襲撃から惨劇へ
水無月5週目???
「さて、どうするクレア!なにか策は?」
「ないわけじゃないけどもう少し情報が欲しいな」
「了解。『電気鎧・第二形態』」
普通の『電気鎧』でもよかったけどここは第二形態を使うことにする。防御に割くリソースをできる限り少なくして相手の動きを掴むためだ。
「この!にゃろ」
できる限り情報を引き出すことができるように色々と仕掛けてみるもまったく意に返さない。なんて俊敏な動きなんだ。素人目にもかなりの修練を積んでいることがわかる。僕と同じく近接タイプなのか・・・?
「『放電』・・・当たらない!」
「もっとよく狙え」
「うるせえ動きが早すぎるんだよ」
『電気鎧』をまとっている状態だからかするだけでも電気の衝撃がいくはずなのにそれすら感じていないのか?電撃によって体が麻痺していくはずなのに・・・つまりこいつも体に何かをまとわせているということか。『電気鎧』を解除してどの属性なのかのヒントをつかみたいけどそれすると後々面倒なんだよね
「クレア!電気が効きづらい属性ってなに?」
「そんなん水以外ほぼ全てだろ!じゃなきゃなんで僕の『火の領域』でミライが無事でいられるんだよ」
それもそうか。普通に考えればいくら電気をまとったところで火を防ぐことができるわけないからな。でも水なら効くとなると相手の属性は水ではないってことになる。他には・・・植物もないかな?火に燃えるし
「『鎌鼬』」
「「!」」
もたもたしてたら向こうから魔法を使ってくれた。これは『鎌鼬』か。天衣が使っていた魔法だ。ということはこいつのスキルは「風」系統だな・・・グレン先輩とかセリア先輩の属性詐欺は知らないものとする
「防御は任せろ『炎の壁』」
目の前に炎が出現する。だが、向かってくるのは風の刃のために壁を切り裂いてそのまま僕の方に向かってくる。拳を前に突き出し、無理やり相殺する。手が少し切れてしまったけどまあしょうがない。少しだけ血が出てるがそこまで痛みがない。素早くなめて血を拭き取る。血の味ってこんななんだ。少し間隔がまひしているのかな。こんなこと昔はするような感じじゃなかったのに
「風使いの対処法は基本的に近距離が苦手なんだけど・・・」
「近距離でさえもかなり強いよな」
少なくとも僕よりは強いから・・・当然クレアよりも強いと。かなりきついな。となれば厳しいけど遠距離軸で考えてみるしかないのかな
「遠距離戦闘にはそもそもできないかもね」
「それに勝てる保証もないか?」
「言いたくないけどね」
かなり厳しい感じか。僕の遠距離なんてしょぼすぎて悲しくなるレベルだからね・・・使えるのはせいぜい爆発だけどそんなの今この状況でしてしまったら色々とまずい。振りまいた砂鉄をもう一度操れたらいいんだけどそれまだきついな。
「だから無理な話をするんじゃなくてもっと現実的な話をしない?」
「少しくらい現実逃避くらいさせてよね」
今後の目標になるんだからさ。あ、今できるかな「『創造』」もう一度砂鉄を操る。鞭のように振り回し・・・しかし、その攻撃も難なくかわされてしまった。
「『火の玉』」
「ありがと!」
クレアが『火の玉』で援護してくれる。二人掛かりで追い詰める
「なんで当たらないんだよ」
「そりゃミライが下手だからだろ」
それを言ってしまえばおしまいだろうが、もう少しオブラートに包んでくれよ。振り回してもギリギリ届かない
「わけないよな!『創造』」
確かに一度離れた砂鉄をもう一度操ることはできない。それは事実だが別に砂鉄を付け足すことができないなんて言ってないもんな。急に射程距離が伸びたことに驚いたのか反応が遅れてしまい、右肩に先が突き刺さった。
「・・・!」
血が噴き出す。あ、できれば殺すんじゃなくて捕獲したいな動機とか色々と聞きたいし
「なんて卑怯な」
「いいじゃないか。勝てば官軍だろ」
「ヒーローらしい戦いをしろよ」
