば当然だが、僕が人を殺したことは伝わっていないようだ。知っているのはクレアとリンナ先輩だけだし知るわけないか。


「ふう」


覚悟していたけど負けとなるのは少しつらいな。勝ちたかったんだけどなあ。新人戦で優勝すればなにか変わると信じていたのに。


「っはは」


人を殺した時点で僕の人生は変わったんだよなにを言っているんだか。これから今まで通りの生活を送ることができるとは到底思えない。いつかばれることだし


「それでも山胡桃さんとはいえ話せれてよかったな」


それなりに大事なことも聞けたし、それに誰かに話すことで一応考えがまとまるというか一旦整理することができたからな。その点だけは山胡桃さんに感謝しないとな。絶対に言わないけど。言いたくないじゃなくて言わないってな


「戻るか」


とりあえず今一番話したいのはシェミン先輩だし寮に戻るとしますかね。あれ?というかここどこだ?適当に歩いていたから場所がわからなくなってしまったよ。


「『電気のー・・・いや、いいか」


探知魔法で探そうかと思ったけどなにするんだろう。人の居場所がわかっても意味ないじゃん。もしかして僕って迷子になったらもうもとに戻る方法なんてないのか?


「まじで子供かよ」


これどうしようもないな。別に方向音痴とかそういうわけではないんだけどな。ま、歩いてこれたんだからまた適当に歩いていたらたどり着くことができるだろうな。それに時間かかったとしてもまあ考える時間ができたってことで問題ないし。最悪変えることができなくてもサリア先輩あたりが見つけてくれるだろう。他力本願なのはちょっと嫌だけどもまあしょうがないよね。


「紅?紅じゃないか」

「天衣」


こういうときってなんであ色々な人と会うんだよね。なんでかはわからないけどこれも心理的な問題だって聞いたことあるような気がする。僕は詳しくないから全く知らないんだけどね


「お前生きていたのか!死んでいるのかと思っていたぞ」

「生きてるよ」


山胡桃さんもそうだけどさ、みんなどうして僕が死んだことになっているんだよ。死んだのは僕じゃなくて・・・


「紅?」

「ああ、大丈夫」

「そうか?かなり怖い顔をしていたから」


そんなに僕って表情に出やすいのだろうか。「うん。わかりやすい」はあ、そっか。じゃああんまり秘密を隠し通すの難しいか。ばれた時のことを考える必要があるな


「本当に大丈夫か?」

「ああ、ちょっと帰り道がわからなくて困っていたんだ」

「は?」


うん、もうここにきて三ヶ月経つっていうのにこれでは割とまずいよな。


「だからさ・・・旧修練場まで案内してくれないか?というかここどこ?」

「いいけど・・あ、ここは俺たちのギルドな。第三ギルド『旅人の休息所』」

「へー」


ここにあったんだ。知らなかったな


「あ、じゃあさ、ちょうどいいしこいよ。お前が死んだと思っている奴がかなり多いしさ。あとミロンもかなり気にしてたぞ」

「うっ」


それを言われると弱いな。クラスメートたちは正直どうでもいいけどミロンさんを引き合いに出されるとつらい。ちゃんと顔を出しておかないとな

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