「僕はヒーローじゃない!」
「正義を志して頑張っているやつから怒られろ」
負けたらどうしようもないからね。勝たない限り誰にも目をかけられることなんてない。1位と2位との差っていうのはかなり大きい。世の中には1位とその他しかいないもんな。まああとは最初に達成したってなると注目されるかな・・・ああそれについて深く追求するとかなり闇が出てきた気がする。SNSって色々と情報があつまるもんね
「まあ一撃入れたら動きも鈍るだろうし、おまけに静電気をまとわせてるからいい感じに麻痺るんじゃないか?」
「どっちが悪人なんだよ」
そんなこと言われても。文句を言うなら僕にこんなスキルを与えたやつに言ってくれ。根暗なやつの考えることって言ったらこういう戦法だろうが。相手を麻痺らせて動きを鈍らせ。広範囲大爆発で吹き飛ばす。美しさのかけらもない戦い方だ。爆発オチは基本だからね
「ねえよそんなの!」
相手の方を見てみる。一撃当たったのが信じられない感じだ。まあそれもそうだろうけど、僕としてもなんか気持ちがすっきりしたしいいや
「『嵐』」
「うわああああああ!」
突然巻き起こった突風によって吹き飛ばされる。とくに殺傷能力が高そうではないな。ま、でも向こうから攻撃をしてくれたのはありがたい。こちらは二人で数に利がある。片方に集中した隙にもう片方が攻撃すればいいはずだ。
「集中しろよミライ」
「わかってるって『放電』」
「え?即打ち?」
魔法を打ったあとは少しばかり硬直が入るからその隙を狙わないとね。
「風雅の舞」
「さっきのみただろ。あんなに強いやつが硬直の空き見せるはずがないだろミライじゃないんだから」
「そこ僕を引き合いに出すなぁ。それに僕の場合は無理やり体動かすからなんとかなってるんだよ」
そもそも魔法で相手を吹き飛ばしたら関係ないもんね。こっちが硬直したとしても向こうはそれ以上に身動きが取れないから。って今はそんなことを気にしてる場合じゃない。さっきの『鎌鼬』みたいな風の刃が大量に襲いかかってきたから。
「クレア!できる限り叩き落として」
「了解!」
「『電気鎧』」
クレアを信じて突っ込む。きっと全部とはいかないけどかなりの刃を落としてくれるって。だから多少攻撃が当たっても怯むことなんてしない。痛いのは痛いけど致命傷になりそうなのは全部落としてくれている。さすがクレア。ちゃんと優先順位をつけてくれているんだな。
「・・・・」
「これでも防がれるのかよ!」
魔法発動中に連携して狙ったのにすぐに突っ込んできた僕に対応しやがって。勢いがあるのは僕のはずなのに体術の差で押し負けてしまう。右手でなぐってもすぐに防がれてカウンターで蹴りがくる。それを避けようと体をひねり、ついでに回転の勢いそのままに蹴りつけてもダメ。
「ぐっ」
そしてこちらが一方的に負けているのでついに向こうの蹴りが僕のお腹に綺麗に決まる。そのまま勢いを殺すことができずに吹き飛ぶ。
「ミライ!『火の玉』」
クレアが火の玉を男に飛ばす。その時だった、
「さっきからうるさいけどどうしたの?って、え?」
リンナ先輩が顔を出し
「!?」
男がそれを受けてひるんだのかクレアの攻撃があたる。そして、そのままリンナ先輩に向かって走り出した。
このままじゃ間に合わない。それにリンナ先輩は起きたばっかりなのか上手く頭が働いていないようでぼーっとしている。男の攻撃をもろに受けてしまう
「まずい!『電気鎧・第三形態』」
咄嗟だった。気がつけば僕は『電気鎧・第三形態』を発動させていた
この戦いで僕の速さをだいたい把握していたみたいでこの僕の加速に対処できなかったんだろう。僕の方向に全く意識を割いていなかった。
だから僕が繰り出した拳に全く反応することができなかったのだろう
「あ・・・・」
全速力でもっとも攻撃力の高い魔法を使う。そんな僕の拳は・・・男の腹を貫通していた。